徹底分析中古車相場
更新日:2018.11.21 / 掲載日:2017.12.21

【スバル レガシィツーリングワゴン】中古車価格がダウン、気になるそのワケとは……?

サイズアップで日本でのニーズが低下。だから中古車はお買い得!

 80年代後半から90年代にかけて、日本でステーションワゴンブームが巻き起こった。それまでファミリーカーと言えばセダンが主流で、それ以外のボディタイプはそれほど多くなかった。そんな状況のなか誕生したのが、スバル レガシィツーリングワゴン。初代モデルは1989年に発売されたスバルの看板車種で、走りと実用性を備えており、ワゴンブームの火付け役となった。今回注目するのは、2009年から2014年まで販売されたレガシィツーリングワゴンの5代目モデル(BR型)。いま中古車が安くなっており、お買い得度が高まってきている。

 なぜ、いま5代目レガシィツーリングワゴンが安くなっているのだろうか。その大きな理由のひとつに、ボディサイズの拡大が挙げられる。これは、アメリカ市場での販売を強く意識したため。北米市場におけるミドルクラスは、欧州や日本の基準と比べるとサイズがひとまわり大きいのである。レガシィシリーズは、初代から3代目までは5ナンバーサイズであり、ミドルクラスとはいえコンパクトなクルマだった。しかし4代目以降は全幅が1730mmに拡大され、3ナンバー化。それでもこの4代目は、排気量が2.0Lから用意されており、ヨーロピアンテイストの強いデザインと相まって大ヒット。高性能スポーツワゴンとして、スバルファンはもちろん、それ以外の走り好きのユーザーに愛されたモデルだった。その後、2009年のフルモデルチェンジで今回注目の5代目がデビュー。先代から一転、北米を意識したスタイルと、大型化したボディが与えられた。エンジンは、エントリーモデルでも2.5Lとなり、以前の軽快さが薄れてしまったのだ。

 そして2014年、スポーツワゴンのレヴォーグと入れ替わる形で、レガシィツーリングワゴンは生産終了。セダンのレガシィB4、クロスオーバーのアウトバックはフルモデルチェンジで現行型となった。ちなみに現行型レガシィシリーズもまた、北米市場を意識した少し大柄なラグジュアリーモデルとなっている。ひと言でいえば、5代目レガシィは若干日本市場のニーズに合致したとは言い難いモデルとなってしまい、さらにレヴォーグ需要の拡大によって中古車価格が値崩れしている状況なのである。

前期モデルなら100万円以下の予算でねらえるように

 ここでは、5代目レガシィツーリングワゴンの概略に触れておく。まずエンジンは、当初2.5L(2.5i)と同ターボ(2.5GT)が用意されていた。2012年にはマイナーチェンジが実施され、外観をリニューアル。この際、2.5Lモデル(2.5i)が新世代エンジン「FB25」に置き換えられたほか、新たに2.0L 直噴ターボ「FA20」を積んだ「2.0GT DIT」が登場。旧世代2.5Lターボ「2.5GT」は継続で投入され、合計3種類のエンジンから選べるようになっている。

 それを踏まえ、ここでは各グレードの中古車平均価格をチェックしてみよう。
●2.5i系:141万円
●2.5GT系:142万円
●2.0GT DIT系:206万円
※中古車平均価格はグーネット2017年9月20日現在のデータによる。

 続いて、年式別の中古車平均価格を見ていく。
●2009年式:117万円
●2010年式:123万円
●2011年式:146万円
●2012年式:164万円
●2013年式:193万円
●2014年式:206万円
※中古車平均価格はグーネット2017年9月20日現在のデータに

「5代目レガシィツーリングワゴン」の価格と年式の分布表はこちら。

 これを見ると、2.5Lモデルは、自然吸気、ターボ問わず全体の平均価格は140万円前後とかなり安い反面、2.0L直噴ターボ(2.0GT DIT)はそれほど価格が下がっていない。これは後期型(2012年~2014年)に追加されたため、どの個体も高年式になってしまうのが理由のひとつ。さらにこのエンジンはスポーツカーのトヨタ86/スバル BRZにも積まれる高出力ユニットで、かつてのレガシィシリーズを彷彿とさせるものであった。それゆえファンのあいだで人気が高く、それを反映して、このグレードだけは価格が落ちにくいというカラクリもあるのだ。

 年式別の推移では、一般の中古車動向と同じく高年式になるに従い高くなる。そこに、前述の2.0L直噴ターボの人気が加味され、後期型は全体的にまだまだ高い印象。逆に前期型(2009年~2012年)は100万円を切っている個体も目立っており、かなりお買い得感が高い。自然吸気とターボは、どちらもあまり相場は変わらないものの、物件数は前者のほうがターボよりも3倍近く流通している。実用車と割り切るなら、自然吸気の「2.5i」がオススメのグレードである。逆に、高性能スポーツワゴンという趣味性を重視するなら、5代目にこだわらず、ひとつ前の世代(4代目)の「2.0GT spec.B」など、尖ったグレードを考慮にいれるのもありだろう。

「5代目レガシィツーリングワゴン」の価格と年式の分布表はこちら。

レガシィはステーションワゴンとしての機能が揃ったクルマ

 5代目レガシィツーリングワゴンは、前述のとおりスポーツ風味はやや薄れたものの、クルマとしての完成度は高い1台である。ひとつ目の理由は、ボディサイズからくる室内のゆとり。いま、国産のミドルクラスのステーションワゴンはほぼ壊滅状態で、選択肢はかなりかぎられる。同じスバルには、ひとまわり小型のレヴォーグが存在するが、こちらは人気沸騰で中古車相場は極めて高いほか、広さはレガシィにおよばない。レガシィツーリングワゴンなら、たとえフル乗員でも十分な広さを持ち、たっぷりした荷室を備えているから安心だ。

 もうひとつの理由は、アイサイトをはじめとする安全装備の充実。アイサイトに関してはここでの詳細な説明は省くが、簡単に言えばレーダーで前方車両を認識し、危険が迫ると自動でブレーキをかける機能。また、これに付随してクルーズコントロール、レーンキープなどドライビングアシストを総合的に行うものである。5代目では2010年5月の改良から「アイサイトVer.2」が搭載され、グレード名に「アイサイト」と表記されるようになった。中古車を探す際、「アイサイト」表記によって装備の有無を確認できることを覚えておこう。ちなみに、物件数においてアイサイト搭載車は、非搭載車の2倍以上のボリュームとなっている。

セダン版(レガシィB4)の相場動向はどうなってる?

 レガシィと言えばステーションワゴンだが、セダンも忘れてはならない存在。最後に、セダン版であるレガシィB4の相場動向について触れておこう。生産終了したツーリングワゴンと異なり、B4は現在6代目に突入している。先代モデルの物件数は、ワゴンと比べると圧倒的に数が少ない傾向で、やや探しにくい状況だ。グレード別の相場動向を見てみよう。

●2.5i系:131万円
●2.5GT系:145万円
●2.0GT DIT系:200万円
※中古車平均価格はグーネット2017年9月20日現在のデータによる。

 これを見ると、ワゴンとほぼ同程度か、やや低めの相場となっているのがわかる。こちらも100万円以下の物件も存在し、かなり買いやすい状況となっている。

 あと、注目しておきたいのが、STI製パーツやビルシュタイン社製サスペンションなど、スポーティな装備を充実させた「2.5GT tS」という限定モデル。これはセダン/ワゴンの両者に設定されていたもので、相場は次のとおり。

●2.5GT tS(B4):192万円
●2.5GT tS(ツーリングワゴン):177万円

 流通している物件はかぎられるが、STIパーツが装着されたチューンドモデルが、「2.0GT DIT」とほぼ同程度の予算でねらえるため、走りを楽しみたいユーザーは、ぜひ注目しておきたい1台。

 全体をまとめると、5代目レガシィの中古車は、前期型の自然吸気モデル「2.5i」が物件豊富で、価格も安い。ボディタイプにゆとりがある4WDのワゴン/セダンで、実用性も走りの実力も高く、登場から8年が経ったいまこそ、美味しいモデルということになる。

「5代目レガシィB4」の中古車検索はこちら

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グーネットマガジン編集部

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