車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.14 / 掲載日:2018.05.24

【気になる中古車試乗判定】ジャガー XF

ジャガー XF

2015年モデル 先代 ジャガー XF 2.0ラグジュアリー

一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション!果たしてその結果やいかに!?

文●竹岡圭、九島辰也、グーワールド
写真●グーワールド

今月の中古車は ジャガー XF

DETAIL CHECK 1

  • ウッドとレザーの世界に加わったハイテクというエッセンス

    ジャガー XF コックピット

  • ウッドとレザーの世界に加わったハイテクというエッセンス

     シフトダイヤルやエアコンの吹き出し口は電動格納式で、エンジンオフにすると、フラットでシンプルな空間となる。メーターパネルは、速度計と回転系がアナログで中央に液晶モニターを配置し、伝統のデザインと機能性を両立させている。ウッドパネルの質感も高く華やかな雰囲気が魅力。

DETAIL CHECK 2

  • 長大なホイールベースを生かしクーペフォルムでもゆったり

    ジャガー XF 内装

  • 長大なホイールベースを生かしクーペフォルムでもゆったり

     前後のシートは、座面や背面が大きく、大柄なドライバーでもリラックスできる設計。運転席は電動調整式となる。後席の空間にもゆとりがあり、これなら5人乗車であっても快適だろう。まるでクーペのようなルーフデザインだが、頭上にも余裕がある。

DETAIL CHECK 3

  • 使い勝手のよさについてもしっかりと煮詰めている

    ジャガー XF ラゲッジスペース

  • 使い勝手のよさについてもしっかりと煮詰めている

     ラゲッジルームの容量は、標準状態で500Lで、6対4分割可倒式のリヤシートを使えばスペースはさらに拡大され、長尺物の収容も可能に。さらに、室内のセンターコンソールにも、蓋つきの小物入れやドリンクホルダーが用意されており、デザイン性とユーティリティは高次元で両立されている。

DETAIL CHECK 4

  • エンジンは年式によって大幅に変化している

    ジャガー XF エンジン

  • エンジンは年式によって大幅に変化している

     エンジンは、初期モデルが3L V6、4.2L V8、4.2L V8スーパーチャージャーで、2010年モデル以降V8モデルの排気量は5Lに拡大される。その後、2013年モデルから2L直4ターボを追加。このタイミングでトランスミッションが全モデル6速から8速へと切り替わっている。

ジャガー流でEセグメントに挑戦したスポーティセダン

自動車ジャーナリスト(竹岡 圭・九島 辰也)

九島 ジャガーだからこそ様になるそういう世界観がある

竹岡 しなやかでスポーティな走りに色褪せない魅力がある

懐古調のSタイプから一気にモダンスタイルへ

編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は、ジャガーの高級4ドアセダンXFが登場です。お借りした車両は2015年モデルで、グレードは「2.0ラグジュアリー」、走行距離は2万2000kmとなっています。

竹岡●あれ、ジャガーはちょっと前に乗らなかったっけ?

編集部●あれはXEで、今日乗っていただくXFの弟分でした。

九島●顔つきが似てるもんね。XJが2010年に現行型になって、そのときからジャガーはこの顔つきに統一したんだ。

竹岡●XFの初期型って、たしかヘッドライトがもっと丸っぽいデザインだったでしょ。それがマイナーチェンジしてこの顔になったと。それにしても、改めて見ると大きいね。

編集部●クーペのような流麗なデザインですが、全長は約5mあります。

九島●全長全幅では、Eクラスよりもひとまわり大きいからね。

編集部●では、改めて概要を説明させて頂きます。2007年11月から日本に導入された初代XFのラインアップは、大まかにわけて3タイプ。ベーシック版、排気量の大きな上級版、そしてスポーツモデルという組み合わせです。デビュー当時は、3L V6(238馬力)搭載の「3.0ラグジュアリー」、「3.0プレミアムラグジュアリー」、4.2L V8(298馬力)搭載の「4.2プレミアムラグジュアリー」、そして4.2L V8スーパーチャージャー(416馬力)搭載の「SV8」というラインアップ。組み合わせられるトランスミッションは、すべて6速ATでした。

竹岡●トランスミッションといえば、電動で円筒形のダイヤルが飛び出てくるシフトレバーは話題になったよね!いまとなってみると、ちょっとレトロフューチャー的な感じなんだけど、それもまたいい雰囲気で。

九島●わかる(笑)。エンジンをかけると回転するエアコン吹き出し口とかね。デザインは未来志向なんだけど、やり方がアナログチック。でもジャガーがやると悪くないんだ。

編集部●お話を戻させていただくと、2010年モデルから、V8系が5Lの新型エンジンになりました。自然吸気(385馬力)が「5.0プレミアムラグジュアリー」と「ポートフォリオ」。5Lスーパーチャージャーで510馬力を発揮する最強モデルが「XFR」となりました。

竹岡●2012年モデルで内外装がリフレッシュされて、見た目が今日の試乗車と同じになったんだよね。

編集部●ありがとうございます。その後、2013年モデル以降に、2L直4ターボ(240馬力)が追加。「3.0プレミアムラグジュアリー」は3Lスーパーチャージャー(306馬力)に。そして、すべてのモデルのトランスミッションが8速ATになっています。

九島●つまり、今回お借りしてきたのは、モデルライフ最後の2Lターボモデルってことだ。

竹岡●現行型にフルモデルチェンジしたのが2015年だっけ。けっこうなロングセラーモデルだったんだね。

編集部●それでは、お二人には試乗をお願いします。

自動車ジャーナリスト(竹岡 圭・九島 辰也)

編集部●さて、試乗から戻ってきたお二人に感想を伺いましょう。いかがでしたか?

竹岡●ジャガーのシートポジションって、こんな大きなサルーンでも本当にスポーツカーみたいなんだよね。手足を伸ばして、かかとを着けて運転する感じが。

九島●そのコメントが竹岡さんから聞けて本当に嬉しいね。それこそ、XK120(1950年代のスポーツモデル)の頃からジャガーがずっと守り続けてきた歴史だから。

竹岡●足まわりもしなやかで、まさに教科書どおりのスポーツサルーン。細かい振動が伝わってくるところとか、ちょっと設計の古さを感じちゃう部分もあったけど、印象よかった。

編集部●2Lターボのエンジンについて、パワーがモノ足りないとか、ネガティヴな印象はありましたか?

九島●別に。まったく問題ないよ。XJに載せたときは、流石にちょっと加速しないなって思ったけど、8速ATともマッチングいいし。

竹岡●中古相場はどうなの?古いクルマなら手ごろなんじゃないかな。

編集部●はい。10年落ちの個体で150万円くらい。5年落ちなら300万円以下といった相場です。ただ、残念なことに、絶対的な物件数が少ないので、あまり選択肢はない状況ですね。なおXFRは400万円以上となります。

九島●長く販売されていたクルマだけに、顔が変わってからのモデルなら、あまり中古車っぽさがないのは嬉しいね。

竹岡●やっぱりジャガーって、ブランドとして格があるじゃない(笑)。それがお買い得な価格だとしたら、XFはオススメですね。

※ナンバープレートはハメ込み合成です。

ジャガー XF レビュー評価

ジャガー XF

人気自動車ジャーナリスト(と編集スタッフ)によるジャガー XFの評価をまとめます。

※各項目に対して10点満点評価。

自動車ジャーナリスト 竹岡 圭のコメント

  • 自動車ジャーナリスト 竹岡 圭

  • 以前このコーナーで試乗したXEと同様の、スポーツカーのようなドライビングポジションを体験し、ブランドとして一貫性のあるクルマづくりに感心しきり。

自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
●人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2017-2018 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

ポジショニング 8点

 昨今、世間がググッとSUVに向いちゃっているせいで、このミドルサイズのセダンやサルーンは置いてきぼり感があるのは事実。XFもけっこうなロングランモデルになってましたもんね。後にXEが登場したこともあり、道幅の狭い日本市場では、余計に影が薄くなっちゃった感じもありますが、マイナーチェンジで顔が変わったこともあり古臭さはありません。

装備 9点

 そうそう!スイッチオンにすると、シフトレバーがせり上がってきて、エアコンの吹き出し口が開いて・・・。初めてこのギミック見たときには感動したものです。今やちょっと昭和に描いた未来感的な感じもありますし、ナビ画面が小さい、グローブボックスのフタがダンパー式じゃない等々、若干の時代感はありますが、基本的な快適性は申し分ナシです。

走り 10点

 ジャガーって、どんなモデルでも手足を伸ばして乗った方がしっくりくるんだなぁ。そのスポーツカーたるルーツは守ってるんだなぁということが、改めてよくわかりました。さすがに微振動等はありますが、適度なしなやかさと重厚感はやっぱりジャガー。色褪せない魅力がありました。スポーツサルーンという言葉がよく似合うフィーリングです。

自動車ジャーナリスト 九島 辰也のコメント

  • 自動車ジャーナリスト 九島 辰也

  • 同じようなことをしても、様になるひとと、そうでないひとがいるように、ジャガーだからこそ、この内外装が成立するのだろうと九島さんは指摘していました。

自動車ジャーナリスト 九島辰也
●長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。

ポジショニング 9点

 かつてこのセグメントを担当していたSタイプは、マーク2を強く意識した懐古調デザインだった。それに対してXFは、ジャガーらしさを主張しながらも、グッとモダンになった。いまでこそトレンドはSUVだが、XFがロングセラーモデルとなり、キープコンセプトのまま2代目になったということは、その挑戦が正しかったという証でもある。

装備 9点

 エンジンをかけるとロボットのように動き出すインテリアは、まさにレトロフューチャーの趣。ほかのブランドがやるとおもちゃっぽいが、ジャガーとなればイメージは異なる。もちろんそれはいい意味でだ。最終型に近い今回の試乗車は、インフォテイメント系や先進安全装備以外は、なにひとつ不自由なし。もともと実力が高いから、タイムレスなのだ。

走り 9点

 このセグメントとなると、快適性は重要なセリングポイントになるが、ジャガーの場合はそれよりもスポーティさが上まわる。スポーツカー同様のドライビングポジションは、ジャガーはそうやって走らせるクルマなのだと教えてくれる。2Lターボでも動力性能に不満はないが、V8モデルの迫力、パフォーマンスはさらに上。個人的にはV8モデルが好みだ。

グーワールド編集部

●ただ性能に優れているだけでは、競争に勝ち抜けないのが高級車の世界。そのなかでジャガーXFは、モダンでスポーティな独自の世界観を提供してくれます。

ポジショニング 9点

 メルセデスのEクラスやBMW5シリーズが圧倒的多数を占めるEセグメントに、独自のテイストを持って挑戦したのがジャガーXF。クーペのようなスラッとしたデザインのためわかりにくいですが、ボディサイズはEクラスよりもひとまわり大きく迫力十分。存在感はかなりのものです。低年式モデルであれば、中古車市場ではかなり低予算から探せます。

装備 9点

 ドアを開けて室内に入ると、まるでコンセプトカーのようにスッキリしたデザインに驚かされます。ジャガーと言えばウッドとレザーをふんだんに使うことでも知られていますが、XFではモダンなデザインとなっていて、新しいことに挑戦する意気込みを感じます。安全装備などは、ひと世代前の内容ですが、基本的な快適装備は非常に充実しています。

走り 10点

 ボディサイズが大きなクルマなのですが、走り出してみるとそれを感じさせず、むしろスポーティにキビキビと走ることに驚かされます。今回試乗できたのは、シリーズのなかでもっとも小さな2Lターボでしたが、それでも十分な動力性能を発揮。3Lモデルや5L V8モデルは、さらなるゆとりと圧倒的なパフォーマンスでドライバーを楽しませます。

伝統を守りつつ新境地に挑戦した美しいビッグキャット

ジャガー XF

モデル主要変遷(ジャガー XF)

2007.11XFが登場
2009.04「ポートフォリオ」、「XFR」を追加
2011.11マイナーチェンジ
2012.12一部改良
2015.02一部改良 ←今回の中古車

2015年 ジャガー XF 2.0ラグジュアリー(8速AT)

全長×全幅×全高4975×1875×1460mm
ホイールベース2910mm
車両重量1770kg
エンジン直4DOHCターボ
総排気量1998cc
最高出力240ps/5500rpm
最大トルク34.7kg m/1750rpm
サスペンション前/後ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ前後Vディスク

中古車参考価格帯
140万円~530万円(2007年~2015年 ※全グレード)

※ナンバープレートはハメ込み合成です。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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