中古車購入チェックポイント
更新日:2018.10.26 / 掲載日:2010.06.11
日産 ティーダ(2010年6月~)中古車購入チェックポイント
日産 ティーダ(2010年6月~) 中古車購入チェックポイント
DBA-C11
参考車両:15M
初年度登録:2009年4月
■全体のチェックポイント
1.全体の雰囲気から探る
1.全体の雰囲気から探る
少し離れたやや遠目から、車両の様子を観察しよう。車体の全体を見て、外装部品の立て付けや塗装の状態などをチェック。違和感や不自然に見える部分などがあれば、近寄って詳しく調べよう。
前面は、バンパー/グリル/ボンネット/ヘッドライト/フェンダーなどが並んでいるバランスをチェック。基本的に左右対称になっていることもポイントだ。
左右ライトの片方だけが新しい場合(交換)は、その側の車体部を修理している可能性もある。ナンバープレートの変形や修整跡なども、車体部の修理を疑ってみる。バンパーの下部や角の損傷などにも注意しよう。
2.角度を変えると見える
2.角度を変えると見える
車体まわりは、見る角度を変えながらチェックしよう。プレスラインのずれや崩れ、微妙な立て付けの狂いなども確認できる。表面を斜めから透かして見ると、浅くて広い凹みや波打ち(しわ)なども見落とすことがない。
しわが寄っているのは、ダメージ痕か、板金修理跡。塗装面の艶が周囲と違っていたり、ザラザラと肌荒れ状態になっている箇所なども、修理跡の疑いがある。
3. 整備状態を確かめる
3. 整備状態を確かめる
定期点検整備記録と突き合わせて、エンジンと周辺をチェック。エンジンオイルの滲みや汚れ(オイル漏れの兆候)などにも注意。できれば、冷却水やブレーキの液量なども点検したい。
周囲と比べて新しく見える、交換している部品があれば、消耗部品か、故障など不具合があったか、それとも事故などでダメージを受けたのか、整備記録も探って、交換した理由を確かめたい。
4.内側の鉄板を調べる
エンジンルーム内のパネルやフレーム類(補強部材)など、車体内側の鉄板を調べよう。ダメージを負うと走行に支障が生じる重要な部分だ。修理している車両は修復歴車と明示しているはずだが、念のために、歪みや修理/交換の形跡などがないか確認。
部品やカバー類に覆われている細部までは見えないが、溶接やシーラー、塗装などの状態に注意して、慎重にチェックしよう。
5.ボンネットのチェック
5.ボンネットのチェック
外面をチェックしたら、裏面側に修理跡などがないかも調べよう。外と内のパネルを貼り合わせている接合部の状態に注意。
外して修理、あるいは交換することもあるので、ヒンジ部のネジを回していないかもチェック。ヒンジの取り付け状態もチェック。
ボンネットを外している形跡があれば、ボンネット単独の損傷なども考えられるが、車体部を修理/交換していないかも慎重に調べる必要がある。
6.前部の必須チェック
エンジンルームのいちばん前で車体の左右に繋がっているラジエターサポートをチェックしよう。車体前部に大きな衝撃を受けると、影響が及びやすく、修理/交換する確率が高い。上部はカバーで覆われているので細部までは見えないが、左右フェンダー側に繋がっている部分の状態も慎重にチェックしよう。フロントグリルやヘッドライト、バンパー、フェンダーなど、関連部の状態にも注意しよう。
7.取り付け状態を確かめる
フロントフェンダーは、エンジンルーム側に腐食(錆)や修理跡などがないかもチェック。固定ネジおよびブラケット(フェンダーを支えている金具)の状態も確認。フロントドア側のピラー(柱)部にあるネジの状態もチェックしよう。
フロントフェンダーは、車体構成上は重要な車体補強部材とはなっていないので、傷や凹みなどを補修しても修復歴にはならないが、外して修理、あるいは交換していれば、車体内側の骨格部にダメージが及んでいないか確かめる必要がある。
8.隙間の幅と色調を比べる
8.隙間の幅と色調を比べる
立て付けを見る時は、例えば車体前部側面では、バンパー、ヘッドライト、ボンネット、フェンダー、ドア、ピラー(フロントガラス部の柱)などが隣接している。それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、ダメージを負ってずれているか、あるいは修理/交換している可能性がある。
隣り合う外板パネルの色調が違って見える場合も、修理や交換で塗装している疑いがある。
9.縁と奥も覗いてチェック
フェンダーは、膨らんでいるホイールアーチ部(タイヤを囲っている部分)を傷付けやすい。傷があれば、凹みを伴っていないか、フェンダーに歪みが生じていないか確認。
鉄板を内側に折り込んでいる部分や奥のほうに修理跡などがないかもチェック。バンパーの取り付け状態にも注意。フロントフェンダーは、内側に設置しているライナー(泥よけ)の取り付け状態に注意しよう。
10.側面のチェックポイント
ドアに大きな損傷を負うと、外して修理、あるいは交換してしまうことも多い。ドアヒンジ部のネジをチェックしよう。ただし、立て付け調整などでネジを回すこともあるので、ネジ脱着の形跡だけではドアを修理/交換しているとは断定できない。ドア自体をはじめ、ピラー(柱)やサイドシル(ドア下にある梁)など、周辺も調べて判断する必要がある。
11.後面のチェックポイント
11.後面のチェックポイント
前部と同様に、バンパー/テールゲート/コンビネーションランプ(テールライト)/フェンダーなどのバランスをチェック。後部ナンバープレートは、封印の傷(プレートを外した形跡)が注意ポイントだ。
テールゲートの立て付けを見て、全体に狂っていれば、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいる疑いもある。部分的に隙間が狂っている箇所があれば、その部分の車体部にダメージを負っているか、修理/交換していると考えられる。
12.リアフェンダーのチェック
リアドアを開けて、開口部を調べよう。乗り降りなどで傷付けることも多い。小さな傷や凹み、塗装剥がれなどのほか、簡易補修や修理跡などがないかも確認。
開口部にマスキング跡があれば、リアフェンダーを補修、あるいは修理している。周辺を詳しく調べよう。開口部下部のサイドシル(梁)部に修理跡などがないかも注意しよう。
車体右側は、フューエルリッドを開けて、内部にマスキング跡や修理跡などがないかチェックしよう。
13.テールゲートのチェック
13.テールゲートのチェック
解錠/施錠の具合をチェックして、電動ロックの動作を確認。
開閉して、上げ下げの動きをチェック。上げた状態でしっかり止まっていることも確認。
閉まり具合がよくない(閉める時にカチッと収まらない)場合は、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいる疑いもある。ずれているだけなら調整で直ることもあるが、車体が歪んでいる車両を選んではいけない。
14. 床の中にも要チェックポイント
14. 床の中にも要チェックポイント
ラゲッジスペースの床内にあるスペアタイヤ収納部に歪みや修理跡などがないか必ず確認。底や周辺に貼ってある防振シートを張り替えた形跡にも注意。塗装跡があれば、錆などの補修跡か、あるいは修理跡か調べよう。
15.取り付け部もチェック
15.取り付け部もチェック
テールゲートは、裏面側に修理跡などがないか。交換の形跡がないかチェック。ヒンジおよびヒンジ取り付け部周辺に歪みや修整/修理の形跡がないかも調べよう。
16.開口部を慎重にチェック
16.開口部を慎重にチェック
開口部の左右を見ると、鉄板の接合部がある。溶接やシーラー、塗装の状態に注意して、修理/交換の形跡などがないかチェック。特にスポット溶接の打ち直しに注意。疑わしい部分があれば、左右開口部を見比べるのもいいだろう。
開口部の下半分は鉄板部が見えないが、コンビネーションランプやカバー類、バンパーなどの取り付け状態に注意しよう。
17.タイヤとホイールのチェック
17.タイヤとホイールのチェック
タイヤは、スリップサイン(使用摩耗限界)を目安に、残り溝の深さを点検。傷、異物の刺さり、ひび割れなどがないかもチェック。同時に、接地面の摩耗状態も調べよう。外側だけとか内側だけなど、一部が極端に減る偏摩耗を起こしていれば、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っているのか、あるいは車体が歪んでいるのか、異常摩耗の原因を確かめる必要がある。
ホイールは、ホイールキャップに傷や破損などがないか調べるが、ホイールのリム部(タイヤと接している縁の部分)に曲がりなどがないかも確認。アルミホイールの場合は、歪み(変形)などにも注意。
18.床下を覗いて確認
18.床下を覗いて確認
フレーム(骨格)やメンバー(補強部材)など、鉄板部に損傷や歪み、修理跡などがないか。マフラーやサスペンション、ブラケットなど、部品や金具類に損傷や曲がり、交換の形跡などがないかも確認。走行に支障がない見えない部分は修理しないことがあるので、前後左右から覗いて慎重にチェックしよう。
油汚れ(オイルやグリスなどの漏れの兆候)やゴム部品の劣化(ひび割れ)などにも注意。錆が発生していれば、表面に浮いている程度なら心配ないが、広がり範囲と腐食の進行に注意しよう。
19.不具合の兆候を探る
19.不具合の兆候を探る
エンジンをかけて、始動具合やアイドリング回転などをチェック。始動時には、各種表示/警告灯の点灯などにも注意しよう。
容易にエンジンがかからなければ、バッテリーが弱っている場合もあるが、始動困難に陥った要因を調べる必要がある。不安定なアイドリング回転、異音の発生、大きな振動などは、なんらかのトラブルを抱えていると考えられる。できれば試走して、走行中に異常がないか確かめたいが、最終的なコンディションの確認は、販売店でやってもらおう。
20.オートマチックのチェック
20.オートマチックのチェック
エンジンをかけてブレーキを踏んだままセレクトレバーを各ポジションに切り替えて、操作具合をチェック。できれば試走して、オートマチックの動作も確認。CVTは、連続的に変速しているので、ギヤが切り替わるような感じがあれば不具合が起きている。ATは、大きな変速ショックや滑っている感じなどが不具合の兆候だ。判断が難しい部分もあるので、トランスミッションの状態も、必ず販売店で点検してもらうこと。
21.装備機器類の機能を確認
21.装備機器類の機能を確認
ヘッドライト、ウインカー、テール/ブレーキ/バックランプなど、保安機器類が正常に作動することをまず確認。電装機器や電動機構などは、スイッチを入れるだけでなく、操作して機能を確かめよう。パワーウインドウの開閉や室内ランプの点灯のほか、リモコンキーの操作具合なども、忘れずにチェックしよう。
全グレードともオーディオレスが標準だが、新車時にカーナビを付けることも多い。オプションなど追加装備の有無は事前にチェックしておきたいが、販売店で現車を見て確認しよう。
22.室内の隅まで細かくチェック
シートや内装材などに汚れや傷、染み、穴などがないか。運転席周辺だけでなく、後席やラゲッジスペースまで念入りにチェック。床や天井の状態も確認。ボックスやポケットは、内部も調べよう。ボックス類の蓋やエアコンの吹き出し口など、可動部の破損にも注意。後になって後悔しないように、細部まで慎重にチェックしたい。
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車両の情報をチェック
●「車検証(自動車検査証)」で初度登録年月日や型式などを確認。「保証書」で保証内容や期限を確認。「車両取扱説明書」の他に、オプションや後付けなど、追加装備の使用説明書が揃っていることも確かめよう。
●「定期点検整備記録簿」は、必ず記載内容を確認。定期点検や消耗部品交換などの時期と走行距離を把握しておけば、車両各部の状態を探る参考になる。定期点検整備を実施している車両は、大きな問題は抱えていないとも考えられる。
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合は、周辺の状態を慎重にチェック。エンジンルームやスペアタイヤ収納部などは、新車時から外装とは塗色が異なってることがある。
●ドアの開口部など、外から見えない部分にマスキング(塗装スプレーの飛沫が広がらないようにするためのカバーを粘着テープなどで留める)した跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような“直線状の段差”があれば、何らかの理由で塗装している。
●部品などに塗料が付着している場合も、周辺を詳しく調べる必要がある。
●車種によっては、スペアタイヤ収納部などに、塗装の飛沫が付着しているように見える、新車時から仕上げが荒くなっている部分もある。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれているれば、ネジを回している。
●ネジの頭が塗装されていれば比較的容易に確認できるが、無塗装ネジの場合は判断しにくい。傷や錆に注意して、関連する近隣のネジや、車体左右の同じ部品のネジと見比べる。
溶接とシーラー
●修理/交換で溶接している(熱を加えた)部分は、錆が発生しやすくなっている。特に床下は、溶接部の塗装の剥がれや浮きに注意する。
●鉄板の接合部分に塗布しているシーラー(隙間を埋める充填材)は、修理/交換で再溶接すると塗り直すので、不自然に見える。
●爪で押して、表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、新しいシーラーを盛っている。
●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を比べてみる。
●スポット溶接(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)は、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。
●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理/交換すると、組み付ける際に誤差が出ることがある。隣接するパネルの隙間(チリと呼ぶ)の幅が均等になっていなければ、修理/交換している可能性がある。
●バンパーなどは、ぶつけたり、押されてずれることもある。たとえ修理/交換していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。
●プレスライン(外板パネルが折れ曲がっている角の線)や、モール類(ドアなどに付いている飾り部品)など、外装部品が連なっている線のずれも、立て付けの狂いを見つけるヒント。
■今回の車両のプロフィール
●上質感のある室内と広い後座を特徴としたコンパクトハッチバック。2004年9月に1.5L車を新発売。2005年1月に1.8L車を追加。2008年1月のマイナーチェンジで外観と室内の一部デザインを変更。参考車両は、2008年10月に仕様を向上した後のモデルで、インテリジェントキー+エンジンイモビライザーが標準装備(15S/15S Fourを除く)となり、1.8L車は15インチアルミホイールが標準装着となっている。
●仕様グレードの「15S」は、マニュアルエアコン、ウレタンステアリング、スエード調トリコットシート、リモコンエントリーシステムが標準装備のシンプルタイプ。「15M」は、ティーダのスタンダードタイプ。フルオートエアコン、本革巻ステアリング、合成皮革カプロン/ファブリックコンビシートなどを装備し、フォグランプ、オートライトシステム、トノボードなども加わる。さらに、上級の「15G」では、インテリジェントエアコン、本革/合成皮革アルカンターラコンビシートを装備。15S/15Mの4WD車「FOUR」は、リアヒーターダクト、ヒーター付ドアミラー、大型バッテリー、タイヤパンク応急修理キット(スペアタイヤレス)を装備している。1.8L車の「18G」は、基本装備は15Gと同じで、バイキセノンヘッドランプ+アダプティブライティングシステムAFSなどが標準装備となる。
特装車「アクシス」は、オーテックが手がけるカスタムカーだが、見かけが派手なカスタマイズではなく、高級感を高める装備内容。外装に、ボディ同色の前後バンパーとサイドプロテクター、15インチアルミホイールなどを装着。内装には、本革シートや木目調トリムなどを採り入れている。「アクシス パフォーマンススペック」は、アクシスをベースに、扁平タイヤ、チューンドサスペンション、電動パワーステアリングなどを加えて、ドライブ感をアップグレードしている。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定(2008.10)
1.5(1498cc)
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
15S | DBA-C11 | 4AT | FF |
15S FOUR | DBA-NC11 | 4AT | 4WD |
15M | DBA-C11 | CVT | FF |
15M FOUR | DBA-NC11 | 4AT | 4WD |
15G | DBA-C11 | CVT | FF |
1.8(1797cc)
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
18G | DBA-JC11 | CVT | FF |
DBA-JC11 | 6MT | FF | |
特装車
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
アクシス(15M) | DBA-C11 | CVT | FF |
アクシス(15M FOUR) | DBA-NC11 | 4AT | 4WD |
アクシス(18G) | DBA-CJ11 | CVT | FF |
アクシス パフォーマンススペック(15M) | DBA-C11 | CVT | FF |
アクシス パフォーマンススペック(15M FOUR) | DBA-NC11 | 4AT | 4WD |
アクシス パフォーマンススペック(18G) | DBA-CJ11 | CVT | FF |
その後、2009年5月に仕様/装備を変更。15M/15Gの2WDは燃費を向上し、減税措置適合車となっている。