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2023年08月26日 10:43GTR(R34)入庫したのでエンジン屋さんだったころの自分を懐かしみました。(個人記)国産車・輸入車対応・車検・整備・見積もりもお任せ下さい!八王子/日野/多摩地区/相模原/他地域のお客様も大歓迎です!
タイヤ交換のご依頼でご入庫いただきました。
R34。 GTR。 うーん懐かしい。
何を隠そうこれを書いている私は昔レーシングカーのエンジンを製作するガレージにおりまして、
懐かしついでに自慢をしようと思います。
富士スピードウェイの言えば大御神レース村。
村長の近藤進治社長が運営している『近藤レーシングガレージ』
FUJIで開催されたF1の事などこちらのHPには数々の伝説が書かれています。
私が在籍していた時は、
三菱のワンメイクレース ミラージュカップ(CJ4A)のエンジン10チームくらい
N1耐久レース選手権(スーパー耐久レース)2チーム、日産プリンス千葉(エクセル)、日産アルティア(プローバ)
この時はまだR33GTRですね。当時、私もメカニックで参加した十勝24時間の懐かしい動画もあったので貼ります。
(プローバチームと一緒に行動してたので移動車に当時レーシングドライバーだった三原じゅん子さんいて嬉しかったなぁ)
1996年ですからもう27年前になるんですね。どこかに自分が写ってるんじゃないかと探しましたが発見できず。
タービンの変更などR32からR33への性能アップの恩恵でラップタイムも飛躍的に短縮されましたが
基本構造がR32と変わっていない当時のRB26DETTは横Gに対応できず悲鳴を上げていました。
コーナリングの横Gでエンジン内のオイルが偏ってしまい、オイルストレーナーがエアーを吸ってしまい
メタルが一瞬で焼き付いてドカン。繰り返し繰り返し何機も壊れリタイヤするGTR。
練習、予選、決勝、各チーム壊れに壊れて仕方なく各チーム
ブーストを下げて(パワーを)エンジンを壊さない様に走らせるのが
精一杯で、クラス2のランエボに追い回される始末。
我慢の戦いが続いていたのですがある部品の開発成功がゲームチェンジャーとなり、
いよいよGTRが真の性能を発揮することになったのです。
ストレーナーとは、エンジンオイルを吸い込んでエンジン全体にオイルを供給する
ストローみたいな役割をしています。
通常、オイルストレーナーの吸い口の位置は固定されています。
吸い口は基本的に循環するオイルに浸かっているのでエアーを吸い込むことはありませんが
レースではコーナリングで強い横Gが発生するため遠心力でオイルが偏ってしまいます。
ストレーナー吸い口位置は固定されていますから、本来浸かっているはずの吸い口が露出し、
空気を吸い込んでしまい、クランクシャフトやコンロッドが潤滑されず一瞬で焼き付き
エンジンが壊れてしまいます。
実はRB26もR32時代からノーマルエンジンでもこの横G対策が施されていて、
ストレーナーの吸い口を囲うバッフルと、オイルパンにはリブが作られているのですが
実はこれが仇となってしまい横Gで偏ったオイルがストレーナーの吸い口に戻りにくくなりエア噛みしさらに事態を悪化させていたのです。
壊れまくるR33勢のエンジン。
データロガーの油圧グラフにはコーナーでストンと落ちる様子が記録されていました。
R33とR32では基本的に同じRB26DETTです。
R32では起こらなかった油圧問題がなぜR33で起きているのか。
理由は2つ。
一つは、ハイキャスなどの制御が高速化した車体性能の向上。
もう一つは、スリックタイヤの性能が向上しコーナリングスピードアップしたためコーナリングGが上がったため。
つまり、車体とタイヤが良くなったのでキツイ横Gが強く発生するようになりオイルの循環が間に合わなくなったんですね。
NISMOもこの事態には頭を悩ませていて、各社必死に対策するもなかなか良い方法が見つからない中
ある日なにかを思いついた近藤レーシングの近藤社長が
『おーいH君、これ、えーっと、これがこうなってこんな感じの試作作ってみて』
手書きで書かれたイラストでした。
※実はこの話の前に近藤社長が発案した、ホース式のストレーナーでテストしたが
ポンプで吸い上げる力にホースが負けてペタッと潰れてしまい失敗。
コーナリングGで偏るエンジン内のオイルを追いかける仕組みです。
私はオイルパンとにらめっこして吸い口をオイルパンの底から3㎜高さに設定し
RB26のオイルパンにあるリブを削り平らにし、
隙間を隅から隅まで届く回転直径を割り出しました。
その中心にストレーナーの回転センターを持ってくるようにオイルポンプとパイプで接続。
ストレーナーの回転はベアリングを使う事にし、ベアリングが入るケースを作ってやかんの様な吸い口を取り付けました。
近藤レーシングに来てから溶接もパイプ曲げも出来ようになりましたし、
私は旋盤や、フライスといった機械加工を10代の頃からやっていたため、
形にするのはそれほど時間がかからず試作品が完成。
オイルパンを右に傾けると吸い口が右にぐるっと移動。
オイルパンを左に傾けると吸い口が右にぐるっと移動。
最初はエンジンの傾きになかなかうまく追従せず、頭にボルトを取り付け重しにして調整。
※ボルトは振動で落ちる可能性があるため、最終的には真鍮を溶かして錘にし改良した。
個体差が出ない様に重さをグラム単位で合わせた。
本当に実践で使えるのか?
トップチームがタイヤテストで富士スピードウェイに来た時に、助手席に
オイルパンとストレーナーを設置し、同乗走行した思い出も。
(ドライバーは千葉プリ号の横島久さんだったような気がします。)
行けそうだ。チームと相談し一か八かやってみるしかない。
そしていよいよ実践投入となりました。
R33で多発していたエンジンブローは見事にピタッと止まり、
エンジンを壊さない様に抑えていたブーストも上げられるようになったため
連戦連勝。エンジン壊れて消えるGTRから速いGTR
NIレース クラス1の威厳を保てるようになったのです。
何か月かかったか忘れましたが完成したのが回転式のオイルストレーナー。
不格好ですが歴史を変えたと言っても過言ではない?!回転式のオイルストレーナー。
なんと、正式に日産の部品番号も与えられています。特許も取っています。
純正のオイルパンのリブ切除もセットでワンオフ製作のため1個当たりの価格は高いのですが、エンジン壊す費用考えたら安い。
データロガーに記録された安定した油圧。今も蘇るあの感動は忘れられない。
右から2番目、25歳の僕です。
何機も組んだRB26。
泣かされたCJ4AのMIVECのカムホルダー。
今考えれば一番楽しかったな。
懐かしい・・・
ご参考までに。
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対象車両情報
初年度登録年月 | 平成8年 | メーカー・ブランド | 日産 |
---|---|---|---|
車種 | スカイライン | グレード | GT-R Vスペック |
型式 | E-BCNR33 |
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