スズキ　キャリートラック　ミッション異音｜車検・点検・修理のグーネットピット

ＦＲベースの４ＷＤツーシーター。
スポーツカーを思わせるような文言で実績スタートですが
結局のお話は軽トラックです

元々はエンジンから異音がするとのことでご入庫いただきましたが
停車してアクセルを吹かしても異常な音はせず･･･
実走行にて確認してみると唸るような異音が確認できました。
文字にするとウィーーーン！って感じでございます

この場合、どこから発生の異音かが焦点となるわけですが
先程の空吹かしで音の発生がないことから、ミッションやデファレンシャルの駆動系統の可能性が高いです
二人掛りとはなりますが、リフトアップでタイヤを空転させての確認作業をしていくと、どうやらミッション内部からの異音のようです。

どうやら、ミッションのギアの支持に使われているベアリングからの異音と判断いたしました

ギヤ付きの自転車のチェーンの部分って見た事ありますか？
大きい歯車(ペダル側）で小さい歯車（車輪側）を回したり
小さい歯車（ペダル側）で大きい歯車（車輪側）を回したりしていますが
自動車のギヤも原理は同じです
ミッションの中には大きな歯車が入っており、後退を含んだギヤが重なって
ケースに収められています。
今回はその歯車（ギヤ）を支える為のベアリングの不良です
その為、走行すると異音が出ております。

ミッションをバラバラにしてベアリングの交換もできるのですが、今回は工具の都合や
お預かり期間の観点からリビルトミッションでの交換をお勧めしました。
消耗品の交換や各部の測定をやり直した再生ミッションとなりますので今後も安心です

２日ほどでリビルトミッションも到着し
クラッチも交換履歴は解らないとのことでしたので一緒に交換いたします。
この軽トラックは４WDのため、前後のタイヤを回す為の装置トランスファーが
ミッションの後部についております。写真ではミッションの左側の上部分。
飛び出たところ周辺がトランスファーです
そのために２WDのミッションより大型で重いです

ミッションの取り外しはエンジンに比べると結構簡単です
特に後輪駆動がベースの車は作業スペースも多く確保しやすく
順調にすすみます
各センサー類、セルモーター、作動用のケーブルなどをサクサク取り外していきます

ミッションを取り外すとクラッチが出てきます
エンジンの回転を繋いだり切り離したりしているパーツですね
走行距離は少ないのですが、年数は経過しているので錆が目立ちます
車輌の下部も錆が結構目立つので、停車していた時間が長いのではないかと思われます

ミッションの新旧比較
今回は内部異常ですので外観はまったく同じです

クラッチの新旧比較
これまた不具合が出ていた物ではないので、外見上大差なしです
メーカーの違いで少し形状が違いますが、適合品です

エンジンの最後部であり、クラッチの取り付け場所のフライホイールです
フライホイールは交換の必要性がなかったので、中心のベアリング
パイロットベアリングのみ交換します
ミッションのシャフトの一番先端が刺さるところです

こちらは組み込みが済んだ状態ですが、クラッチを効かせる時に作動するベアリングです
黒い部品が中心に見えますが、ワイヤーを介してこの部品がベアリングをクラッチに押し当てます。そうするとエンジンの回転がミッションに伝わらなくなります
回転しているクラッチに当たるのでベアリングになっています
ベアリング＝レリーズベアリング
黒い部品＝レリーズフォーク

クラッチ交換の際で、一番注意することは部品通しの中心を出すことです
そのため、治具とよばれる工具を使用します
ミッションのシャフト先端がクラッチの中を通り、パイロットベアリングに刺さります
その為これらの部品の位置が中心よりずれていると、ミッションが組みつけられません
１枚目の写真は実際の組み付け途中
２枚目の写真は、取り付けの説明用に撮影しました。

あと回転部品になりますので中心がズレていると、回転にムラがでて普通に乗れません

組み付けたクラッチを覗いてみました
クラッチの中心からパイロットベアリングの中心が真ん中に見えます
まっすぐ芯の出ている状態です

あとは外した部品を元に戻していく作業になります

元に戻して完成です

ミッションだけ綺麗で浮いた感じになっています。

このあと走行テストを実施しましたが、異音も解消しスムーズに運転できました

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