故障・修理
更新日:2022.06.07 / 掲載日:2022.06.07

DATSUN「フェアレディ」再起動!!【VOL.11】

 これまでオートメカニック誌で数々のレストアを手掛けてきたハリー山崎ですが、そんな彼が昨年末に知人から「アメリカから輸入するフェアレディの車検を通すのを助けて……」というヘルプコールを受けた。5年近くコツコツと直してきたベンツちゃんの代わりを探していたこともあって、この依頼を即座に快諾。こうして1969年式のフェアレディが今回のメンテの相棒に決定したわけです。

 国内外に多くの熱狂的なファンを持つモデルだけに、一人でコツコツ作業をするのはもったいない。そこで今回は、これまで多くの企画でお世話になってきた「日本工学院北海道専門学校 自動車整備科」の協力を得て、自動車整備の未来を担う学生さん達と一緒にレストアを進めることに。

 これまでの作業で、我らのフェアレディが“ワケ有り”であることが判明。フロント側のサビが酷いわりにはリヤ側のサビ考えもしなかったフレームの重大トラブルによって、あわやレストア作業強制終了?!にもなりかけたが、頼りになるプロの助言によってピンチを脱出。 とはいえ、今回も問題戦績、四面楚歌は続きそう。ドラマチックなレストア術をご笑覧あれ!

●文&写真:ハリー山崎

錆だらけボディはもう復活できた(笑)ことにします!

2液タイプのエポキシ系防錆プライマーでガッチリ防錆。ボディ内部は現状でいくことになるけど、とりあえず納得できるところまで持ち込めたかな?

錆地獄からようやく解放!まずまずのリカバリーに満足

一通りの錆処理が終わったことで、ようやく錆色の世界から解放されたかも? 齋藤先生の力を思いっきり借りたこともあって、満足できるレベルまでリカバリーできたと思う。次は車体まわりの状態確認に進むことにする。

作業はようやく折返し地点と思ったのも束の間……

不安定な状態での作業は常に危険が付きまとう。「車体が万が一落ちても、手を挟まない位置を考えるようにね!」と声をかけながら作業は完了。ようやく、作業の折り返し点か~と思ったのもつかの間、レストアのエキスパートから思いもよらないアドバイスが……。

ヘッドボルト破損は定番トラブルらしい……

「ハリーさん、ボディ合体お疲れさまでした! ちなみに、ヘッドボルトは折れていましたか?」 くわしく話を聞いてみたところ、このクルマのエンジンヘッドボルト破損は定番トラブルで、レストア時に交換するのは必須とか。再び車体を降ろして、ヘッドを外すことに……。

シリンダーまわりはまったく問題なし

バルブカバー内部はスラッジもなく非常にキレイな状態。ボアスコープでシリンダー壁を点検するとしても、摩耗が少ない目安になる“クロスハッチ”も確認できた。コンプレッションチェックでも4気筒とも低めながら揃っていたので、ここは問題なさそうだ。

懸念されていたボルト問題やっぱり折れていました……

「やっぱり折れていますね」と、聞きたくなかった現実に直面。作業スケジュールは大幅に変更することになった。破断面に金属光沢はないので、かなり前に折れたものと推測できるが、ガスケットの吹き抜けには至っていないのは不幸中の幸いだろう。

腰下点検もやるべきか?運命の分かれ道

ヘッドボルトだけ交換するか? それとも、ここまで分解したのだから腰下作業もやってしまうか? シリンダー壁の摩耗が少ないので悩むところだが、タイミングチェーンテンショナーにチェーンが当たった痕跡を発見。やはり腰下の点検作業もやることにします……。

ハリーズガレージで本格整備に着手

学校は冬休み間近なのでハリーズガレージにエンジンを移送。冬眠中の黄色いベンツちゃんにぶつけないように慎重にエンジンを運ぶ。オイルパンはアルミ製。このベンツちゃんのオイルパンもアルミ製だったが、カム回りなど構造が似ていると思う。

問題のボルトを再確認。一度交換したように思える

ボルトはU20エンジンの定番トラブルというが、そもそもボルトの強度が不足しているのだろうか? ガスケットの状態は悪くないので、すでに交換した印象を受けるのだが、交換作業の際のオーバートルクも破断の引き金になった可能性はあるだろう。

懸念していたボルトだがスムーズに処理できた

浸透性潤滑材を吹きかけて、一晩ほど放置。その後、ポンチでボルトの周囲を緩める方向に注意深く叩くとなんとか抜けた。ブロック側のネジ山にはダメージがないので、新品ボルトを組み込めば大丈夫だろう。ネジ山再生する覚悟もあったが、ホント良かった。

ディスクは新品同然?謎は深まるばかり

リングギヤにソケットを噛まし回り止めしながら、クラッチを分解。クラッチディスクはほぼ新品にしか見えない……。前オーナーはせっかく交換したのに “なんらかの理由” で走行が難しく、手放したということなのだろうか? 深く考えたら負けかもしれない。 

リヤ側は特に問題なし!交換するべきか、悩む

フライホイールは、六角穴付きボルトでしっかり固定。リヤメインシールからのオイル漏れは確認できない。パーツ図によると一般的なオイルシールではなく、昔のエンジンに多い“芋虫”タイプのオイルシールが採用されていた。交換するか、悩むところだ。

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ライタープロフィール

内外出版/オートメカニック
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