車検・点検・メンテナンス
更新日:2017.12.11 / 掲載日:2017.12.11
禁断のクルマ実験室 強く締めすぎたらどうなる?


トルクの小さなところも締め付けが難しい
ボルトやナットの締め付け力は、トルクで管理される事が多いが、全ての部分にトルクレンチを使うのは現実的に難しい。締め付けトルクをカバーするトルクレンチを用意しなくてはいけないのは当然としても、通常工具からの付替えに手間が掛かるし、作業スペースの関係でトルクレンチ自体が入らなかったり、アダプターを付けないとムリなところも多い。結局、手の感覚で締めるしかないのだ。
トルクレンチの有無以前に、トルク値を把握しているか? という問題もある。 そのようなことで、勘に頼ると適切なトルクにすることが難しくなる。よくあるのが、ドレンボルトの締めすぎによるガスケット潰れやネジ破損、逆にスパークプラグを交換した場合、締め不足が結構ある。前者は作業者の不安とオイルで潤滑されることで締まりやすくなるし、後者は新品ガスケットの潰れが多いため、締め付けの途中でグニャリ感が出たところでやめてしまう事が多いため。
ここでは、ブレーキのエア抜きで回すことの多いブリーダープラグで、強い締め付けをやってみた。
※専用施設等において専門家の指導のもと取材しています。
10N・mを超えるトルクで締め込んでみる






一番上右の写真はビスタから取り外したものだが、僅かに穴が潰れている。10N・mスタートで、プラス90度を目処に増し締めしてトルク値を読みつつ変形をチェック。14N・mでは変形が大きく、明らかに穴が潰れている。15.6N・mで先の細い部分が曲がってくる。潰れだすと、締め付け角度に対するトルクの上がり方は少なくなる。

<実験結果> かなりデリケート。オーバートルクは厳禁
ブリーダープラグの開閉は、メガネレンチや専用レンチで行うが、ブレーキの油圧部ということで漏れを恐れて締め付けを強くしがち。実際、整備をプロ任せにしていたビスタのも変形していた。中古車等で、あまりにエア抜き時にフルードの抜けが悪いようであれば、プラグを抜いて点検しよう。
提供元:オートメカニック