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2022年03月17日 14:04トヨタ MR-S 脚回り修理
ZZW30型 トヨタ MR-Sがデビューしたのは1999年の事。エンリケ・イグレシアスの「Bailamos」をBGMに紅いドレスを纏った女性がフラメンコを踊るラテン調で洒落たTVCMは、当時とても印象的でした。
W30の型式が示す通りMR2の後継車種に当たりますが、車体の大型化やターボエンジンによるハイパフォーマンス化路線に傾きつつあった先代のSW20から方向転換し、レスパワーながら軽快なドライビングを楽しめるコンパクトオープン2シーターというマツダのロードスターに近いコンセプトの車として開発されました。
ジアコーザ式FFのドライブトレインを運転席直後に移設するというフィアットX1/9で確立された安価なミッドシップの設計手法を踏襲している点は初代のAW10系から不変ですが、SW20ではそのコンポーネントをミドルクラスのセリカと共有していたのに対し、MR-Sはスターレットの後継にあたるコンパクトカーであるヴィッツのコンポーネントを使用。搭載される1ZZ-FEはレギュラー仕様の非スポーツエンジンですが全域で扱い易く、1t前後と軽量に仕上がった車重のおかげで過不足なくキビキビと走ります。
組み合わされるトランスミッションは年式により5速と6速がありますが、今回ご入庫の個体は前期の5速MT仕様。
この他にSMTと呼ばれるクラッチ制御を自動化したシーケンシャルセミオートマチックが用意されており、こちらはAT限定免許でも運転可能となっています。
車名は先代のMR2が「ミッドシップ・ランナバウト・2シーター」の略称だったのに対し、MR-Sは「ミッドシップ・ランナバウト・スポーツオープンカー」の略称となんだかまどろっこしいことに…。SW20をベースとしたオープン仕様のテクノクラフト製特装車が「MRスパイダー」という名前だった為MR-Sもそうしたかったのでしょうが、スパイダーという名称はコンパーノスパイダーやリーザスパイダーを販売していたダイハツが日本における商標権を持っている関係から使用できなかったようです。一方で輸出仕様はMR2の名称が継続使用され、中でも北米仕様はオープンカーであることを明確に示すために「MR2スパイダー」の名称で販売されました。
そんなMR-Sですが、モータースポーツの現場での最も有名な活躍はJGTC/スーパーGTのGT300クラスに於けるものでしょう。
日本の著名なチューニングパーツメーカー・アペックスのレース部門から独立する形で2000年5月に創立したaprは主にトヨタ系のGT300車両の開発・運用を手掛けていることで有名ですが、その記念すべき最初のマシンがMR-Sでした。外観は大幅にワイド化され、リアに聳える巨大なGTウィングと相俟ってノーマルの印象とはガラリと変わり迫力あるルックスに。2004年からは前年度のレギュレーション変更を受けパイプフレーム化&縦置きエンジン化の大幅なアップデートが実施され、より低く構えたシルエットに変わります。搭載エンジンは2005年まではGr.CやWRC・GT500でも実績があり先代モデルの搭載エンジンでもある3S-GTEを使用し、2006年からはエスティマやハリアー等に搭載されるV6・3.5Lの大排気量自然吸気エンジン・2GR-FEにスイッチ。2GRエンジンはベース車がアクシオに切り替わってからも継続使用されました。
このMR-Sの開発にはまだアペックス時代の前年度・99年に名門・つちやエンジニアリングとジョイントしてMR2でGT300に参戦した際に得たノウハウが多分に生かされており、投入初年度は当初こそショートホイールベースから来る気難しい挙動に苦戦しますが、熟成が進んだ最終戦では初優勝を記録しポテンシャルの高さを示します。翌01年は前年のフィードバックを得て各部を改良した結果、開幕戦から優勝。最終的にシーズン4勝を挙げトップコンテンダーの仲間入りを果たします。その後は2002年にARTAの新田守男/高木真一組、2005年にRECKLESSの佐々木孝太/山野哲也組、2007年にトイストーリーaprの大嶋和也/石浦宏明組と3度に渡ってそれぞれシリーズチャンピオンに輝く強さを見せ、またチャンピオンに輝いたエントラント以外のマシンについても幾度となく上位争いに食い込む速さを発揮し、最終的には2009年にaprがベース車両をカローラアクシオにスイッチするまでの実に8年間に渡って一線級の戦闘力を誇り続けました。
また、このマシンはラナ エンタテインメントの手によるタイアップで2006~2007年には「トイストーリー」の、2008年には「カーズ」の主人公である”ライトニング・マックィーン”のカラーリングを纏って走ったことで、戦績以外でも多くの人々の記憶に残ったマシンであると言えるでしょう。
今回のお客様の個体は一見ノーマルに見えますが、ロールバーの装着やフロアマット等の撤去による軽量化等、随所に”走り好き”を感じさせるモディファイが施されておりました。
装着タイヤもダンロップ・ディレッツァZⅢで、ショルダーの摩耗の様子からスポーツドライビングを嗜まれている様子が想像できます。
余談は程々に、本題に入ります。
今回の作業内容は縁石にヒットして破損した脚回りの修理になります。
上の写真は二枚ともステアリングをセンターにした状態のものですが、左前輪が目に見えて内側を向いてしまっているのが分かるでしょう。
これでは直進もままなりません。
リフトで上げてタイヤを外すと、タイロッドが見事に逆への字に曲がってしまっていました…
新品タイロッドとの比較写真です。
今回はナックルとハブも同時交換のため、取り外していきます。
交換後の写真です。
試走してステアリングのセンターを出し、サイドスリップが規定値内に収まっていることを確認して作業完了です。
対象車両情報
| 初年度登録年月 | 平成14年 | メーカー・ブランド | トヨタ |
|---|---|---|---|
| 車種 | MR-S | グレード | ベースグレード |
| 型式 | TA-ZZW30 |
