輸入車
更新日:2022.02.25 / 掲載日:2022.02.18
ボルボがコロナ禍で過去最高の業績を記録したワケ【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ボルボ
2021年の自動車業界の販売実績について、このところ毎週書いていますが、またまたニュースリリースが飛び込んできました。今週はボルボです。なんとこちらもまた2021年は過去最高の売上高と収益を記録しました。
全世界での売上高は約3兆5100億円で販売台数は69万8700台
売上高は2820億SEK。1SEK=12.45円で計算すると、約3兆5100億円になるそうです。ちなみに、SEKはスウェーデンの通貨スウェーデン・クローネのこと。クローナとも発音するようですね。デンマークではデンマーク・クローネ(ナ)、ノルウェーではノルウェー・クローネ(ナ)を使います。ユーロがそのまま使えるとヨーロッパ旅行には楽なんですけど、スカンジナビアに足を踏み入れるときは両替が必要です。
販売台数は69万8700台でした。2020年は新型コロナウィルスの影響で66万台少々だったので見事な回復です。ただ、2019年は創業以来初めて70万台を超えていますから、そこには及びませんでした。が、今回はそれでも過去最高の売上と収益を得たのだから立派です。ボルボ一台の平均単価が上がっているのでしょうか。そうであればプレミアム度は益々高まったといえます。
電動化が1台あたりの単価を引き上げた
一台あたりの平均単価が上がった要因のひとつに、電動化があります。彼ら流でいうところの“リチャージ”モデル、いわゆるBEVやPHEVの比率が上がっています。今年は夏以降さらにリチャージモデルの年間生産台数を15万台に引き上げ、ラインナップに占める割合を昨年の2倍にする計画だそうです。まぁ、2030年までには完全な電気自動車メーカーになるという目標を掲げていますから、順調にその道を歩んでいるということになりますね。次世代電気自動車生産のための工場への投資も進んでいて、本社のあるイェーテボリにバッテリー工場を新設したりしています。
BEV専用モデルは販売方法もユニーク

そんな背景を考えると、今ボルボカージャパンのトップページにボルボ初のピュアEV、C40リチャージが陣取っているのもわかります。近未来のボルボを象徴するモデルです。デザインもより未来的に感じました。
ラインナップはこの他に、プラグインハイブリッドと48Vのマイルドハイブリッドが顔を並べます。ですが、48Vのモデルは徐々にBEVかPHEVにスイッチしていくことになるでしょう。マイルドハイブリッドの主役はあくまでも内燃機関ですから生き残りはできません。 “リチャージ”の名前が付かないのがその証拠です。

C40リチャージがユニークなのは、ハードウェアばかりではありません。販売をオンラインで行います。専用のサイトでボディカラーやオプションを決めて発注します。そして、そこでオーダーしたあとは最寄りのディーラーで試乗することができるそうです。納車もディーラーで行うとか。その意味ではディーラーとの関わりはこれからも続くはず。定期点検や修理、車検もありますから、ディーラーが消滅することはないでしょうね。
とはいうものの、先日オンラインで発表された韓国の自動車メーカーHYUNDAIは日本でディーラー展開をしないそうです。オンラインでの販売に徹するとのことです。納車はどうなんでしょう。Amazonで送られてきたりして。不在のときは置き配ですかね。ガレージに入れておいてくれると楽かもしれません。今度その辺を聞いておきます。
ちなみに、日本に再上陸したHYUNDAIは“ヒュンダイ”ではなく、“ヒョンデ”と発音するそうです。慣れるまで間違えそう。ヒュンデはBEVとFCEV(燃料電池車)でスタートします。
話が外れましたが、最近のボルボはデザインがグッとよくなったと思います。先日XC60を久しぶりにお借りしてそう思いました。素直にカッコイイと。フロンタマスクからリアエンドまで洗練されていて、無駄がないという感じ。それにインテリアも上質な仕上がりで、大人っぽいというか、癒される空間という気がしました。
こういうのって大切な気がします。近年煽り運転が問題視されていますが、ボルボに乗っているとそんなことをする気にならないと感じました。どこか心にゆとりが持てるというか。これぞデザインのチカラですよね。頭の中でエンヤのオンリータイムがヘビロテしてきました。あれ、エンヤはアイルランド出身でしたっけ……ネ。
それはともかく、ボルボのラインナップの変動は今後も注目です。BEVが一気に増殖するのは時間の問題。XC90やV90あたりをどうBEV化していくか。見届けたいと思います。