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更新日:2021.12.01 / 掲載日:2021.12.01

ピニンファリーナのEVハイパーGT バッティスタ 最終走行テスト

アウトモビリ・ピニンファリーナ「バッティスタ」(Battista)
アウトモビリ・ピニンファリーナ「バッティスタ」(Battista)

 イタリアの自動車ブランド「アウトモビリ・ピニンファリーナ」は現地時間の12月1日、EVハイパーGT「バッティスタ」(Battista)が2022年初めの納車開始を控え、レーシングドライバーニック・ハイドフェルド氏が公道とサーキットにて走行テストを行ったと発表した。

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最高速度が350km/hに達する「フュリオサ」モード

アウトモビリ・ピニンファリーナ「バッティスタ」(Battista)正面

 元F1ドライバーで、フォーミュラEにも参戦したニック・ハイドフェルド氏は、同社のエンジニアらとともに、当初からバッティスタの開発に携わっている。「バッティスタはラグジュアリーカーやハイパーカーの世界に大きな進化をもたらすクルマであり、その開発に携われたことは実に光栄なことです。高度なシミュレーターに座り、バッティスタのパフォーマンスを初めて体験したのが2019年、そして本日は公道とサーキットでの実走行に至りました。アウトモビリ・ピニンファリーナのチームは、驚くほどのスピードを発揮し、運転する楽しみが尽きない唯一無二のハイパーGTの開発に成功したと断言できます」と語った。

 バッティスタ最高出力の1900hpを体験できる「フュリオサ」(Furiosa)モードでは、独立した電気モーター4基がフルトルクを発生し、 0-100km/h加速2秒未満、最高速度は350km/hに到達。当初は最大トルク2300Nmに設定されていたが、現在は2360Nmにアップしている。フロントに配置された250kWのモーター2基がそれぞれ280Nmを発生し、リアに配置された450kWのモーター2基がそれぞれ900Nmを発生するという。

“まるで生命が宿ったかのようなサウンド”を奏でた走行テスト

 ニック・ハイドフェルド氏は次のようにも語った。「今回のテストではバッティスタをフルパワーで運転できました。加速時の感覚は実に刺激的で、ドライバーはこの感覚を何度味わっても決して飽きることはないでしょう。このロードカーはF1カーをも凌ぐスピードを誇り、フュリオサモードではいつでも満面の笑みを浮かべて運転していました。私と共にバッティスタに乗車したクライアントの皆様は誰もがバッティスタの走りに感銘を受けていらっしゃいました。これほど素晴らしい体験はほかではできません」。

 さらに、「バッティスタの美しいデザインと威厳漂う佇まいを独特のエクステリアサウンドがさらに引き立てます。エクステリアサウンドが最もはっきりと聞こえるのはフュリオサモードです。サウンドを耳にしただけで思わず笑顔になります。姿が見えなくても、バッティスタだと音で分かるわけです。まるで生命が宿ったかのようなサウンドを聞き、クルマに感情移入したくなったのはまったく予想外のことでした。エクステリアサウンドは難題でしたが、開発チームの戦略は功を奏しました」

どんな路面にも対応する、新しいタイプのハイパーGT

バッティスタ トルク・ベクタリングシステム イメージ図
バッティスタ トルク・ベクタリングシステム イメージ図

 バッティスタでは、高度なトルクベクタリングシステムを介し、4基の永久磁石同期型モーター(PMSM)がそれぞれ独立して各ホイールに動力を供給することで、変化するドライビングダイナミクスを実現。

 このシステムは、ブレーキを使用せずに電気エネルギーを回生・変換する仕組みをもつ。4基の電気モーターを介してエネルギーが直接変換されるため、ブレーキ制御型のトルクベクタリングよりも、はるかに高速で正確かつ効率的にエネルギーをトルクに変換する。ドライバーのすぐ横に、ミーリング加工されたロータリーダイヤルが配置され、ドライビングモードを素早く切り替えることが可能。ドライビングモードは「プーラ」(Pura)、「カルマ」(Calma)、「エネルジカ」(Energica)、「フュリオサ」(Furiosa)、「カラッテレ」(Carattere)の5種類。さまざまな走行条件に合わせてバッティスタのキャラクターが発揮される設定となっている。

アウトモビリ・ピニンファリーナ「バッティスタ」(Battista)リア

 ハイドフェルド氏は「公道では荒れた路面に遭遇しても、ハンドリングのバランスが崩れることがありません。これぞハイパーGTという、期待を裏切らないフィーリングです。今年初めにイタリアのナルドでサーキットを走行し、バッティスタの驚異的なパフォーマンスは体験済みでしたので、私は今回の試乗にもかなり期待をしていました。そして今回のテストでは、サーキットだけでなく、どんな路面にも対応する新しいタイプのハイパーGTを目指した開発チームが、その目標を達成したことをはっきりと確認できました。乗り心地、ダンパー性能とも申し分なく、ステアリングフィールはナチュラルで、我々がバッティスタで目指したものが完璧に実現されています。私はレーシングドライバーなのでステアリングフィールに非常に敏感であり、軽やかでも一体感があり、ダイレクトでありながらスムーズなステアリングフィールを求めます」

 ドライブモードは数千マイルものソフトウェアシミュレーションによって調整された後、実際の車両に導入。運転条件に応じて最適なドライブモードを選択でき、高度なトルクベクタリングシステムのポテンシャルを引き出すことが可能となる。

日常的に安全に楽しめ、現代のグランツーリスモのあるべき姿を目指したバッティスタ

アウトモビリ・ピニンファリーナ「バッティスタ」(Battista)フロント

 アウトモビリ・ピニンファリーナのチーフ・プロダクト&エンジニアリング・オフィサーであるPaolo Dellacha氏は次のように述べた。「ニック・ハイドフェルド氏には2019年からご協力いだたいています。バッティスタのインテリアモデルで実施した人間工学的試験にて、運転姿勢とHMIシステムの評価をしていただいたのが最初でした。その後、高度なドライビングシミュレーターによるバッティスタのバーチャルテストもハイドフェルド氏に依頼し、我々はハイパーGTのシャシーダイナミクスの調整に取り掛かりました。 ハイドフェルド氏はF1とフォーミュラEで培ったドライビングスキルと豊かな経験の持ち主というだけにとどまらず、さまざまな開発段階においてお客様の視点で考え、的確にを評価・提案をする能力に長けた人であり、開発プログラム全体を通して素晴らしい役割を果たしてくれました」

「我々はバッティスタを、ハイパーカーに期待される圧倒的なパフォーマンスと、幅広いシーンに対応する使いやすさを兼ね備え、驚異的なパワーとトルクをいつでも発揮でき、日常的に安全に楽しめるクルマにしたいと考えていましたので、ハイドフェルド氏の意見はなくてはならないものでした。そうして完成したバッティスタは、洗練されたバランスのボディとアクスル、完璧に連動した電動パワートレーンとシャシー制御、最適に調整された5つのドライブモードを搭載。加えて、使いやすいユーザーインターフェースと独自のサウンドエクスペリエンスも装備。バッティスタは、現代のグランツーリスモのあるべき姿を示しています」

バッティスタ主要諸元

パフォーマンス
• 航続距離:最大500km
• 0-100km/h加速:2.0秒未満
• 0-300km/h加速:12.0秒未満
• 最高出力:1900hp
• 最大トルク:2360Nm
• 最高速度:350km/h
• 駆動方式:フルトルクベクタリング全輪駆動
• ドライビングモード:
  カルマ(Calma)
  プーラ(Pura)
  エネルジカ(Energica)
  フュリオサ(Furiosa)
  カラッテレ(Carattere)(バッティスタのパフォーマンスとダイナミクスをドライバーが設定可能)

ブレーキ
• ブレンボ CCMR カーボンセラミック 390mm ディスク、6ピストンキャリパー(フロント&リア)

ホイール
• 標準設定:20インチ 鍛造アルミニウム「プレツィオーソ」ホイール(フロント&リア)
• オプション:フロント20インチ、リア21インチの鍛造アルミニウム「インプルソ」ホイール

タイヤ
• ミシュラン PILOT SPORT CUP 2R

ボディ
• フルカーボンファイバー製モノコックボディとカーボンファイバー製ボディパネル、フロントとリアにアルミニウム製クラッシュ構造

バッテリーパック
• レイアウト:T字型水冷リチウムイオン
• サプライヤー:リマック・アウトモビリ(Rimac Automobili)
• バッテリーエネルギー:120kWh

充電
• DC急速充電、最大250kW

価格
• 198万ユーロより(税別)

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