輸入車
更新日:2021.12.23 / 掲載日:2021.10.04
Ferrari SF90 Stradale 【グーワールド コラム/インプレッション】

文●九島辰也 写真●フェラーリ
問い合わせ:フェラーリ・ジャパン URL:https://www.ferrari.com
(掲載されている内容はグーワールド本誌2021年11月号の内容です)
無条件に楽しめた! フェラーリ初の量産型PHEV

ニュースてんこ盛りのフェラーリが登場した。すでに発表時に多くのメディアで取り上げられているのでスーパーカー好きの方はご存じかと思うが、フェラーリ初の量産型プラグインハイブリッドモデル「SF90ストラダーレ」である。これまで12気筒エンジンとモーターを組み合わせた特別仕様車(ラフェラーリ)はあったが、今度はそれよりはハードルが下がった。
ただ、馬力を聞いて驚く、4LV8エンジンと3つのモーターを合わせた出力はなんと1000馬力! 文字どおり桁違いなのである。そのモーターはフロント左右にひとつずつ、リアにひとつ搭載される。でもってEVモードで走らせると、なんとフロントモーターだけで駆動するのだ。要するにFWD。これはレアなフェラーリといえる。
今回試乗したのは、そんなSF90ストラダーレのレース仕様“アセットフィオラーノ”。朝から夕方まで丸一日を使って東京と箱根を往復するプログラムだ。
驚いたのはEVモードでのナチュラルな動き。フロントが駆動されることに違和感はなく、スーッとクルマを前へ押し出す。結局都内はほとんどこれで走ったのだから恐れ入る。燃費的にも優位性は高そうだ。それに信号待ちで無駄に派手なアイドリングを響かせなくてすむのもベター。悪目立ちしないし、これなら深夜の帰宅も遠慮はいらないだろう。高速道路&ワインディングの走りにも不服はない。ミッドシップフェラーリらしく、ステアリング操作に対しクルクル向きを変える。そうそう、これがフェラーリの醍醐味。やっぱ無条件に楽しいのだ。
そして、クローズアップしたいのはインテリアのデザイン。ポルトフィーノMまでのダッシュボードとは違う未来的な計器が並ぶ。というかフルデジタルのメータークラスターが新しい。これが近未来のフェラーリ。彼ら流の進化に驚きの連続であった。
Profile
[自動車ジャーナリスト]九島辰也
ファッションや旅にも造詣が深い自動車ジャーナリスト。プライベートでは、アメリカ、ドイツ、イギリスと各国のクルマを乗り継いでいる。

「手はステアリングに」というF1からの考えで、ステアリングにはタッチ式コマンドが増えている。EVモードの切り替えもここ。慣れるまで少々複雑な操作となる。

ローマと同じセンターコンソールが目立つ新しいインテリア。レーシーかつ未来的なレイアウト。メッキのシフトゲートはレトロ調な仕上がりだ。

780馬力を発揮する4LV8ターボエンジン。リアガラスの中に収まっているが、低く積んでいるのが特徴。ギアは8速DCTを搭載。