新型SUV「メルセデス・マイバッハ GLS 600 4MATIC」を発表

　メルセデス・ベンツ日本株式会社は7月1日､メルセデス・マイバッハブランドから「メルセデス・マイバッハ GLS 600 4MATIC」を発表した。

　1921年から美しいスタイルと贅を尽くした室内空間による圧倒的な高級感で人々を魅了してきた伝説の名車「マイバッハ」。メルセデス･ベンツによる最新鋭のテクノロジーを備え、ゆったりとした室内空間にプレステージ感あふれるデザインとクラフトマンシップにより仕上げられた素材を随所に採用した、新しい高級SUVの形だ。
　メルセデス・マイバッハ GLS 600 4MATICは、メルセデス・ベンツのSUVを表す「GL」に、車格を表す「S」が付くその名のとおり、メルセデス・ベンツのSUVの中で最大かつ存在感のあるボディサイズと、オンロード/オフロードを問わない優れた走行性能を備えているGLSをベースにしつつ、メルセデス・マイバッハとしてふさわしい徹底的な改良を施し、究極のラグジュアリーSUVを体現するモデルに仕上がった。

　フォルムや先進技術をベースに、最高水準のセダンと同等の高級感と快適性を融合したSUVであるメルセデス・マイバッハ GLSは、威厳がありながらスタイリッシュかつ力強いスタイリングとなっている。
　フロントにはメルセデス・ベンツのSUVで唯一、伝統の「スリーポインテッドスター」が輝くボンネットマスコットを採用。フロントグリルは縦方向のピンストライプをモチーフとしている。このピンストライプは上端が太くなったボートのオールのような形をしており、フロントグリルを取り囲むクロームの上部中央には「MAYBACH」の文字が刻まれている。フロントエプロンにはクローム処理を施したメッシュのエアインテークを設け、V8エンジンの強力なパワーを控え目にアピールすると同時にエンジンルーム内の冷却機能も備える。

　サイドビューで際立つのはクローム仕上げのBピラーで、これは特にBピラーからCピラーにかけての後席空間の広さが外観からも想起できるようにもなっている。ルーフレールもハイグロスクローム仕上げとして機能と美しさを両立した。
　また、Dピラーにはメルセデス・マイバッハのエンブレムがあしらわれた。採用されるアルミホイールはメルセデス・ベンツ社が製造する乗用車の中で最大の23インチで、フロントグリルのピンストライプをモチーフとした鍛造でポリッシュ仕上げのマルチスポークデザインとしており、足元にエレガントな印象を与えてくれる。
　リアはスリーポインテッドスター下部とリアバンパー上部を走る2本のクロームトリムで、水平基調のデザインを表現。バンパー下部のアンダーガードと左右のエグゾーストエンドはハイグロスクローム仕上げとすることで、一体化しているようなアピアランスを形成している。

　室内パッケージで特徴的なのは、SUVならではの高めのヒップポイント。セダンのSクラスと比較すると運転席で250mm以上、後席で280mmそれぞれ高くなっているが、電動ランニングボードにより乗降は容易に行えるようになっている。後席をベースモデルのGLSより120mm後方に、30mm内側に移動させて、さらにゆとりを感じる広さを実現。4人乗りが標準仕様となる。
　インテリアはデジタル技術と上質な素材が融合した高級感漂う空間。ダッシュボードやステアリングは厳選したナッパレザーで覆われ、エアアウトレットのルーバーにはクロームの加飾を施しフロントグリルのピンストライプを想起させるデザインとなっている。イグニッションをONにするとMAYBACHの文字と専用の配色によるグラフィックが浮かび上がる。コックピットディスプレイの表示モードは「クラシック」「スポーツ」「プログレッシブ」「ジェントル」などから選択が可能。

　マイバッハGLSの内装は、5種類のウッドインテリアトリム*1と、3種類のインテリアカラー（ブラック、マホガニーブラウン/マキアートベージュ、クリスタルホワイト/シルバーグレー）のナッパレザーの組み合わせが選択可能。クリスタルホワイト/シルバーグレーは高級ヨットの艇内をモチーフにしており、ホワイトレザーにあしらったパイピングのローズゴールドはメルセデス・マイバッハ専用のディテールのひとつ。
　シートの中心線に沿ってあるボックスプリーツ加工も、高度なクラフトマンシップを表現するもの。本革シート表皮の中央に凹みを入れ、左右の部分を折り込んで互いに向き合わせることにより滑らかで広いシート表面とし、背中の形に合わせてフィットして荷重面積を広げることでゆったりと座れるようになってる。
　また、後席から見ることができる、前席バックレスト背面にもインテリアウッドトリムを配し、美しさと高級感が添えられている。

*1: アンスラサイトオークウッド、または designo ブラックアッシュウッドを選択した場合、ウッドステアリングは装備されない。

　室内は、どこに座っても極上の快適性を備える。GLS の 3 列シートを 2 列にしたことで後席を GLS よりも 120mm 後方へ配置して余裕あるレッグスペースが生み出された。後席バックレストの通常の角度は 27 度だが、それでも 1,020mmのヘッドクリアランスを確保している。さらに、メルセデス・マイバッハ S クラスと同様に最大で 43.5 度までのリクライニングが可能で、ゆったりと寛いだり仮眠を取るにも最適な空間としている。また、後席の後方にはパーセルシェルフが付いた固定式のパーティションを設置、居住スペースとラゲッジスペースを分離している。
　これにより、ボディ剛性/騒音レベルや空調効果の向上が図られた。左右の後席の間に、専用シャンパングラスの収納部と 750cc のシャンパンボトル3 本が入る大型のクーリングボックスを装備。また、センターコンソールに配置されるカップホルダーには温度調整機能が備わっている。ナッパレザーのアームレスト前方には、快適機能のすべてを操作できる 7 インチ画面の MBUX リアタブレットを装備。また、MBUX リアエンターテインメントシステムのモニターも後席左右に配置され、様々なコンテンツをリアシートで楽しむことができる。

　全てのシートにリラクゼーション機能が標準装備。それぞれのバックレストには身体に圧力を加えるポイントが 10 箇所あり、シートヒーターとの組み合わせで温めながら押圧を行うことも可能。
　また、ノイズ軽減タイヤやフロントおよびサイドウィンドウに遮音ガラスを採用しており、静粛性が極めて高く、理想的なオーディオルームにもなる。標準装備となるBurmesterハイエンド 3D サラウンドサウンドシステムは、高性能スピーカー27 個と24チャンネルアンプ、合計出力 1,590W のシステムにより、室内の条件に合わせて適正に調整された優れたクオリティのサウンドが届けられる。さらに前後席間の会話をサポートする双方向車内通信システムを備える。

　パワートレインには 3,982cc の V 型 8 気筒ツインターボエンジン「M177」に 48V 電気システムと ISG（インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター）を組み合わせたユニットを採用。システム最高出力は 558PS（410kW）、最大トルクは730N・m 。また、ISG により瞬間的に 22PS（16kW）と 250N・m を短時間発生することが可能となっている。
　低中負荷域で気筒休止を行うことも大きな特徴のひとつで、ダイナミックセレクトで「コンフォート」が選択された場合、エンジン回転数が 800～3,250rpm の領域で 4つのシリンダーを休止。アクセルを強く踏み込むと、すぐに燃焼運転に復帰する。4 気筒と 8 気筒の切り替えはスムーズに行われ、快適性はそのまま。また、振り子型ダンパーを備えることで 4 気筒で発生する 2 次振動などを低減する。
　トランスミッションは 9G-TRONIC を採用し、変速比幅が広いことからエンジン回転数を必要以上に上げることなく常に快適な走行性能を実現。4 輪駆動システムの4MATICは走行状況に応じて前後の駆動力配分を0:100から100:0まで可変する。

　対話型インフォテインメントシステム MBUX（メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス）の最大の特長のひとつが人工知能による学習機能で、特定のユーザーに適応する個別対応能力を備える。そのため、クルマとドライバー/乗員の間にコミュニケーションが生まれ、ボイスコントロールは「Hi(ハイ), Mercedes(メルセデス)」をキーワードとして起動する。
　従来の音声認識機能は指示語が決まっていて、ユーザーがそのとおりに発話する必要があったが、MBUX の音声認識機能は、通常の会話のようにインフォテインメントおよび車両機能の操作が行える。たとえばクライメートコントロールで温度を下げる場合、「温度 24 度」という明確な指示でなくても、「暑い」と言えば理解できるように。また、クラウド上のシステムの向上により認識できる言葉、認識性能も向上するという。

　MBUX は高度な個別対応能力を備えさまざまな設定を行うことが可能だが、学習能力も持っておりユーザーに合わせて適応する。例えば、定期的に決まった電話番号へ電話をするユーザーに対しては、その時刻になるとディスプレイに相手の電話番号を「おすすめ」として表示したり、決まった時刻に決まったラジオ放送局にいつも切り替えるユーザーには、その時刻になると切り替えを提案してくれる。