輸入車
更新日:2021.06.09 / 掲載日:2021.06.09
SIP-ADUS TEST DRIVE 完全自動運転となるレベル4をお台場の公道で体験した

文と写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2021年7月号の内容です)
問い合わせ:SIP自動運転 URL:https://www.sip-adus.go.jp
お台場の道をゆっくりと走る1台のクルマ。運転席にドライバーは座っているが、その手をステアリングから離したまま交差点に進入していく。普通であれば、あわや事故か! とヒヤヒヤする状況だが、クルマは自動的にウインカーを点滅させながら減速し、横断歩道の歩行者を優先させ、見事に左折をクリアしてしまった。 これは4月に実施されたSIP自動運転主催の試乗会でのできごと。SIPとは、「戦略的イノベーション創造プログラム」の略で、我が国の科学技術の将来を舵取りするべく、政府が音頭を取って、産学官連携、府省連携のプロジェクトとしてスタートしたものだ。そのなかで、自動車産業の分野をカバーするのが、「SIP-adus(SIP自動運転)」。自動車産業の次なるフロンティアである自動運転分野で世界をリードするべく、オールジャパン体制で取り組もうというプロジェクトで、今回行われた試乗会には、2018年から取り組んでいる第2期の中間発表という意味合いがある。 冒頭の試乗シーンは、まだ市場投入されていない自動運転レベル4のテスト車両を同乗試乗した際のもの。自動運転は、その内容をレベル0から5までで区分されるが、状況の監視を行うのが人間からシステムになるのが、レベル3から。レベル4では、特定状況下においての完全自動運転を実現する。限定地域での無人移動サービスなどへの活用が見込まれている。 お台場は、SIP自動運転の実証実験地域に指定されており、設置される信号機も自動運転との連携を考えた発信器付きとなっている。これだけ充実した環境は世界を見渡してもほかにないとのことで、日本だけでなく世界各国からエンジニアが実験に参加し、情報共有を行っている。自動運転の基礎技術やインフラについては、競争ではなく協調していくというのがSIP自動運転の考え方だ。 残念ながら、実用化にはまだハードルが高い自動運転だが、技術は着実に進化しているということを今回の試乗会で実感することができた。そして、これら先進技術の一部はレベル2の市販車にも先んじて投入されるというから楽しみだ。

特定のエリアを巡回するバス的な役割をイメージしているコンチネンタルの自動運転シャトル。ハンドルなどを備えない純粋な自動運転車で、将来的には無人で稼働する。車内の忘れ物を画像認識する機能も備えている。

部品メーカー大手のヴァレオによる実験車両。自社製のセンサーを組み合わせて自動運転システム「Drive4U」を構築している。LiDARが自車位置を高精度で測位する。

コンチネンタルによる自家用車をイメージした自動運転車両。自動運転レベル4の機能を備え、市街地走行を自動で行うだけでなく、目的地到着後には自動で駐車も行う。