輸入車
更新日:2021.04.09 / 掲載日:2021.04.08

【試乗レポート キャデラック CT5】すべてが新しくなったCT5にブランドの変化を実感

新型キャデラック CT5

新型キャデラック CT5

文●九島辰也 写真●キャデラック、ユニット・コンパス

 2015年から始まったGMの改革も最終章の第3フェーズに入った。リブランディング、ネットワークの再構築、ラインナップの充実ときて、今年からEV戦略と自動運転へと舵を切る。かつての自動車業界の巨人がここで一気にリーディングカンパニーに躍り出ようという戦略だ。

 そんな折、日本国内においてなかなかできなかった試乗会が行われた。コロナ禍でのイベント自粛と北米工場での操業停止が要因で、これまで機会を逃してきたからだ。その意味で久しぶりのGM車だけに新型CT5のテストドライブは興味津々であった。

伝統的な3BOXセダンをクーペライクなスタイリングで表現

新型キャデラック CT5の走行イメージ

新型キャデラック CT5の走行イメージ

 ご存知のようにキャデラックはセダンシリーズをCTと称している。その後の数字でクラス分けをする格好だ。これまでのATSやCTS、DTSはすでに姿を消している。かつてはCTSスポーツワゴンというステーションワゴンタイプもあったのが懐かしい。それにハイパフォーマンスのVシリーズ。今後CTシリーズになってもこの“V”は追加されることを期待したい。

 それはともかく、ファーストドライブとなる新型CT5である。このクルマの特徴はまずはデザイン。4ドアセダンでありながらいま流行のクーペライクなフォルムを持つ。リアピラーの角度はかなり寝ていてそれがそのままリアエンドへと繋がるラインだ。となるとハッチバック?と思いきや、バルクヘッドのある独立したトランクスペースが用意される。この辺は北米とヨーロッパのマーケットにおける嗜好の違いだろう。ハッチバックに慣れ親しんでいるヨーロッパとは異なり、北米ではよりフォーマルなスリーボックスセダンの方が好まれる傾向が強い。

新開発プラットフォームに2L直4ターボと10速ATを搭載

新型キャデラック CT5のエンジンルーム

新型キャデラック CT5のエンジンルーム

 基本骨格は新世代のアルファアーキテクチャーが採用される。軽量かつ高剛性がウリのプラットフォームで、エンジン縦置きのFRパッケージをベースとする。よって上級グレードのスポーツに採用されるAWDもリア駆動のテイストを強くする。ドライブモードはデフォルトの「ツアー」モードで前後40:60、「スポーツ」で20:80というリアをメインとしたトルク配分だ。これによりFRスポーツ的な走りの味付けが濃くなるのはいうまでもない。ちなみに「アイス&スノー」は50:50という振り分けとなる。

 エンジンは2リッター直4直噴式ターボユニットが搭載される。ATSの時代からそうだが、イマドキはキャデラックも4気筒がボリュームゾーンだ。最高出力は240psを発揮する。

 そして組み合わされるトランスミッションはなんと10速AT。上3段はオーバードライブとなる。その点では高速道路の巡航は燃費が期待できるかもしれない。特徴はこれだけのギア数を持ちながらコンパクトに設計されていること。ハウジングを見てもわかるように、10段ギアが入っているようには思えない。しかもこれは自社製。これまではサプライヤーやグループ会社のGMパワートレーンから購入していたが、今は社内の開発部門が設計と製造を行っている。そういった座組みもこれまでとは違う。

ガジェットのような液晶モニターを採用した新しいインテリア

新型キャデラック CT5のインテリア

新型キャデラック CT5のインテリア

 インテリアでは新しくなったインターフェイスが目に付く。センターに配置されたガジェットのような液晶モニターとメーター周り、それとカラーのヘッドアップディスプレイがイマドキ感を出す。個人的に思うのは、CTSまでのエッジの効いたデザインとは路線変更していること。ダッシュボードはこれまでよりユーザーフレンドリーな仕上がりに思える。そういえばこのクルマはリアカメラミラーを装備していた。比較的早くからキャデラックはそれを採用していたと記憶する。人間の方が追いついていなかったが、ようやく最近慣れてきた。

  • 新型キャデラック CT5のフロントシート

    新型キャデラック CT5のフロントシート

  • 新型キャデラック CT5のリアシート

    新型キャデラック CT5のリアシート

  • 新型キャデラック CT5のラゲッジルーム

    新型キャデラック CT5のラゲッジルーム

4WDであってもスポーティさを損なわないドライビングフィール

新型キャデラック CT5の走行イメージ

新型キャデラック CT5の走行イメージ

 では、実際に走らせたらどうか。試乗車は上級グレードのスポーツだった。印象は出だしからその名のとおり、スポーティさが前面に押し出されている。エンジンはアクセルに対し反応良く、4気筒ユニットが高回転域まできれいにまわる。一瞬沈み込むような態勢で加速するフィーリングがいい。軽快さもあり、キビキビした走りが楽しめる。というテイストなので、乗り心地は少し硬め。19インチタイヤを履いていたこともあり、意図的に味付けられたと思われる。

 好印象なのはトラクションの自然な割り振りだろう。デフォルトの「ツアー」も「スポーツ」もフロントのトラクションが気持ちよさを邪魔することなく、スムーズな走りを体感させてくれる。クルマによってはフロントタイヤを駆ることで一気にスポーティさがスポイルされるモノもあるが、このクルマは違った。この味付けは相当こだわったと推測できる。

といったのが新型CT5のファーストインプレッション。すでにキャデラックのイメージはアップデートされているので、軽快な走りを素直に楽しむことができた。このクラスのクルマ選びがこれでまた楽しくなった気がする。スタイリングが気に入ったら試乗することをお勧めする。

キャデラック CT5 スポーツ(10速AT)

■全長×全幅×全高:4925×1895×1445mm
■ホイールベース:2935mm
■車両重量:1760kg
■エンジン:直4DOHCターボ
■総排気量:1997cc
■最高出力:240ps/5000rpm
■最大トルク:35.6kgm/1500-4000rpm
■サスペンション前/後:ストラット/マルチリンク
■ブレーキ前後:ディスク
■タイヤ前後:245/40R19

キャデラック CT5のカタログ情報はこちら

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