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更新日:2020.08.24 / 掲載日:2020.08.24
【DS DS 3 CROSSBACK E-TENSE】DS初のEVの展示イベントを開催

DS 3 クロスバック E-TENSE
文と写真●大音安弘
グループPSAジャパンは、フレンチラグジュアリーブランド「DSオートモビル」初の市販EV「DS 3 クロスバック E-TENSE(DS 3クロスバックイーテンス)」の展示イベントを2020年8月22日(土)から23日(日)の二日間、東京ミッドタウン日比谷アトリウムにて実施した。
人気の小型SUVと先進的EVをマッチング

東京ミッドタウン日比谷アトリウムで行われた展示イベント
フレンチラグジュアリーDSの最新モデルとなる「DS 3クロスバックEテンス」は、小型SUVである「DS 3クロスバック」のEVだ。会場には、新色かつ専用色となる「クリスタルパール」を纏った上級グレード「グランシック」を中央に展示。比較用にガソリンエンジン搭載の「DS 3クロスバック」も並べられた。
イベント期間中は、国内最速となる試乗イベントも実施されるが、事前申し込みのみで枠が埋まるなど、近年、盛り上がりを見せる小型SUVとEVをマッチさせた新型車への人々の関心の高さを伺わせた。
会場内では、展示車の見学だけなく、フラワーアーティスト・田中孝幸による作品展示や菓道家・三堀純一によるパフォーマンスなども実施され、来場者たちの目を楽しませた。
DSの世界観を優先

基本的なデザインは従来モデルと同様で、DSらしさを大切にしている
エントリープライスが上昇するため、所有欲を満たすべく、とかく特別感が演出されるEVだが、DS 3クロスバックに関しては、ガソリン車との差別化は極めて限定的だ。これは、パワーソースが異なっても、モデルが提供する魅力に差を付けないための配慮なのだ。
まず視覚的な差を挙げていくと、ボディカラーは専用色が設けられるが、その他のカラーはガソリン車と共有。エクステリアの専用アクセントとして、「Eテンス」専用マスコットエンブレムがボンネットに、テール部には、ロゴデザインのエンブレムがそれぞれ備わる。またメッキ仕上げが「サテンクローム」となったことで、より上品な雰囲気を纏う。また目ざとい人は、リヤバンパーのマフラーがないため、デザイン処理が異なることに気がだろう。しかし、逆に言えば、その程度にとどまる。タイヤの銘柄についても、ガソリン車と同様だ。
インテリアの差別化はより限定的となる。スタートボタンやシフトノブデザインなども同じ。唯一異なるのは、デジタルメーター表示だが、ガソリン車でも個性的なデザイン表示を行うDSだけに、そこに特別感を見出すことはできない。装備内容もグレードに合わせて、同等となる。価格については、499万円から534万円となり、ガソリン車の368万円から421万円と比較すると高め。ただ減税分や補助金、メンテナンスやエネルギーコストを考慮すると、一定期間のDS 3クロスバックを保有するコストは、ガソリン車もEVも同等だというから、以前よりもEVのコスト面のハードルは引き下げられるようだ。
メーター表示についてはEV版ならではの内容となっている
ラゲッジや室内の使い勝手についてはEVとなっても従来モデルと同じ
室内の広さや小物入れなどの使い勝手もキープされている
フロントシートの形状を工夫することで後席足下スペースも確保
電動化の特徴は!?

ガソリンモデルよりも力強い加速が期待されるEVモデル
メカニズム的には、グループPSAによる最新電動化プラットフォーム「eCMP」を採用。これはDS 3クロスバックに採用されたCMPを電動対応させたもの。エンジンルーム内は、電動ユニットと置き換わり、フロア下には、駆動用のリチウムイオン電池が収まる。ただEVによくみられる、車内空間への圧迫はなく、キャビン・ラゲッジスペース共に、ガソリン車と同等を確保。また充電口も、ガソリンの給油口が置き換えられる。
電動ユニットの性能は、ガソリン車とスペックを上回っており、最高出力100kW(136ps)、最大トルク260Nmを発揮。モーターの特性を考慮すると、力強い加速が味わえるだろう。50kWhのバッテリーを搭載することで、航続距離は、JC08モードで398km、欧州WLTCモードで320kmを確保する。
充電に関しては、200Vの普通充電とCHAdeMO規格の急速充電に対応。普通充電は、ウォールボックス型6kW出力のものならば、約9時間で満充電を完了するが、50km分ならば約2時間で充電できるので、自宅に充電環境があれば、実用性にも不足はないといえる。また急速充電は、50kWの出力のものなら、約50分で80%まで回復可能だ。
ボンネット下には電動ユニットが収められている
従来の給油口に充電ポートを設定。200Vに加えて急速充電にも対応
今後のスケジュール

2020年末の納車に向けて日本市場用モデルの生産を行なっていく予定
既に販売は開始されているが、まだ展示車の配備は先となるため、まず9月後半までの週末に、全国4か所のDSストアを巡るキャラバンイベントを実施する予定だ。当然、日本向け車両の生産もこれからなので、現時点では、年内納車開始を目指したいところとするが、現実的なラインは年明けからとなりそうだ。最も販売の主力は、ガソリン車となるのはこれまで同様だが、全体の10%くらいはEVが選択されるのではとのこと。まずはEVとの親和性の高いユーザーに向け、販売を行っていくようだ。