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更新日:2020.07.17 / 掲載日:2020.07.16
【フォルクスワーゲン T-Roc】Tシリーズ最後の1台は日本の道路にジャストサイズ

フォルクスワーゲン T-Roc
文●工藤貴宏 写真●フォルクスワーゲン
7月15日、フォルクスワーゲングループジャパンは、同社にとって今年初となる新型車を発表・発売した。その名は「T-Roc(ティーロック)」。全長4240mmのコンパクトサイズSUVだ。
ティグアン、T-Crossに続く第3のSUV

T-Rocは新しいエンブレムを装着した最初の日本市場向けモデル
同日開催された報道関係者向け発表会はオンラインで実施。代表取締役社長を務めるティル・シェア氏は冒頭のあいさつで「T-Rocを生産するポルトガル工場は新型コロナウイルス流行の影響から立ち直り、すでに稼働している」と強調。さらに「フォルクスワーゲンの新しいエンブレムを装着した最初の日本市場向けモデルである」ことも明らかにした。
このT-Rocは、日本でも販売されている「Tiguan(ティグアン)」や「T-Cross(ティークロス)」に加えて“Tシリーズ三部作”を構成し、多様化するSUVマーケットのニーズにこたえていくことになる。
フォルクスワーゲングループジャパンとしては、「ハッチバック(ポロやゴルフ)とともに、ビジネスの柱として考えている」とティル氏はいう。
4.2mの全長は日本の道路事情にジャストサイズ

ボディのサイズ感はゴルフとほぼ同じで日本では使いやすい
T-Rocを知るうえでまずポイントとなるのは、その立ち位置だ。ひとことでいえば「ティグアンより小さく、T-Crossよりは大きい」となる。ティグアンの全長は4500mm、T-Crossが4115mm、そして今回発売されたT-Rocは4240mmとなる。乗用車でたとえれば、ティグアンが「パサート」、T-Crossは「ポロ」、T-Rocが「ゴルフ」と考えればわかりやすい。それはティル氏の言葉を借りれば「日本にジャストサイズ」とのことだ。
もちろん生産モジュールは「MQB」と呼ばれるタイプで、T-Rocはゴルフに近い構造になっている。
フォルクスワーゲングループジャパンによると、主な特徴は以下の通り。
・先進的でエモーショナルなエクステリアデザイン
・魅力を高める全 9 色のボディカラーとフォルクスワーゲン SUV 初採用の 2 トーンカラー
・日本の道路環境にマッチするボディサイズと広々とした室内空間を両立
・長距離ドライブにも最適な 2.0 TDI エンジンで優れた燃費性能を実現
・上級モデル譲りの先進安全装備を標準採用
豊富なボディカラーで選ぶ楽しみを提供

ダイナミックなデザインもT-Rocの魅力。ボディカラーも豊富だ
デザインは見ての通りだが、ホイールベースが長いわりにボディ後部はスパッと短く切られていて、Cピラーやリヤウインドウはかなり斜めになって軽快感を演出しているのが印象的だ。後席使用時の荷室容量は445Lとひとまわり車体サイズが小さなT-Crossよりも10L少ないが、その理由のひとつが車体後部の形状にあるといえるだろう。逆にいえば、実用性を精一杯頑張らなかったぶんだけデザインはダイナミック方向に振ってあるとも言える。
ボディカラーが豊富に選べるのは大きな魅力だ。ベーシックグレードの「TDI Style」では「フラッシュレッド」「ピュアホワイト」「ディープブラックパールエフェクト」の3色しか選べないなどグレードにより選べるカラーに違いがあることは注意が必要だ(ほかの色が欲しい場合は16万円アップのグレード「TDI Style Design PKG」を選べば解決する)が、いずれにせよカラーバリエーションは幅広い。しかもフォルクスワーゲンのSUVとしてははじめてルーフをブラックまたはホワイトに塗り分けた2トーンが選べるのもいい。そのうえ、「ターメリックイエローメタリック/ブラック」以外のカラーは2トーンでも追加料金なしというのはうれしい。
エンジンは2Lディーゼルターボのみで全車FF

最大出力150馬力を発生させる2Lディーゼルターボを搭載
メカニズム面で興味深いのは、エンジンがディーゼルエンジンだけの設定ということだ。ガソリンエンジンはなく、4気筒の2Lディーゼルターボだけの展開となる。最高出力は150馬力、最大トルクは自然吸気ガソリンでいえば排気量3Lを超える大型エンジンンに匹敵するほどの340Nm。トランスミッションは7速DSGで、駆動方式はFF。そんなパワートレインは全車共通だ。
ディーゼルエンジンということもあって、燃費はWLTCモード18.6km/L(JC08モード19.5km/L)と良好。単に燃費がいいというだけでなく、ハイオクにくらべてグッと単価が安い軽油を燃料とすることでラインニングコストを抑えられるのも大きなメリットといえるだろう。
自動ブレーキやカーナビ、フル液晶メーターを全車に搭載

カーナビゲーションやフル液晶のメーターも全グレードに標準採用
もうひとつ注目したいのは、先進装備の充実。先進安全装備としてレーダーを使って車両や障害物だけでなく歩行者まで検知するタイプ(カメラ式と違って暗い場所でもしっかりと歩行者を検知できるのがメリット)の衝突被害軽減ブレーキのほか、運転支援としては全車速対応のアダプティブクルーズコントロールを全車に搭載。また、カーナビゲーションやフル液晶のメーターも全グレードに標準採用と充実度が高い。
フル液晶メーターにはさまざまな情報が表示される
夜間でも歩行者を検知する高性能な自動ブレーキを搭載する
小型SUVが流行している日本で人気を獲得することができるか

グレードは計4タイプ。価格は384万9000円から453万9000円
価格は、384万9000円から453万9000円。グレードはベーシックな「TDI Style」、安全装備とカラーバリエーションが充実する、「TDI Style Design PKG」、スポーツシートや18インチタイヤを備えてレザーシートもオプション設定する「TDI Sport」、そしてスポーティな専用エクステリアにスイッチ操作でダンパーの減衰力をはじめとする乗り味を切り替えることができるアダプティブシャシーコントロール“DCC”や19インチタイヤを組み合わせる「TDI R-Line」の計4タイプを設定する。
いま、日本では小さめのSUVが大きく販売台数を伸ばしている。新参者のT-Rocがどこまで人気を得ることができるか期待したい。