輸入車
更新日:2020.01.30 / 掲載日:2020.01.30
【BMW M8グランクーペ、2シリーズグランクーペを公開】

BMWジャパン代表取締役社長のクリスチャン・ヴィードマン氏(左)とBMWブランド・マネジメント・ディビジョンプロダクト・マーケティングプロダクト・マネージャーの御舘康成氏(右)
文と写真●内田俊一
ビー・エム・ダブリュー(BMWジャパン)は、一部報道陣に向けて昨年の振り返りと2020年の展望についての新春記者会見を行った。そこではM8グランクーペのお披露目と2シリーズグランクーペのマーケティング活動についても発表されたので合わせてレポートする。
BMWは5年連続インポーターナンバーワン

2019年、BMWは46,814台、MINIが23,813台を登録。BMWグループジャパンとしては70,627台となり、日本市場において5年連続ナンバーワンのインポーターとなった。またBMWモトラッドは2019年の販売は5,007台で、「製品によっては遅延もありましたが、前年度同等の売り上げを維持することが出来ました」とは同社代表取締役社長のクリスチャン・ヴィードマン氏の弁。
とくに2019年は「いまだかつてこれほど多くの製品を上梓したことはないほどです」とヴィードマン氏が述べるように、BMWで21、MINIで7、モトラッドで8つの新型モデルがローンチすることで台数を押し上げる一翼を担っている。
BMWと日本との密接な関係
現在日本ではBMWが172店舗、MINIは119店舗、モトラッドが66店舗の拠点が存在し、「およそ1万人が日本のBMWグループのビジネスに深くかかわっています」とヴィードマン氏。
さらに日本にはBMWのテックオフィスも存在する。これはグローバルで10か所あり、「そこでは技術的進歩が行われていて、東京もその一つなのです」という。
日本では最新の技術と素材の探求が行われており、「特に進んでいるのは、ロボット光学、電池材料、マン・マシン・インターフェイス、光学、ソフトウェア、素材、AI、代替燃料の8つの領域です」と述べる。例えばCES2020で発表されたi3 アーバンスイートに搭載されたダッシュボードのピクチャープロジェクションユニット技術は日本で開発されたもの。また「23の大学と密接な協力関係にあり、プロトタイプや製品につながっています。その結果、2019年には日本のパートナーとともに37の研究プロジェクトが完了しました」とのことだ。
また日本テックオフィスのR&Dチームでは「日本のサプライヤーやスタートアップ企業と密接に仕事をしながら、世界中のBMWグループを支援しています。我々のエンジニアと購買部門も119社の日本企業やスタートアップ・パートナー企業と協力しながら顧客に日本初のテクノロジーを提供しているのです」。さらに、日本においても海外(のBMW)の購買部門も存在し、「日本のグループのサポートを受けながら車両部品を購入。これらの部品は世界各地のBMWグローバル生産ネットワーク、31の工場に配送。これはBMWが単に市場にクルマを販売するのみならず、日本の雇用や新規事業の創出にも貢献しているのです」と日本との密接な関係性を強調した。
また、BMWグループジャパンのエンジニアリングチームは、日本の交通状況に適用する技術にも取り組んでいる。「2019年には関連の省庁と連携しながら自動車メーカーとして日本初のハンズオフシステムの実施に取り組みました。日本市場に標的を定め、新技術によって日本の顧客に快適と安全を提供しています」とヴィードマン氏。「様々な試験を日本で実施することで、安全性と品質に対する我々の真剣さを証明しています。またこの技術は母国に先駆けて日本で展開されたものですから、その点も我々が日本に価値を置いているという証拠でもあるのです」と述べた。
2020年もラグジュアリーカーに力を入れる
さて2020年の展望についてヴィードマン氏は、「2019年、BMWがそのプレゼンスを発揮したのはラグジュアリーセグメントでした。6つのモデルが上梓され年末にはBMW2シリーズグランクーペも発表。今年も引き続きこのセグメントの取り組みを強化していきます」。また、「Mモデルは2019年、前年比売上47%増という素晴らしい結果を残しました。そして今年もこの勢いをさらに強化していきます。その第一弾がM8グランクーペなのです」と語る。
EVやPHEVモデルも攻勢を強めていくという。日本市場では現在EVとPHEVモデルが11種類導入されており、「輸入車としては最も多彩なラインナップです」と述べ、さらにこのラインナップを強化する予定だ。
そのほかの取り組みとして、お客様のサービス満足度の向上や中古車ビジネスの強化、そしてマーケティングやコミュニケーション手法も力が入れられる。「製品の中に日本らしさを盛り込みます。もっと日本らしいコミュニケーション手法を追求しつつ、日本ローカルエディションモデルなども導入する予定」とのことだった。
MINIブランドにおいても、「2月に開催される記者発表会で、特別なジョンクーパーワークスモデルのお披露目する予定です。その際により詳細な取り組みをお知らせする予定」とのことなので楽しみにその時を待ちたい。
レーシングテクノロジー直結の究極のスポーツカー

今回アンベールされたのはBMWインディビジュアルが手を入れたM8グランクーペパフォーマンスでボディカラーはアメトリンであった。
昨年末に発表された8シリーズグランクーペに、「モータースポーツの歴史と栄光を持つBMW Mのテクノロジーが加わったのがM8グランクーペです」と紹介するのはBMWブランド・マネジメント・ディビジョンプロダクト・マーケティングプロダクト・マネージャーの御舘康成氏だ。
じつはこのクルマにつながるストーリーは2018年からスタートしたという。「M8をベースとしたM8GTEを開発して、ルマン24時間などの世界の耐久レース選手権をはじめに、アメリカのIMSAといった伝統と格式のあるレースに参戦して数々の好成績を収めてきました。これは極めて異例なことで、新型車導入の2年前から実際のモータースポーツフィールドによって技術を磨き、それを新型車にフィードバックしていく。我々はこのクルマをレーシングテクノロジー直結の究極のスポーツカーと呼んでいます」と紹介。
御舘氏はスポーツカーの定義について、「スポーツカーはパッセンジャーカーの終わるところに始まり、レーシングカーの始まるところに終わる。その定義に従うとすれば、究極のスポーツカーは多くのレーシングテクノロジーを妥協なく組み込んでいく必要があります」という。
M8グランクーペにあてはめると、エンジンはBMW Mの中で最もパワフルなV型8気筒4.4リッターターボを搭載し、最高出力 600PS(441kW)/6,000 rpm、最大トルク750Nm/1,800-5,600rpmを発生(コンペティションは最高出力 625PS(460kW)/6,000 rpm、最大トルク750Nm/1,800-5,860rpm)。さらにM8はエグゾーストマニフォールドを、気筒をまたぐ形で2基のターボチャージャーへ排気ガスを供給するクロスバンク型を採用。「8気筒の燃焼の点火順に従って、それぞれの排気が全く干渉することなく正確にターボを等間隔で回します。その間隔は6000回転時で約0.00125秒と、まさに1/1000秒のテクノロジーです」と説明。その結果、「ハイパワーを一瞬で取り出すことが出来、モータースポーツフィールドにおいて、ライバルと同時にアクセルを踏んだ際にBMW M8はライバルを置き去りにすることが出来るのです」とモータースポーツからのフィードバック技術であることを強調した。
そのほかにもモータースポーツに必要な圧倒的なストッピングパワーとしてオプション採用されたカーボンブレーキや、重心高を下げ、かつ軽量化につながるカーボンルーフを紹介。「コーナーでこのカーボンブレーキを頼りにライバルよりも深くコーナーに進入し、そのきついコーナーをこの重心の低い理想的なレイアウトのクルマで曲がり、最後にツインパワーターボエンジンでライバルを抜き去るクルマに仕上がっている」とコメント。
そしてM社開発のこのクルマの最大の価値は、「サーキット直結のテクノロジーを日常で駆ることが出来る喜びです。例えば交差点を曲がる時、首都高のインターセクションを回る時でも必ずお客様に、よりスポーティでまるで身体の延長線上にあるようにクルマを走らせることが出来るでしょう。その時にドライバーはこのクルマは運転しやすいと気づくはずです。なぜならこのクルマはもともとサーキットという1/100秒を争う世界で、クルマを自在にコントロールするために作られました。ライバルがコーナーで開けた車幅+5cmの空間に全く躊躇(ちゅうちょ)なくステアリングを切り、アクセルを踏んで行ける、そのためのクルマなのです。そうするためのテクノロジーのすべてが量産化に向けて妥協することなく入っているのです」と語った。
ビスポークもM社にて

もうひとつBMW M社が提供するカスタマーサービスにBMW Individualがある。「スポーツカーはその歴史的な背景を踏まえると、レーシングカーから派生したモデルということが出来ます。そのレーシングカービルダーのところには全世界のエンスージアストが訪れ、そのレーシングカーのレプリカとして自分の好きなボディカラー、好きなシートカラーで作ってほしいと要望を出したものです。これが現代につながる最も歴史的で正当なスポーツカー文化なのです」とM社があえてこのカスタマーサービスを行っている背景を説明。「その文化を色濃く残すBMW M社ではこのようなお客様が望む高品質なカスタマイズサービスをモータースポーツへの情熱と同じくらいのクラフトマンシップを用いて提供しています」という。
今回発表会場に置かれたM8グランクーペに塗られたアメトリンというボディカラーは、「一般的なメタリックのアルミフレークとは違い、多くの光を伴って、見る角度環境によって非常に優雅な光を放つカラーに仕上がっています。その独自のペイントをBMW Individualのテクノロジーによって4コートで滑らかに均一に塗っているのです。それによってBMW M8グランクーペのハイライトであるリアフェンダーから見えるクォータービューでさらにエレガントさを増したように見せています」と話す。
シートも同様で、厳選されたレザーメリノを使用。「レザーの要諦(ようたい)はいかに表面を加工せずに生の革の風合いを残すかです」と御舘氏。そのためにBMW Individualでは南ドイツに専用の牧場を所有。「そこは標高が高く蚊のような虫が少ないのでレザーに傷がつかず一枚革の高品質なものが取れるのです」とその品質の高さを説明した。
さらにお客様の個人の好みで内外装を架装するマニファクチュールサービスというオートクチュールもBMW Individualは提供。「この究極のスポーツカーを駆る日常をさらにエレガントに、さらに喜びの深いものに変えてくれるでしょう」と述べた。
BMWジャパンでは、BMW Individualのビスポークサービスを多くのお客様により簡単に実現してもらうために、カスタマイズイメージが膨らむビジュアライザーサイトを2月上旬よりオープン。「外板色は現在約136近くの生産実績があり、それをお客様はPC上で確認をしながら、どんなクルマにどんな色が似合うかを想像しながらオーダーすることが出来ます。もちろん内装についても同様です」とコメント。対象車はMモデルに限らずBMWのほぼ主要なラインナップをカバーしている」という。
2シリーズグランクーペとパックマンのコラボ

今回はもうひとつ、昨年11月にローンチされた2シリーズグランクーペのマーケティング活動に関しても発表された。
BMWブランド・マネジメント・ディビジョン本部長のミカエラ・キニガー氏はこの2シリーズグランクーペを、「パーソナリティを表現するのにふさわしいクルマです。大胆でクールで外交的。このセグメントにおいてはゲームチェンジャーということが出来ますので、これをコミュニケーションの軸としています」と述べる。
そこで「日本オリジナルのキャンペーンを展開していく予定です。1980年にバンダイナムコによって開発されたパックマンとコラボレーションします。パックマンは現在も20代から60代まで幅広いファンの方々が多数おり、他のゲームに比べてもこのパックマンは常に高い人気を誇ってきました。2020年、パックマンは40周年を迎え、キャンペーンを通じてグランクーペがパックマンと共にお祝いをします。このキャンペーンは3月に始まる予定です」とのこと。
3月14日より「Game Changer.ジョウシキなんて、ひっくり返せ」のキャッチコピーのもと、販売キャンペーンをはじめとした、マーケティング・コミュニケーションが開始される予定だ。
BMWジャパン代表取締役社長のクリスチャン・ヴィードマン氏(左)とBMWブランド・マネジメント・ディビジョン本部長のミカエラ・キニガー氏(右)