輸入車
更新日:2019.11.04 / 掲載日:2019.11.04
フォルクスワーゲン T-CROSS【グーワールド コラム/インプレッション】

文●石井昌道 写真●フォルクスワーゲン
問い合わせ●フォルクスワーゲン カスタマーセンター TEL:0120ー993ー199 URL:https://www.volkswagen.co.jp
(掲載されている内容はグーワールド本誌2019年12月号の内容です)
フランクフルト・モーターショー取材の後に首都のベルリンを訪れたのだが、そこで日本に年内に導入される予定のフォルクスワーゲン T-CROSSに試乗した。
ベルリンは、比較的に大きめの交差点でもあえて信号を設けないことで人々が注意深くなり事故を減らせる、ということを試みている。実際に成果も上がっているようだが、自動車や自転車、歩行者、そして最近流行りの電動キックボード(シェア)が信号のコントロールなしに縦横無尽に走りまわるのだから、旅行者ドライバーにとっては大変である。
だが、そんななかでT-CROSSは抜群に走りやすかった。ポロと同程度のコンパクトなボディでアイポイントが高く、視界が開けている。さらに排気量たった1Lのエンジンが望外にトルクフルで小気味いいため、すばしっこく走るのにもってこいだからだ。ポロにも1.0TSIはあるがT-CROSSに搭載されていたのは高性能版。ポロの95馬力、17.9kgmに対して115馬力、20.4kgmとなる。低回転域からトルクは図太く、発進加速でははっきりと力強いと言える。混沌とした街中を走るために生まれてきたかと思えるほどだ。
一方で、アウトバーンの速度無制限区間でも堂々たるパフォーマンスをみせた。すごく速いとまでは言えないが、150km/h程度で流れる追い越し車線に無理なく入っていけるだけのポテンシャルがあるから、日本の道路環境では十分以上だろう。街中では軽快だった乗り味は、高速域でどっしりとして安心感が高いのがフォルクスワーゲンらしい。
本格的な4WDまではいらないが、ハッチバックより存在感が高く室内も広々とした都市型SUVをねらっている。そんなひとにとってど真んなかのT-CROSS。いかにもヒットしそうなモデルだ。
Profile
モータージャーナリスト
石井昌道
レースの参戦経験を持つ自動車ジャーナリスト。日々、ニューモデルのテストドライブへ精力的に赴き、ステアリングを握る。

セダンやハッチバックと違ってSUVはクラスレスな雰囲気になるのも魅力。コンパクトでも立派な存在感のおかげで肩身の狭い思いをしないのだ。

デジタルメーターが採用されたモダンなインテリア。ボディカラーとお揃いのダッシュボードは、デザインパッケージというオプション。

SUVはアップライトな着座姿勢となるので、室内長が広々と感じる効果がある。14cmスライドする後席は、前席より5cmほど高くて見晴らしがいい。
デジタルメーターにカーナビ画面を映すことも可能。走行中は中央のディスプレイに視線を移す必要がなくて安全。
荷室は後席がスライドするので容量は385~455Lと変化する。後席のみならず、助手席の背もたれを倒すオプションもあり。

排気量1Lながら20.4kgmものトルクを誇る。直3だが、安っぽい音や振動はない。タイヤは16~18インチ。