輸入車
更新日:2019.10.14 / 掲載日:2019.10.14

アルファ ロメオからジュリアとステルヴィオの限定車「F1トリビュート」が登場。

左からジュリア クアドリフォリオ F1トリビュート、C38、ステルヴィオ クアドリフォリオ F1トリビュート。

文と写真●内田俊一

 FCAジャパンはジュリア クアドリフォリオとステルヴィオ クアドリフォリオに、F1参戦を記念し、様々な性能向上プログラムを施した限定車F1トリビュートを設定。2019年11月より発売を開始する。ジュリアは6台、ステルヴィオは4台のみで、価格はそれぞれ1459万円と1495万円である。これら限定車はグローバルでおよそ60台限定生産され、そのうちの10台が日本に来ることになったのだ。ちなみに、日本以外では欧州50台、中国5台という内訳になる。

 この2台の記者発表会はF1日本グランプリ直前に開催。会場にはモックアップではあるがF1マシンのC38も展示された。アルファ ロメオのデザインスタジオ、チェントロスティーレが手掛けたカラーリングなど、その共通性がアピールされた。

F1の歴史をたどるとアルファ ロメオに

 F1の歴史をさかのぼるとアルファ ロメオにたどり着く。1950年5月13日、第1回F1世界選手権が開催されたイギリスのシルバーストーンサーキットにおいて、初優勝を飾ったのがアルファ ロメオ Tipo158(通称アルフェッタ)であり、そのドライバー、ジュゼッペ・ファリーナは年間チャンピオンを獲得したのだ。

 その後1976年に再びアルファ ロメオはエンジンサプライヤーとして参戦。1978年のシーズンを戦ったブラバムBT46B アルファ ロメオは水平対向12気筒エンジンを搭載。ニキラウダがドライブしスウェーデングランプリで優勝を飾った。

 そして2017年、当時のFCAグループCEOのマルキオンネンは、F1の世界にアルファ ロメオの名前があることが重要であり、アルファ ロメオのユニークかつ伝説的な歴史に、新たなチャプターを描くことを固く決意していると語り、アルファ ロメオ復活を発表。

 そして2018年、アルファ ロメオはザウバーをパートナーとしてサーキットに復帰。今年アルファ ロメオ レーシングとしてベテランのキミ・ライコネンとF1でただ一人のイタリア人、アントニオ・ジョヴィナッツィの2名のドライバーを迎え戦っている。

F1トリビュートは空力にも意識

 FCAジャパンマーケティング本部本部長のティツィアナ・アランプレゼ氏は、「もうひとつ忘れてはならない歴史は、アルファ ロメオの輝かしいレース戦績とともに飾ってきたクアドリフォリオです。今やレースでの幸運のお守りという存在以上に、アルファ ロメオを象徴するモチーフでもあります。2019年、F1参戦を記念しこのクアドリフォリオのバッチを付けた特別なジュリアとステルヴィオを誕生させました」と今回の限定車を紹介する。

 この2台の限定車について、アルファ ロメオ プロダクトマネージャーの平野聡氏と元F1ドライバーでありジュリエッタのオーナーでもあり現在はスーパーGTで活躍中の井出有治選手とのトークショー形式で説明。井出選手は1990年にデビューし、2006年にF1世界選手権シリーズに参戦。その後全日本GT選手権、スーパーGT500クラスなどで活躍している。その他に将来のF1ドライバーを育てる活動にも取り組んでおり、全日本カート選手権シリーズOKクラスの監督として日本のモータースポーツ文化の発展に努めている。

 C38の開発はザウバーエンジニアリングが行っており、当然空力に関してもかなりの技術が投入されている。それを受け、2台の限定車に関しても空力関係を特に意識し設計開発が行われた。フロントではエアスプリット、サイドは大型サイドスカートカーボンインサート、リアは大型のリアスポイラーなどの専用カーボンパーツを装着。井出選手は「コーナーだけではなく、ストレートでクルマがリフトするのを抑えるなど、サーキットを意識しているというのが伝わってきます」とコメント。

 また、マフラーにも目を止め平野氏に説明を求めると、「アクラポヴィッチ社製のチタン製エグゾーストシステムを採用しており、これとエンジンチューニングを合わせて、510psから10psアップの520psになっています。かなり乾いて高回転でより響くようなエグゾーストサウンドを楽しめるシステムになっています」とその特徴を説明。ルーフのカーボンも、通常モデルでは塗装仕上げとなるところを、F1トリビュートではカーボン模様を生かす仕上げとなっている。

 そのほかにもカーボンセラミックのディスクを採用していることから、「こんなに大きなブレーキディスクとキャリパーなので、これだけ大きな車体でもしっかり止めてくれるということが見た目でも安心感があります」と井出選手。平野氏も、「出力が高まっているだけではなく止める方もしっかりとケアをしているということはここからも分かってもらえるでしょう」と述べた。

アルファ ロメオ C38は「パッと見てかっこいい」

 さてここで限定車からF1マシンのC38に話題が移る。元F1ドライバーの井出選手にはどのように映るのか。「F1マシンは速いレーシングカーですから機能もちろん大事ですが、そのデザインはすごくまとまっていて、かっこいいと思います。カラーリングなどからもアルファ ロメオやイタリアという感じがしますね」という。実際にモンツァのサーキットで見た時も「ピットロードにちょうどジョヴィナッツィ選手のクルマがちょうど置いてあったのですが、サーキットの景色と重なってパッと見てかっこいいと思い、思わず写真を撮りまくってしまいました」と嬉しそうに語る。

 パワーにおいても「ストレートをコースサイドで見ていたのですが、見ているだけで気持ち悪いくらい加速していたので、数字的に800馬力位といわれても、もっとあってもおかしくないほどのストレートでの加速感でした」と話す。

 次に2名のドライバーについて、まず唯一のイタリア人ドライバーであり、本人最高位の9位を先日のモンツァで獲得したジョヴィナッツィ選手について井出選手は、「若手のルーキーでF1の世界でもこれから活躍をしていくドライバーだと思います。初めて名前を聞いたのは数年前。フォーミュラピロータというF3の下に位置するジュニアフォーミュラにそのカテゴリーがあり、ちょうどアジアで始まった時に彼がエントリーしていました。そこでチャンピオンを獲ったのです。そのフォーミュラピロータではアルファ ロメオのワンメイクエンジンを使っており、チャンピオンを獲るとフェラーリのサポートが受けられるということでヨーロッパをはじめ日本からもドライバーが参戦。そういったレベルの高いところで初代チャンピオンになったのが彼だったのです。その後ヨーロッパに戻ってF3、F2と移って現在に至ります」と期待の新人であることを示唆。

 もう一人のキミ・ライコネン選手は、アイスマンとも呼ばれている。「普段知られている印象と同じで、僕もF1を走っていた際の経験では、ドライバーズブリーフィングの時に、一人だけポツンと後ろに座ってクールに聞いているのを見た時に、イメージのままだなと思ったことがあります。2005年に鈴鹿で優勝経験があり、その時は安定して速かったことから優勝したのですが、他が太刀打ちできないくらいの速さと強さを見せてくれた年でした。」と鈴鹿のコースレコードを記録したときの印象を語る。

 鈴鹿サーキットの特徴について井出選手は、「全ドライバーが乗っていて楽しい、チャレンジングで、他に似たようなサーキットがありません。速いだけではなくレースをする上で作戦面も含めてどうやって勝てるかが非常に難しいサーキットだといわれています。レイアウトを見ると前半区間がテクニカルセクションとなっており、S字があるなど難しい。後半ではストレート区間も出てくるので、そうなるとコーナーで速いだけではなくてストレートも速くないといけません。そういったレベルの高いクルマが勝てるという難しいサーキットが鈴鹿なのです」と解説。「C38をモンツァで見た時にシケインから立ち上がっての加速が非常に良かったと思いました。ストレートの速さが活きてくるのはバックストレートやホームストレート、ヘアピンコーナーからスプーンまでが非常に大切なので、これらの部分で、C38に搭載されるフェラーリのエンジンの速さが生きてくると思います」と期待を寄せた。

みんなでレースを楽しもう!

FCAジャパンマーケティング本部本部長のティツィアナ・アランプレゼ氏(手前)とアルファ ロメオ プロダクトマネージャーの平野聡氏(中)と井出有治選手(左)

 今回の発表会ではサプライズとして両ドライバーからメッセージVTRが放映された。まずジョヴィナッツィ選手は、ジュリア クアドリフォリオ F1トリビュートについて、「ジュリア クアドリフォリオの走りはゴーカートみたいでボディ剛性も高く、重心が低くパワーもあるクルマです。そのF1トリビュートでは標準のクワドリフォリオに比べてさらに10psパワーアップしているのでサーキットで走らせてみたいですね。クールなクルマですしスピードも出て良いクルマだと思います」という。

 一方のキミ・ライコネン選手は、普段使用しているステルヴィオ クアドリフォリオについて「レースに行く時もよく乗って行きます。パワフルで快適性も高いですから、家族で出かける時も使っています。荷物もたくさん載せられて便利だし、速く走りたい時には十分なパワーが得られますね」とのこと。

 そして日本グランプリに向けてジョヴィナッツィ選手は、「ファンの皆のために良いレースをしたいと思っています。ぜひレースを楽しんで」とし、キミ・ライコネン選手も「週末のレースを楽しみチームを応援してほしい。出来る限り良いレースをしたいと思います。ファンの皆のために頑張るのでレースを一緒に楽しもう」と述べていた。


 

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グーネットマガジン編集部

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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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