輸入車
更新日:2019.07.30 / 掲載日:2019.07.30
NSXやフェラーリと同じミッドシップレイアウトへ。新型シボレーコルベットスティングレイ誕生

日本でもその名を広く知られているシボレーコルベットスティングレイは、1954年に誕生した初代以来、セダンなどの量産車ベースが多いアメリカのクーペとしては例外的に、専用シャシーとボディを備えた本格的なスポーツカーとして代を重ねてきたモデル。一部のモデルを除いて、V8エンジンを搭載する2人乗りのFR(フロントエンジン/後輪駆動)を基本としてきた。
しかし、2019年7月18日に本国で発表された8代目で、その伝統は大きく変わることになった。新型コルベットは、フェラーリなどの欧州のスーパースポーツカーと同様に、エンジンをドライバーの背後に積んだミッドシップレイアウトを採用するのだ。
新型のプレゼンテーションをしたGMのマーク・ロイス社長によれば、伝統的なFRはパフォーマンスの頂点に到達し、これ以上の領域に踏み込むためには、もはやミッドシップレイアウトの採用しかない、というのがその理由だ。
F-22ラプターやF-35ライトニング2といった、最新ジェット戦闘機にインスパイアされたというデザインは、ミッドシップレイアウトを活かした低く短いノーズとボリューム感のあるリヤセクションの組み合わせがセクシー。水平基調のキャラクターラインやフロントフェンダーの抑揚などの、歴代モデルから引用された特徴も併せ持ち、ひと目で最新のコルベットと分かる。ルーフは過去の多くのコルベットに設定されていたタルガトップで、通常は美しいクーペ、ルーフを取り外せば爽快なオープンエアドライビングが楽しめる。
搭載されるエンジンは、もちろん伝統のV8。最初に発表されたのは6.2LのLT2型で、これまた伝統のOHVを採用し、低回転から湧き上がるトルクと、約502PSのパワーを発揮する。このエンジンはエンジン下部にオイル溜まりを持つ通常のウェットサンプではなく、オイルタンクからポンプで各部を潤滑する、レーシングカーと同じドライサンプを採用、本格的なサーキット走行でも安定した潤滑性能を維持すると謳われている。
組み合わされるトランスミッションも、これまでのMTやATとは違い、近年は欧州の高性能車の多くが採用するデュアルクラッチ式の8速DCTを、シボレーとして初採用。ローギヤードの1速とクロスした2から6速、巡航用の7から8速という構成で、もちろんパドルシフトを備えており、ハイパフォーマンスを引き出すZ51パッケージを装着すれば、0→60mph(約96km/h)加速3秒以下という、ベーシックグレードとしては歴代コルベットで最高のパフォーマンスを誇る。
その一方で、快適な乗り心地や、2セットのゴルフクラブが積み込めるラゲッジスペースを備え、デイリーユーズもできるスーパーカーを目指したというのは、同様の特徴を備えるホンダNSXの影響も大きいだろう。
そして日本人にとっては大きなニュースがある。新型コルベットは、歴代モデルで初めて右ハンドルが設定され、日本市場にも導入されるというのだ。2019年後半の生産開始からどれくらいのタイムラグで日本にやって来るか。GMのやる気を図る試金石としても、乞うご期待という事になりそうだ。

キャノピー(風防)をフロント寄りに置いたデザインは戦闘機やF1マシンにインスパイアされている。

ボンネットやインパネ、ステアリングを低く配置することで路面の視認性はレーシングカー並みという。

専用のバケットシートを採用。運転席と助手席は大きなコンソールで隔てられ、コクピット感を高めている。

次世代型6.2LスモールブロックV8 LT2エンジンを搭載。このクラスでは唯一の自然吸気V8エンジンだ。

ミッドシップレイアウトで搭載されるエンジンの後方には、ゴルフバッグ2個や旅行の荷物が入るトランクルームが存在する。容量は約357L。