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更新日:2026.10.13 / 掲載日:2026.10.13
【フェラーリ プロサングエ】スポーツカーらしさを際立たせるH・Sという個性【九島辰也】

文●九島辰也 写真●フェラーリ
フェラーリ唯一の4シーター4ドアモデルとして高い人気を得ているモデルがあります。プロサングエです。4シーターと言う意味ではFF(フォー)、GT4LUSSOの流れにありますが、ドアが4つあるのとないのでは大きく違います。実用性と快適性の面でやはりプロサングエに軍配が上がります。
とはいえ、そのスキンの下には6.5リッターV12自然吸気ユニットをフロントに置いたトランスアクスル式FRパッケージングが存在します。12チリンドリと共有するものです。プロサングエはフロントにPTUシステムが搭載されフロントタイヤも駆動させますが、基本骨格はFRスーパーカーなのです。

それを踏まえると、今回プロサングエにHS(ハンドリング・スペチアーレ)が追加されたのは納得が行きます。そもそもスポーティなプロサングエですから、まだ余白があったと言うことでしょう。プレゼンテーションでは特別大掛かりに手を加えたわけではないことを主張していました。すでにある物に磨きをかけたのです。もちろん、そこにはニーズがあったと考えられます。ダイレクトマーケティングが得意な会社ですから、消費者の声が反映されるのは日常茶飯事です。

そんなプロサングエHSはカタログモデルとしてこれまでのモデルと併売されます。なので、お客さんは自分の好みで選べます。エクステリアデザインは変更されていませんから、走りへのこだわりがポイントです。内外装に関しては彼らのカスタムプログラム“テーラーメイド”がありますから、どうにでもなるでしょう。このブランドで標準装備という言葉は意味ありません。

実車を目にしたのはイタリア、ピエモンテ州のバロッコです。かつてアルファロメオが使用していたプルービンググランドで、現在はステランティスが保有しています。フェラーリ関係者にここでやることは珍しいのかと質問したら、そうではないという答えでした。フィオラーノ以外ではここも使うそうです。今回のメディア向けテストドライブは、その「ランゲ・エクスターナル」と「ランゲ・インターナル」という2つのハンドリングコースを用いて行われました。
試乗前の開発スタッフによるプレゼンテーションではHSの特徴として3つの柱が説明されました。“サスペンション”、“シフト”、“エキゾーストサウンド”といった分野です。
HSの開発スタートはアクティブサスペンションの見直しだそうです。これは4つの車輪につながるダンパーをそれぞれ独立して制御するシステムで、ブレーキング時やコーナリング時などあらゆる状況でキャビンをフラットにかつ快適に保ちます。スタンダードのプロサングエから採用がはじまったこのシステムは、F80、ルーチェと展開されてきました。どれもAWDでフェラーリの中では比較的車両重量のあるモデルです。
その立役者となるアクティブサスペンションを進化させているうちに今回のHSのアイデアが浮かんだのではないでしょうか。ルーチェで進化させた内容をプロサングエに投入したら走りがよりアグレッシブになるという考えです。サスペンションの硬さはソフト、ミディアム、ハードの3段階ありますが、ハードでのロールを+10%抑えることに成功しました。

シフトに関してはそのタイミングをより素早くしています。前方のクルマを追い抜くためにアクセルを踏み込めばこれまでよりもクイックにキックダウンします。その時間をスタンダードより25%短縮したそうです。確かに、ハンドリングコースでの走りではそれを強く感じました。加速時のキックダウンもそうだし、タイトコーナー入り口の強いブレーキング時もそう。小気味よいブリッピング音と同時に、瞬時にシフトダウンする様はレーシングカー顔負けです。

エキゾーストサウンドは、エキゾーストバルブの新しい制御と吸気システムの見直しによって、低回転からアグレッシブなサウンドを奏でられるようになりました。フェラーリ12気筒の高回転で甲高いサウンドをより低い回転数から楽しめます。もはやこの音はフェラーリの財産と言えるでしょう。
といった内容のプロサングエHSですから、走り出せば4ドアであることを感じさせません。走らせているのはまさしくフェラーリのスペチアーレであるといった仕上がりでした。
