輸入車
更新日:2026.08.18 / 掲載日:2026.08.18
富裕層の心を奪う究極のスーパースポーツたち【九島辰也】

文●九島辰也 写真●シンガー、アストンマーティン、フェラーリ
8月中旬、第75回を数えるペブルビーチ・コンクール・デレガンスが行われました。ヴィラ・デステで行われるショーのアメリカ版です。ゴルフリンクスで行われるそれは芝生の上にクラシックカーを並べます。エレガントさが際立つのはいうまでもありません。
それと同時にザ・クエイル・ア・モータースポーツ・ギャザリングが行われました。メーカーが新型車やコンセプトカーを発表する場です。これらを含めたのが、モントレー・カー・ウィーク。世界中からこの週にカーガイが詰めかけます。
そんなイベントで、今年アストンマーティンは3台の特別仕様車を展示しました。DB12 Sをベースに彼らのビスポーク部門であるQ by Aston Martinが手掛けたモデルです。

これは1951年のDB2 VMFをモチーフにしたもので、異なるカラーのグリルを備えます。赤、黄色、青に塗られたグリルがそれで、それぞれロッソ・レッド、スピード・イエロー、エルウッド・ブルーと呼ばれます。エクステリアはカーボンブラックのボディカラーの他、フェンダーやエアロブレードなどがオリジナルになります。アストンマーティンは今年で創業から113年を迎えるカーメーカーですから、こうしたヘリテージへのオマージュは得意分野です。
この他にも話題になったモデルがあります。アメリカのシンガー・ビークル・デザインとフランスの高級メゾンで知られるルイ・ヴィトンのコラボレーションです。会場には特別な2台が並べられました。クーペボディの“クラシック”とカブリオレの“クラシックターボ”です。

“クラシック”の外装はルイ・ヴィトンを象徴するサフランとコバルトブルーで、ルーフには特別設計のルーフラックが備わります。そこには旅行用トランクやサーフボード、スキー板などが搭載できます。アクティブな旅をコンセプトにしました。カブリオレの“クラシックターボ”はルイ・ヴィトンのディレクター、ニコラ・ジェスキエールが構想した車両。ボディはホワイト、インテリアはコニャックカラーのレザーとウッドがアクセントになります。
このプロジェクトの起点になったのは、ダッシュボードクロックの制作依頼だったそうです。タンブールからインスピレーションを受けたそれを装着するため、ダッシュボードごと再設計することからスタートしました。インテリアはルイ・ヴィトンお得意分野。レザーを基調に、染めやステッチが施されます。プラスチック製パーツは天然素材に置き換えられるほどの徹底ぶり、ダイヤルやエアベントはロジウムメッキが施されます。この辺はまさに究極のパーソナリゼーション。他では見られない仕様となります。
こういったコラボは素晴らしいと思います。1+1が3にも4にもなるからです。ハイエンドなブランドが想定外で手をにぎることで、お互いの価値は高まります。それにカスタマーはこの両方に精通している人物。つまり、マーケティングの面からしても親和性は高いと言えるでしょう。素晴らしいコラボレーションです。できることなら日本でも拝みたい代物です。
今年のモントレーにはもうひとつ話題にすべきモデルがあります。それはフェラーリCZ26。アメリカの顧客とフェラーリのデザインスタジオがコラボしたワンオフのフェラーリです。

ベースになったのはSF90ストラダーレで、それをスーパースポーツ・ベルリネッタというコンセプトを再解釈してデザインしました。目指したのは個性と力強さ、精密さ、造形の純粋さ。確かにセンターにボリュームを持ってきたシルエットは個性的です。デザインがメインのワンオフですが、ダウンフォースを稼ぎながらエアロダイナミクスのバランスをとったり、冷却システムを効率的に行なったりすることは忘れていません。そこはフェラーリの意地。走りにマイナスにはなりません。
パワーソースは4リッターV8ツインターボ+3モーターのプラグインハイブリッド。最高出力は1000馬力を発揮します。ここはSF90ストラダーレと同じ。SF90ストラダーレもその後継となる849テスタロッサもテストドライブさせていただきましたが、その走りに文句のつけどころはありません。これだけのハイパワーユニットを持ちながら精緻なステアリング操作ができて軽快に走れるのはお見事です。
ということで、スーパースポーツの世界は盛り上がっています。その波はすぐに日本にも上陸するでしょう。今年の後半もウルトラハイエンドのブランドからは目が離せません。