輸入車
更新日:2026.05.12 / 掲載日:2026.05.12

世界で1台のみ存在する特別なフェラーリ【九島辰也】

文●九島辰也 写真●フェラーリ

 このところフェラーリは新型車を積極的に発表し、マーケットを賑わせています。特にプロサングエ以降はそうで、12(ドーディチ)チリンドリクーペ&スパイダーがリリースされたと思ったら、アマルフィクーペ&スパイダー、849テスタロッサなどが比較的早いスパンで発表されました。結果、ラインナップは拡充し、2000年代初頭までとは比べ物にならないくらい販売台数を増やしています。

 その背景には2015年10月に行なったニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場が関係します。株式の上場は資金調達の面で企業を太くします。ですが、それと同時に株主のオーダーを取り入れなくてはなりません。要するに量産体制への移行が行われるわけです。たくさんクルマを売ればその分会社が潤いますからね。株主への利益還元が行われます。

 とはいえ、それによるブランドの毀損は断じて阻止しなければなりません。フェラーリが市場にたくさん出回ってはいけませんよね。いつでも買えるとなれば新車ばかりでなく、中古車の価値が下がります。マーケットを常に枯渇した気分にさせるのが、これまでのやり方。買えないと思うと余計欲しくなるのが人間の性と言えるでしょう。

 そんなブランドだけに、時としてフェラーリはスペチアーレと呼ばれる特別なモデルを発表します。フェラーリの価値をより高めるための限定車です。代表的なのはF40やF50、エンツォ、ラフェラーリあたり。1947年の創業から数えたアニバーサリーイヤーにこういったモデルが飛び出します。創業40周年となる1987年7月に発表されたF40がそうでした。エンツォ自身の手によりアンベールされました。

フェラーリ F80

 2024年10月、新世代のハイブリッドパワートレインテクノロジーで登場したF80もそうです。80周年は2027年ですが、前倒しで姿を現しました。まぁ、実際にデリバリーされるのはそこからまだ年月がかかりますから、世界限定799台がすべて納車されるのはそのくらいになるかもしれません。いずれにせよ、F80は、2シーターでありながらシングルシーターのようなレイアウトをした特別なモデルです。

フェラーリ SC40

 ではさらに直近のスペチアーレはというと、SC40が挙げられます。アナウンスされたのは昨年10月17日。世界限定1台のワンオフ車が世界中に配信されました。

 このモデルはF40へのオマージュとして製作されました。よって、フラヴィオ・マンゾーニ率いるフェラーリスタイリングセンターのチームはそこに注力しています。シャープで角張ったラインを持ちながら柔らかな面構成を巧みに取り入れているのがそんなところです。モダンでありながらどこかクラシックな雰囲気を持ち合わせるのは、きっとそんな理由でしょう。ロングノーズ+ショートオーバーハングのプロポーション、エンジンカバーから垂直に立ち上がる固定式のリアウィングが独特です。

 これはフェラーリの“スペシャル・プロジェクト・プログラム”から成り立つもので、顧客の要望を具現化したことになります。顧客が描いたアイデアをもとに、デザインチームとミーティングを重ねながら世界に一つだけのモデルを仕上げます。その過程には実寸のモックアップも製作されるとか。プロセスは平均で約2年かかるそうです。ちなみに、SC40のベースになったのは296GTB。なので、パワーソースはV6ツインターボ+モーターのハイブリッドとなります。

フェラーリ SC40のデザインスケッチ

 さらにいえば、SC40はドイツで開催される権威あるデザインのアワード、レッドドット賞でプロダクトデザイン部門の最高賞「Best of the Best」を獲得しました。このワンオフでつくられたデザインが高く評価されたわけです。とはいえ、フェラーリは2015年以降、合計で13回この賞を獲っているそうなので、もはや常連と言えます。「Best of the Best」以外を含めれば、過去12年間で、35のレッドドット賞を受賞したとか。すごい! 授賞式はドイツ・エッセンで7月7日に行われる模様。これにより、フェラーリの価値がまた一段と高くなりました。

この記事の画像を見る

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

この人の記事を読む

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ