輸入車
更新日:2025.07.08 / 掲載日:2025.07.08

アマルフィに感じたフェラーリの本気【九島辰也】

文●九島辰也 写真●フェラーリ

 フェラーリからアマルフィという名の新型車が発表されました。情報解禁は7月2日だったので、まだホヤホヤのネタです。アマルフィとはイタリアにある地中海に面した風光明媚な海岸で、その一部は世界遺産にも登録されるものです。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、高級リゾートとしても世界中のセレブに愛されています。

フェラーリ アマルフィ

 ネーミングの根拠はローマの後継というのも関係しているでしょう。ポルトフィーノ、ローマと、このところフェラーリはイタリアの地名を連続で使用しています。

 もちろん、それ以前にも地名シリーズはありました。550“マラネロ”はフェラーリの本社のある地名だし、360“モデナ”はそのマラネロのある県です。458“イタリア”は地名というか国名ですね。これにモデナのあるエミリア=ロマーニャ州を加えたら手紙が届きそうです。

 この他にはカリフォルニアがあります。こちらは1950年代のフェラーリ250シリーズのオープントップモデルに端を発します。屋根開きの多くはアメリカで売れていましたから、意図的にそんな名前がつけられました。575Mの屋根開きモデルはスーパーアメリカと名付けられたくらいです。

 アマルフィはローマの後継ということでスタイリングもその延長線上にあります。デザイン部門の最高責任者フラビオ・マンゾーニ氏は、「アマルフィはローマをよりピュアでシンプルなものに仕上げた」とプレゼンテーションで語りました。確かにボディサイドにキャラクターラインのような彫りの深いアクセントは存在しません。アイコン的なディテールを持たず、ボディ全体のフォルムでクルマのキャラを表現しています。

 ローマと明らかに違うのはフロントグリルとバンパー。グリルはシンプルに、バンパーはエアロダイナミクスを考えてデザインされました。プレゼンテーションではフロントと左右のウィンドウ以外すべて新設計と言っていたのを覚えています。ちなみにフロントはリフト機能が付きます。これはあれば便利。無いと歩道をまたぐ位置にあるコンビニにたどり着けません。

フェラーリ アマルフィ

 気になるパワーソースは3.9リッターV8ツインターボとなります。それをフロントミッドにマウントしたFRパッケージで、モーターによるパワーアシストはありません。フェラーリはこの8気筒のターボエンジンと12気筒の自然吸気エンジン、それとV6+モーター/V8+モーターのプラグインハイブリッドと、思いのほかバリエーションが揃っています。そしてそれぞれのカテゴリーのニーズに合わせモデル展開を行います。今回、なぜアマルフィはハイブリッドではないのかという質問に、そう答えていました。アマルフィが狙うターゲットにはこのパワーソースが求められているといったところでしょう。

 最高出力は640cvで、ローマよりも20cvアップしました。ヘッド周りを再設計しています。しかも高回転型でサウンドもチューニングし直したとか。よって、かなりスポーティに走れますが、同時にフェラーリ初心者にも扱えるようにセッティングしたとも話していました。どうやらローマが新規開拓に役立ったように、このクルマもそこを見込んでいるようです。

 デリバリーの開始は2026年の第一四半期だそうです。まずはヨーロッパから始まります。思うに日本にもそれほど時差なく船がつくでしょう。ここはフェラーリファンの多い大切なマーケットですから。そしてその頃になるとオープントップモデルが発表されると目せられます。どうなんでしょう、ローマと同じソフトトップですかね。確かにその方が情緒はあると思います。

フェラーリ アマルフィ

 ということで、今回はイタリアのフェラーリ本社で行われたメディア向け新型車発表会をレポートしました。最新モデルをいち早く見られるのはメディアとしてはもちろんですが、個人的にも喜ばしいことです。熱量のあるプレゼンテーションを目の前で聞けるのもそう。フェラーリ側の本気を感じます。アマルフィをローマの後継としてしっかり育てていくようなストーリーですね。いずれにせよ美しいモデルであることは間違いありません。2ドアクーペの魅力を再認識させてくれる一台です。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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