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更新日:2025.04.30 / 掲載日:2025.04.29

これぞドイツ流スーパーカー!【AMG GT S Eパフォーマンスクーペ】|九島辰也

文●九島辰也 写真●メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、BMW

 スーパーカーと言えば、イタリアの跳ね馬に代表されるスーパーな乗り物ですが、それ以外のメーカーもチカラを入れてそのジャンルを開発しています。一部のブランドにとっては、イメージを飛躍させるためにもなくてはならない存在です。もちろん、VWやプジョー、ルノー、それと三菱やスバル、マツダ、スズキのような大衆車ブランドはそうとも限りません。あまりそっち方面に引っ張られても実用的なコンパクトカーの販促になりませんから。

フォルクスワーゲン トゥアレグ W12

 とはいえ、経営トップが替われば方針も変わるので、時たま「えっ!」て驚かされるモデルがあります。スーパーカーとは言えるかわかりませんが、VWトゥアレグに12気筒エンジンを載せたモデルがかつて存在しました。W12ユニットはベントレーと同じでしたからとんでもなかった。当時広報車をお借りして走らせましたが、加速もそうだけど音がすごかったのを今も覚えています。あの12気筒独特の高音は特徴的です。

 それじゃジャーマン3と呼ばれるメルセデス・ベンツ、BMW、アウディはどうなんでしょう。R8シリーズをやめてしまったアウディは今e-tron GTがそれに当たります。低く構えたスタイリングはまさにスーパーカー的。とはいえ4ドアであることを鑑みると少し違う気もします。スーパーなサルーンといったところでしょうか。

BMW 8シリーズ

 BMWは8シリーズがそれに該当するかと思われます。日本での販売は終了しますが、本国ではラインナップし続けます。ただ、Mを頂点とするパフォーマンスは申し分ないのですが、スタイリングはイマイチスーパーカー的ではありません。i8に4.4リッターV8ツンターボ+モーターを積んだらそうなったでしょうが。まぁ、当時の気運からしてそれはありませんし、設計上搭載するスペースもありませんでした。スタイリングはカッコよかったのに。う~ん、残念。

 ではメルセデスはというと、ありましたメルセデスAMG GTシリーズ。2019年2月にSLSの跡を継いで日本でお披露目されたそれはまさにスーパーカー。“Handcrafted by Racers”のスローガンで世に出たそれはサーキットの匂いをプンプンさせます。マクラーレンとのコラボからAMGへスイッチして仕立てた第二弾ですからアファルターバッハの開発陣もさぞかし心血を注いだことでしょう。AMGはそもそも独立したチューナーですからね。プライドは高いと思います。

メルセデス・AMG GT 63 S E パフォーマンス

 そのメルセデスAMG GTシリーズが昨年モデルチェンジしています。完成度の高いスタイリングはディテールのみの変更ですが、中身を大きく進化させました。パワートレインやシャシーといったハード部分からインターフェイスのソフトウェアまでアップデートされています。エンジンは「M177」の4リッターV8ツインターボで、最高出力585ps、最大トルク800Nm。これは従来型のトップグレードGT Rを上回るスペックです。

 そんなメルセデスAMG GT63ですが、そこに今年2月更なるハイスペックバージョンが追加されました。メルセデスAMG GT63 S Eパフォーマンスクーペです。なんとリアに電気モーターを搭載し、大パワーを発揮するそのスペックはシステム総合で、最高出力816ps、最大トルク1420Nmに達します。ついに最大トルクが4桁の中盤近くまでやってきました。システム総合出力なのは彼ら初のプラグインハイブリッドだからです。ベースになるのは4リッターV8ツインターボ。それをモーターがアシストします。

メルセデス・AMG GT 63 S E パフォーマンス

 さらに言えば、この電動システムはメルセデスAMGペトロナスF1チームゆかりの技術で、それを市販車に搭載したカタチとなります。なので、すでに年数を重ねていることからも信頼性は思いのほか高い。ただ、忠告しておきますが、走りはとんでもなく速く不意なアクセルワークは危険です。制限速度時速120キロ区間の新東名高速を走りましたが、その加速は想像以上でした。合流からあっという間に制限速度いっぱいまで加速します。当然、その先の走りは公道では試せませんので、あとはクローズドエリアしかありません。サーキットに持ち込まない限り、パフォーマンスについては多くを語れないでしょう。

 ということで、メルセデスAMGが送り出すスーパーカーはバケモノのような速さでした。フェラーリやランボルギーニ、マクラーレンといったスーパーカーに目が行きがちですが、走りやデザイン、迫力の面でもこのクルマは十分それらと競えます。そう考えると、3000万円オーバーの金額はそれほど高くないかもしれません。最近のイタリアンスーパーカーはかなり高騰していますからね。こんな選択肢もアリかもです。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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