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更新日:2024.01.20 / 掲載日:2024.01.13

Eクラスはなぜ指名買いされるのか【九島辰也】

文●九島辰也 写真●メルセデス・ベンツ

 メルセデス・ベンツの中核を担うモデル、Eクラスがフルモデルチェンジしました。1月12日に発表されたのはセダンとステーションワゴン。発売開始は2月ですが、発表と同時に予約注文がスタートになりました。

 このニュースに強く反応する人は少ないかもしれません。なんたって時代はSUV。セダンやステーションワゴンよりも背の高いモデルが人気です。Eクラスに匹敵するのはGLEやGLEクーペ。当然そちらの方が販売の要となります。

 とはいえ、Eクラスセダンやステーションワゴンを指名する人もいるはずです。実用性の高さに惚れて、新型が出るたびに買い替えるという声もあるかとないとか。かく言うワタクシもそんなタイプのひとりで、思い出したようにEクラスを選びます。これまでW123型セダン、W124型ステーションワゴンに乗ってきましたが、最近中古でW212型セダンを手に入れました。クルマ選びに悩み続けると、ここにたどり着くんですよね。高い利便性とステイタス、それとクルマ好きをも唸らせる走りが魅力です。

 ちなみに、正確に言うと新型はEクラスと名乗り始めたW124から数えて6代目になります。爆発的に売れたW211あたりを懐かしく感じる方は多いでしょう。SUVブームの前ですから相当売れました。ただ、その始祖は1946年に発表されたW136だそうです。そこまで遡るとカタチが浮かびませんが、プレミアムセダンのベンチマークであり続けているのは確かです。

新型Eクラス セダン・ステーションワゴン


 前置きが長くなりましたが、新型は時代に則したカタチで現れました。スタイリングはオーセンティックなイメージのままモダンに仕上げています。メルセデスはこれを「電気自動車の前衛的なトレンドセッターとの間をつなぐ架け橋のような存在」としていますが、まさにその通り。フロントマスクは先代W213型の流れを汲みながらグリル周辺をハイグロスブラックにするなどEQシリーズを想起させます。グリル中央の大型スリーポインテッドスターとシングルルーバーもそう。大胆な変更はせず見せ方を工夫しました。興味深いのはE350eにオプション設定される“イルミネーテッドラジエーターグリル”。陽が落ちるとラジエーターグリルが白く光るそうです。ガラス繊維1000本以上で構成されるとは、見ものですね。

 ライト類はフロント、リアともに光り方が変わります。特にリアコンビネーションランプは独特で、スリーポインテッドスターをモチーフにしたカタチを映し出します。でもどこか三角おむすび風なんですよね。愛嬌があります。

 といったエクステリアですが、インテリアの方が大胆に変わっていました。オプション設定の“MBUXスーパースクリーン”がそうで、大型のガラス面がセンターから助手席まで広がります。言うなればEQSの“MBUXハイパースクリーン”。こちらはメータークラスターが独立しているのが特徴です。ここもまた電気自動車との架け橋的デザインでしょう。標準装備のウッドパネルも上品で素敵ですけどね。ラグジュアリーさを求めるならこちらかも。

 パワーソースは、2リッター直4ターボのガソリンエンジン(ISG搭載)と同じ排気量のディーゼルターボ(ISG搭載)、それとこのガソリンユニットにモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドというラインナップ。すべて電動化されたパワーソースになります。グレード名は“E200アバンギャルド”、“E220dアバンギャルド”、“E350eスポーツ”。ただしステーションワゴンはプラグインハイブリッドはラインナップされません。たくさん荷物を積むことを考えれば力強いプラグインハイブリッドとのマッチングは良さそうですがそうなりませんでした。もしかしたら後から追加されるのかも。

 装備に関してはメルセデスの最新テクノロジーが満載されます。安全装備に定評あるブランドなので、心配なし。スマホを使ってリモートパーキングアプリを立ち上がれば、車外からクルマをコントロールすることもできちゃいます。
日本初の機能は“路面描画機能による車線逸脱警告”で、夜間走行時に車線を逸脱しそうになるとヘッドライトが前方の路面に矢印を投射します。でもってドライバーはその矢の向きにステアリングを切れば車線に復帰できるという仕組み。実際に矢印を見るまではわかりませんが、わかりやすそうですね。

路面描画機能を備えたデジタルライトを採用


 といったのが新型Eクラスの概要です。詳細はテストドライブのレポートでお伝えしますので少々お待ちを。期待大だなぁ。このところマイブームはセダンですからステアリングを握る日が楽しみです。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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