輸入車
更新日:2023.05.08 / 掲載日:2023.05.06
【フェラーリ、ベントレー】コーンズ・モータースの新ショールームを体験

文●九島辰也 写真●コーンズ・モータース
自動車業界では“令和のバブル”が起きている。半導体や一部部品の供給不足から新車の納期が遅れたため中古車の需要が伸び、価格の高騰が続いている。納車まで一年とか言われたらそうなるだろう。高年式で走行距離が短ければ新車にこだわる理由はない。
とはいえ、新車が欲しい人が少ないわけではない。ボディカラーの選択やオプション装備の選定まで自分好みに仕上げるのは楽しい。場合によっては世界で一台の自分オリジナルが出来上がる。それに何よりまっさらな気分で乗れるのが醍醐味だろう。運転に慣れるまではドキドキだし、慣らし運転なんて儀式も行える。

なんて話をしたのは、周りでクルマの買い替えブームが起きているからだ。新車、中古車、クラシックカー問わず、買い替え話を聞く。中には買い足しも。2台? 3台? いやいや10台くらい持っているヤツも何人かいるみたいだ。

こうした状態の中、高級車マーケットも順調に伸びているようで、コロナ禍であろうとここ数年ハイエンドなモデルは調子がいい。日本でもそうだし、グローバルでもそうだ。思うに背景には内燃機関に対する執着心があるのではないだろうか。多くのハイエンドブランドが順次プラグインハイブリッドモデルを増やし、EVへの移行をアナウンスしていることを鑑みれば、大排気量ガソリンエンジンへの思いは強くなる。事実各社12気筒エンジンを継続しない旨のニュースリリースを出している。となれば、ここが最後のチャンス?としてモーターを積まないハイパフォーマンスマシンを手に入れたくなるもんだ。ガソリンエンジンの走りを長く楽しめるし、場合によっては資産価値もつくかもしれない。

なんて傾向に関連しているのかどうかわからないが、高級輸入車の老舗ディーラー、コーンズ・モータースがショールームを新しくし、先月グランドオープンさせた。フェラーリを扱う「コーンズ芝ショールーム」と「ベントレー東京芝ショールーム」だ。どちらも親会社であるコーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドの11階建て新社屋を使っての展開となる。フェラーリはすぐ近くから、ベントレーは青山からの引越となった。

新ショールームの力の入り具合は相当で、ベントレーは東日本最大級、フェラーリはアジア最大級のスペースを持つ。展示車両はもちろん、ビスポークを受けるオプションエリアも充実していてそれぞれの世界観を醸し出している。百戦錬磨のカスタマーも納得のシュールームだろう。自然光でクルマを見られる場所があるのはいい計らいだ。

それにフェラーリ、ベントレーともに我々メディアを呼んでのプレゼンテーションが行われたのは興味深い。ベントレーでは世界限定18台の“マリナーバトゥール”が展示され、フェラーリはファー&ミドルイースト代表ディータ・クネヒテル氏が来日し我々の質問に答えた。話題は豊富だ。新ショールームはビッグビジネスであると同時に、メディアを通じてコーンズ・モータースの熱い想いを伝えたいのであろう。

それにしてもあらためてコーンズ(かつてはコーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドだと思われる)の歴史の長さに驚かされた。フェラーリは1976年より取り扱いを開始しているし、ベントレーに至っては1964年に正規輸入総代理店契約を締結している。まさに「老舗」と呼べる年月だし、実績だ。きっと日本の富裕層の多くがお世話になったことだろう。日本に多くのウルトララグジュアリーモデルが現存するのにかなり貢献しているはずだ。そして新ショールームが新たなステージを築くに違いない。我々取材する側からしても、ディーラー網がしっかりしていてカーカルチャーが成熟することは有難いことである。