輸入車
更新日:2022.08.30 / 掲載日:2022.08.30

【試乗レポート DSオートモーティブ DS4】ドイツ勢とはひとあじ違うラグジュアリー

文●岡本幸一郎 写真●ユニット・コンパス

 2015年にシトロエンからフレンチプレミアムブランドとして独立したDSオートモビルが誕生し、やがて「DS7クロスバック」と「DS3クロスバック」というシトロエン時代にはなかった2モデルが誕生した。さらに、フラッグシップセダンの「DS9」とCセグメントの「DS4」が加わったことで、DSオートモビルのラインアップが完成。それぞれ2022年の3月と4月に日本で発売された。

世界で最も美しいクルマ

DSオートモーティブ DS4

 DS4は世界的に人気のプレミアムCセグメントにDSオートモビルズが満を持して送り込んだ戦略的な基幹車種として、すべてが独特で興味深い1台に仕立てられている。

 流麗で彫刻的なプロポーションを強調した新世代のアヴァンギャルドなデザインは、2022年1月にパリで開催された「国際自動車フェスティバル」において、「Most Beautiful Car of the Year(=”世界で最も美しいクルマ”)」を受賞したほどで、実際に目にしても世のCセグメント車とは一線を画する、非常に印象深いものを感じる。

DSオートモーティブ DS4

 フレンチラグジュアリーを体現したインテリアの雰囲気も独特だ。シンプルでありながらディテールには凝っていて、エレガントでありながらピュアでもあるあたりがDSらしい。継ぎ目のないシームレスな造形のダッシュには、従来の一般的な大きなエアコン送風口を廃して、斬新なベンチレーションシステム「DSエア」が設けられているのも特徴だ。

 主力の「RIVOLI」グレードには、DSとして初採用のインフォテイメントシステムが装備される。エレガントな雰囲気を崩さないように一体でビルトインとされた10インチタッチスクリーンは直感的な操作が可能で、カーナビのボイスコントロール機能も充実している。視線の先には、フロントガラス越しの約4m先に情報を投影するヘッドアップディスプレイなど、DS初となる新たな先進装備を数多く搭載している。

アクティブスキャンサスペンション搭載

DSオートモーティブ DS4

 走りの仕上がりもかなりのものだ。プラットフォームに第3世代となる最新の「EMP2」を用いており、「RIVOLI」グレードには、DS アクティブスキャンサスペンションが搭載される。硬さと柔らさの両面を兼ね備えた足まわりは、しなやかにストロークしながらも適度にひきしまった、「絶妙」な味付けだ。

 快適性が保たれていながらも姿勢変化は抑えられていて、まさに路面に吸いつくようなグリップを感じる。ハンドリングもゆるやかな中にも動きが正確で姿勢をコントロールしやすい。高速道路では直進性のよさが、ワインディングでは一体感のある走りが印象的だ。

 挙動が乱れそうな操作をしても乱れにくく、横Gが急激に立ち上がらないあたりの感覚も独特のものがあり、中立から微舵にかけても緻密に仕上げられていて、繊細なドライビングにも応えてくれる。

3気筒のネガを感じさせない

DSオートモーティブ DS4

 パワートレインは、1.2リッター直3のガソリンターボ(PureTech)、1.5リッター直4のディーゼル(BlueHDi)、1.6リッター直4自然吸気のガソリンを ベースとし56km(WLTCモード)のEV走行レンジを誇るPHEV(E-TENSE)という3タイプが用意され、すべて8速ATが組み合わされる。

 中でも1.2リッターのガソリンは、動力性能的には大きな不満はないとして、3気筒である点がフレンチプレミアムブランドとしてどうかというのが気がかりだったのだが、回転をあまり高く上げることなく普通に走っている限り、騒々しさを感じることはない。

 同門の同じエンジンを搭載するシトロエン車やプジョー車でも静粛性とドライバビリティの高さには感心したものだが、さらに上の次元に達していることは明白だ。サウンドによる演出も面白い。

 このところ同門のシトロエンやプジョーもそれぞれ持ち味を上手く表現していて感心させられることが多いのだが、DS4はそんな身内のライバルに対しても巧みに差別化が図られていることが印象的だった。さらにはプレミアムブランドとして後発だからこそなおのこと、とくにドイツ勢に対して、ひとあじ違った世界観がわかりやすく表現されているあたりも興味深かった。DSオートモビルの底力と存在感を強くアピールする、非常に印象的な1台であった。

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岡本幸一郎(おかもと こういちろう)

ライタープロフィール

岡本幸一郎(おかもと こういちろう)

1968年、富山県生まれ。幼少期に早くもクルマに目覚め、学習院大学卒業後、自動車情報ビデオマガジンの企画制作や自動車専門誌の編集に携わったのち1998年にフリーランスへ。軽自動車から高級輸入車まで幅広くニューモデルの情報を網羅し、近年はWEBメディアを中心に寄稿。ドライビングスクール等のインストラクターも務める。日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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1968年、富山県生まれ。幼少期に早くもクルマに目覚め、学習院大学卒業後、自動車情報ビデオマガジンの企画制作や自動車専門誌の編集に携わったのち1998年にフリーランスへ。軽自動車から高級輸入車まで幅広くニューモデルの情報を網羅し、近年はWEBメディアを中心に寄稿。ドライビングスクール等のインストラクターも務める。日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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