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更新日:2022.08.04 / 掲載日:2022.08.04
FERRARI 296 GTB【グーワールド コラム/ニューモデル】

文●九島辰也 写真●フェラーリ
問い合わせ:フェラーリ URL:https://www.ferrari.com
(掲載されている内容はグーワールド本誌2022年9月号の内容です)
新世代のスモールフェラーリを鈴鹿サーキットで体験
昨年10月ジャパンプレミアした296GTBは話題の多いモデルである。SF90ストラダーレでプラグインハイブリッドがリアルになったのはご承知のとおりだが、今回はなんとV6エンジンとの組み合わせだ。フェラーリ新時代の幕開けといった意味合いを感じる。
296の名は2.9L+V6の意味。そしてGT(グランツーリスモ)の後にベルリネッタの“B”がつく。308/328GTBの時代の手法だ。ちなみに、先日発表された296GTSも同じ。当時のようにスパイダーの“S”で表される。
パワーは最高出力830cv(cvは馬力を表すpsのイタリア語表記)。V6ユニットの663cvとモーターの出力を足した数字だ。6.5LV12の自然吸気エンジンを積む812GTSが800cvであることを鑑みると、これはすごい。
ハイブリッドシステムはF1にも採用される技術を応用。エンジンとモーターの間にクラッチを噛ませ、EV走行を可能にしている。なので、スタートボタンを押していつもの乾いたブリッピング音が聞けるとはかぎらない。
さて、そんな296GTBを走らせるとどうか。フェラーリ・レーシング・デイズ開催中に鈴鹿サーキットで走る機会を得たので印象をお届けしよう。
スタートはやはりモーターで始まった。ただ場所が場所だけにレースモードにするとすぐにウォン!とV6が目覚める。音の迫力は申し分なし。走りは総体的に滑らかで、乗り心地も悪くない。サーキットの路面はいいものだが、足がしなやかに動くのがわかる。もちろんステアリングに対する挙動はクイックだが、安定感が抜群なので臆するところはない。そしてアクセルを踏み込むととんでもない加速をする。モーターがアシストするメリットは大きく、異次元のようなスピードだ。景色の流れ方が尋常じゃない。
なんてサーキットならではの一面を見たので次回は一般道、高速道路、ワインディングで試したい。燃費も気になるし。結果次第では、もしかしたらロングドライブできるスーパーカーってことかもしれない。
Profile:自動車ジャーナリスト 九島辰也
ファッションや旅にも造詣が深い自動車ジャーナリスト。プライベートでは、アメリカ、ドイツ、イギリスと各国のクルマを乗り継いでいる。


FERRARI 296 GTS

フェラーリ・レーシング・デイズの前日に日本初お披露目となった屋根開きのGTS。リトラクタブルハードトップは約14秒で作動完了。オープン後もガラス越しにエンジンが見える。