新車値引き情報
更新日:2021.07.26 / 掲載日:2021.07.26

【新車購入】X氏の値引きにチャレンジ大作戦

レクサスISから10.7万円引き!

ナシのつぶて&放置プレー、あまりの仕打ちに戦意喪失。窮地を救ったのはまさかの……

【プロローグ】 夫、いわく、
「これからのクルマ社会はEVや水素の時代になる。近いうちにターボの効いたFRのスポーツカーは絶滅機種になってしまうぞ。今が積年の夢を実現する、最後のチャンスだ!」
 と言われても、私にはクルマ作りがどうなっていくか? なんてまったくわかりません。
 EVでも水素でもFRでもFFでもかまいません。私としては快適な助手席♪を保証してもらえればいいのですが、クルマ大好き・おたくの夫には「大変なこと!」のようです。
 我が家のアルファードはこれまで17年間、8人家族の“足”として活躍してきました。しかし、ここ数年で夫の両親が他界し、4人の子供たちも相次いで独立。気が付くといつの間にか夫婦二人暮らしとなり、生活スタイルが一変。いまやアルファードは「ドライブ旅行専用車」に。しかもコロナ禍で1年間、遠出はなし。ちなみに、買い物や孫の送り迎えなどは私のムーヴですませています。
 そんな折、近々家族が増えることになった長男が「アルファード、使ってないなら譲って欲しい」と言い出しました。これがきっかけで夫の夢を実現することになったわけです。
 すでにアルファードは長男一家に引き渡してしまいましたが、ムーヴがあるので日頃の足には不自由しません。納車を急ぐ必要はないので、じっくりクルマ選びをするつもりです。
 商談はもちろん月刊自家用車の愛読者である夫がやりますが、レポーターは私が務めさせていただきます。

 近所のトヨタA店に出向いて、クラウンの試乗と見積もりからスタートしました。
 夫は本命のスープラからいきたかったようですが、いきなり600万円を超えるスポーツカーの商談をもちかけるのは庶民としてはちょっと気が引けます(笑)。夫によれば「スープラは年間の生産台数が限られていて納期は4か月以上かかる。だから試乗車も展示車もない。それに、この界隈では“生”スープラを見たことさえない」とのことです。
 そこで、当初は現実味のあるクラウンをメインに商談して、ついでにスープラの話を持ち出そうという作戦を採りました。
 セールスさんは若いが、いかにもやり手という感じです。
 クラウンは確かにこれまで乗ってきたクルマとは違い、高級感がたっぷり! 夫婦揃って「いつかはクラウン」のキャッチフレーズを間近に感じ、試乗しただけで、なんだか達成感が得られました(笑)、
 肝心の値引きは「頑張って20万円」という感じです。夫は「いきなり30万円はいく」と思っていたようで、スタートから出鼻をくじかれたという表情です。
「子供たちがみんな独立したんで、いっそのことスポーツカーにしようかとも思っているんです。で、スープラも考えているんですが、これも値引きはクラウンと同じくらいですか?」
「いやいや、スープラはまったく値引きできません」
 一言で片づけられてしまいました。すごすごと退散。
 BMWを販売する大手の輸入車販売店を初訪問。事前にネットで申し込んでおいたので、すぐにお目当ての3シリーズに試乗できました。
 担当セールスさんはスマートなイケメンです。
 そう言えば、作戦会議の際、松本さんは「輸入車の販売店やレクサス店に出向くと、イケメン揃いでびっくりしますよ。こうしたディーラーはセールスマンを選ぶ際『ルックスやスタイルも重要な要素にしている』なんて言われています。まあ、あくまでも噂の域を出ませんけどね。もしホントだとしたら、私とか、ご主人とかは入社できませんね。ははは……」なんて言ってました。失礼ですよね(笑)。
 車両価格は559万円ですが、付属品や諸費用を含めた総額は軽く600万円超! 値引き額の記載はなし。セールスさんは全身から値引きなんて聞くなよオーラを発しています。正直、値引きの話を持ち出せる雰囲気ではありません。
 お店を引き上げた後、夫は「我が家とは違う世界の人が乗るクルマだな。商談してみてそれがはっきりわかったよ」とのこと。購入意欲がすっかりなくなったようです。
 夫はやはりスープラに強く惹かれているようで「一度実物を見てみたい」と言って、インターネットであれこれと検索。すると、近所のトヨタB店に試乗車があるのがわかりました。
 早速、申し込みました。
 これでようやく実物が拝めると思ったのもつかの間、トヨタB店が「試乗車が故障してしまいました。修理の部品が入るのに時間がかかるので、しばらくお待ちください。終了したらご連絡します」と言ってきました。ところが、2週間以上経ってもナシのつぶて……待てど暮らせど、連絡がありません。
 業を煮やした夫がメールしたところ、あわてて「ナビがいつ直るかわからないので連絡が遅れました。スープラは部品がトヨタのものじゃないんです」と言ってきました。夫がさらに訊いたところ、
「スープラはオーストリアで製造しており、トヨタ車であってトヨタ車じゃないので、修理部品の入手に時間がかかってしまうんです」
「ナビが不調でも走行に支障がないなら、試乗してみたいんだけど」
「わかりました。それでよければ試乗はできます」
 トヨタB店のショールームに入るとまわりからなんとなく冷たい視線を感じます。試乗車の経緯からどうやら私たちはホット客どころかクレーム客と思われてしまったようです。
 運転は思っていたよりしやすい。私でもなんとかなりそうです。ただし、2シーターなので車内に荷物置き場がほとんどなく、たくさん買い物をしたときに困ってしまいそうです。
 さて、肝心の商談ですが、スープラを売る気がないのか、コロナ禍のせいなのか、テーブルに案内してくれません。こちらは買う気をみせたつもりですが、見積もりも作ってもらえません。立ち話のなかで「値引きはほとんどありません」と冷たく言われてしまいました。さらに「この客とは付き合いたくない。早く引き上げてもらいたい」との雰囲気が漂っています。
 早々に引き上げました。

名うてのベテラン、出鼻を挫かれる。“熱い思い”ようやく通じたけど……

 気を取り直して、アルファードを買ったトヨタC店へ。ただし、購入から17年も経っており、当時の担当セールスさんはすでに転勤してしまいました。現在、付き合いのある方はいないので、初対面のセールスさんが応対。夫はこれまでの2店と同じ轍は踏みたくないと思ったようで、最初から狙いをスープラに絞って熱い思いを語り出しました。
「Xさんのお気持ちはよくわかりました。スープラは原則、値引きゼロですが、できるだけ頑張ってみます」
 いったん奥に引っ込んで、しばらくして販売課長さんを連れて戻ってきました。
「Xさんにはぜひスープラに乗っていただきたいので、本部の部長決裁を取りました。何とかこれでお願いします!」
 提示してきた値引きは車両本体と付属品から10万円。
「これが限界です!」
「う~ん……持ち帰って検討させてください」
 トヨタA店と2回目の商談。例の若手セールスさんが元気よく出迎えてくれました。
「スープラへの思いが日増しに強くなっています。本気で考えるので限界をお願いします」
「頑張ります!」
 勢いが良かったので、期待して待っていましたが、提示してきた値引き条件は5万円。
「通常は値引きゼロですが、ここまで特別に出しました」
 夫は意気消沈……。
 次はマツダへ。ロードスターは今回の候補車の中では値段が一番安いし、マニュアルミッション(MT)が選べるので、私は密かに「これを選んでくれたら!」と思っています。実は、夫の影響で、私もMT派になってしまったのです。
 事前に試乗の予約をとってから出向いたのですが、店舗に入っても誰一人声をかけてくれません。平日の昼前で、私たち以外にはほとんどお客さんもいない状態だったのですが、受付の女の子と目が合っても無視されてしまう。しばらく待ちましたが、ついに夫が「試乗をお願いしてあるXですけど、誰か対応してくれる人はいないのですか?」と大きな声で言いました。そのとたん、あわてて「すみません! 担当は私です」と言って小走りにセールスさんが飛び出てきました。
 ロードスターに試乗。スープラより取り回しが良く、久しぶりのMT車の運転も快適でした。ただし、やはり車内の収納スペースが狭く、日常の使い勝手が不自由だと感じました。
 ショールームに戻って商談の席に着くと、いきなり「ロードスターは値引きできません。期待しないでください」と釘を刺されてしまいました。
 この一言で、夫はまたもや戦意喪失。今回の新車購入は、なぜかディーラーさんとの相性がよくないようです。
「クルマはいいけど、マツダはやめておこう」
 残念、あえなく私の本命が消え去りました。
 自宅に戻って作戦会議。
「スープラに決めたいという気持ちもあるが、2シーターの使い勝手の悪さがやはり引っかかるなあ」
X「孫たちと遊びにいけないし、買い物にも使いにくいわ」
「で、ダークホース的な存在だったレクサスISが気になってきたんだけど……」
X「そう言えば、この間、行ったトヨタのディーラーで、事務のお姉さんが『お客様、レクサスを見に行かれるんでしたら、私の夫がレクサス店でセールスをやっているので、よかったらお願いします』って言って、名刺を渡してくれたね。(取り出して)ほら、これこれ」
「おっ、その名刺、使ってみるか。レクサス店は敷居が高くて、いままで一度も足を踏み入れたことがないんだ。しかし、紹介があればスムーズに話ができるだろう」
 というわけで、早速、夫が名刺のセールスさんに電話を入れてアポを取りつけました。
 しかし、この時点で私はISがどんなクルマかわかっていません。主人も気持ちはまだスープラにあるようです。
 レクサス店は他の国産ディーラーと違って高級感が漂っています。そんなところに初老の夫婦が軽自動車で乗り付けたのですから……場違いですよね。紹介がなかったら回れ右をして退散したかもしれません(笑)。
 応対してくれたセールスさんは超高級ホテルのフロントデスクにいても違和感のない、スマートな人でした。
「トヨタにいる奥さんに紹介されてきました」
「妻がお世話になっています。今回はご来店、ありがとうございます。試乗車を用意してあります。こちらへどうぞ」
 ISは見た目が良く、いかにもレクサスという感じで高そうに見えました。夫は「……う~ん……」と言いながら外回りをゆっくり見ていました。
 まず私が試乗し、続いて夫が試乗。思ったより運転しやすく、高級感もあって気に入りました。夫もまんざらでもなさそう。もちろん私はスープラよりこっちを推したいと思っています。
 試乗中、夫はセールスさんと何やら私にはわからないクルマのメカニズムやデザインの話で意気投合し、すっかり本気モードに切り変わっています。
 ただし、この日は突っ込んだ商談はしないで「検討してみます」と引き上げました。
 再び家族会議。夫はISだけでなく、担当セールスさんも大いに気に入ったとのこと。最終段階にきて伏兵だったレクサスISが急浮上してきました。

“レクサスの壁”にアタック! 秘技“無理を承知の独り言”(笑)

 2日後、レクサス店へ。もう一度試乗させてもらった結果、IS300Fスポーツを対象に交渉することにしました。
 とはいえ、相手は噂に聞くレクサスです。案の定「値引きはいっさいできないんです」と言ってきました。
 しかし、過去何度となく「私もX氏」に掲載され、値引き交渉に自信を持っている夫は“レクサスの壁”に果敢にもアタックします。
「車両本体の値引きはできなくても付属品からなんとかできませんか?」
「う~ん……お待ちください。(しばらくして戻ってきて)では、付属品から7万5000円引いて支払い総額を579万円にします。これでお願いします」
「愛知には経営の違うレクサス店がたくさんありますよね。奥さんの紹介がなければ、ここに来ることもなかったかもしれません」
X「素晴らしい奥さんですね。大事にしなきゃね」
「ありがとうございます。う~ん……では、これでどうでしょうか?」
 見積書に記入された「7万5000円」の数字をボールペンで消して新たに「9万5000円」と書き直してくれました。
「上司の了解は取ってませんが、支払い総額は577万円になります」
「わかりました。この条件で最終判断します。いったん持ち帰らせてください」
 最後の家族会議を開催。
X「スープラより後部座席に孫を乗せてドライブもできるISのほうがいいと思うけれど、今回はあなたが『乗りたい!』というクルマを選んでいいわ」
「正直、おれも迷っているが気持ちはISに傾いている。今回のマイチェンで、すごくいいクルマになった。問題は値引き条件だが、松本さんに意見を聞いてみよう」
 夫が松本さんに電話を入れてこれまでの経緯を伝えました。
松本「ISは新型となって売れ行きは好調です。納期は半年待ちですね。レクサスのなかでもとくにガードが堅く、車両本体値引きどころか、付属品の割引にも応じないというケースがほとんどです。付属品から9万5000円引きなら、文句なしの特上クラスです。ただし、契約の際にもうひと押ししてみてください」
 2日後、レクサス店へ。
「先日の条件で何とかお願いできないでしょうか?」
「ムーンルーフ(11万円)を追加するのでもう少し何とかなりませんか?」
X「この人がいまだにタバコをやめないので助手席の私は煙くて困るんです。でも、ムーンルーフがあれば換気できますよね。私のために11万円もするオプションを付けるんだから、なんとかしてください」
「奥様にそう言われると、なんとかしなくちゃなりませんね。じゃ、あと1万円だけ値引きを上乗せします」
「よし、決めましょう」
 セールスさんが注文書を作成しているとき、夫がなにやらボソボソ言い出しました。
「……無理を承知での独り言ですけど……レクサスともなると、皆さん、ボディコーティングをかけているんですよね」
 すると、セールスさんのキーボードを打つ手が止まった。
「……コーティングですか……(しばらく考え込んだあと)……私は整備士の資格がないので保証は付けられませんが、溶剤などは同じものを使って、私が納車の前にきちんとコーティングしておきます」
「ありがとう! 納車の時にはもちろんガソリン満タンでお願いしますね」
(涼しい顔で)「レクサスはガソリン満タンでお引渡ししますので、そのままドライブに行っていただけますよ♪」
 さすがはレクサス! と感心して、無事契約となりました。


購入データ
From愛知県
LEXUS IS
IS300 Fスポーツ
トータル値引き 10.7万円

値引き採点 5
レクサスISは「納車まで半年待ち」の状況。車両本体値引きはもちろん付属品の割引にも応じないケースが目立つ。付属品から10万6899円引き+ボディコーティングは異例中の異例!


提供元:月刊自家用車

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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