新車値引き情報
更新日:2021.06.26 / 掲載日:2021.06.26

【新車購入】X氏の値引きにチャレンジ大作戦

カローラスポーツから38.1万円引き!

16年経ったら浦島太郎!? 燃えない営業に茫然自失……電話断り作戦で起死回生!

【プロローグ】 1年ほど前、15年目の車検を通して、「あと2年間は大丈夫。あわよくば20年目までいこう!」と思っていた、インプレッサスポーツワゴン(11万km超)だが、今年に入るとエンジンルームから「キュルキュル、シャカシャカ」と、なんとも嫌な音が聞こえてきた。車検時にプラグとタイミングベルトを交換したのに……。
 早速、スバルに持ち込んで、調べてもらうこと2日間、異音の原因は「エンジン内のギヤを制御するレリーズベアリングの摩耗によるもの」との判断が出た。これとは別にエアバッグの警告灯もつきっぱなしになっていて、諸々を修理すると「20万円ほどかかる」とのこと。
 そこで、ついに買い替えを決断したのである。
 今回もやはりマニュアルミッション(MT)にこだわりたい。ところが、これを前提にクルマ選びを始めてみると、MT車の選択肢が極めて少ない。予算と使い勝手を無視して、GRヤリスやロードスター、ハチロク、シビックタイプR、さらにGRコペンやS660、アルトワークスまで範囲を広げれば、それなりの数とはなるものの、妻の普段使いや趣味のDIY/家庭菜園での資材運搬、孫を連れてのレジャーなど多種多様に使うことを考えると、前述のクルマは除外となってしまう。
 そんなこんなで、別記の候補車があがってきた。本命はスイフトスポーツ、対抗はヤリスだが、どれに決まるかは商談してみないとまったくわからない。
 還暦後の楽しいカーライフのために頑張るぞ~。

 まずは下取り車、インプレッサの相場を調べるため、大手の買い取り専門店に出向いた。しかし「大変申し上げにくいんですが、査定金額は出ません」。
 16年落ちだが、1年前に車検を通しているので2~3万円にはなると思っていたが、当てが外れた。だったら「ネット一括査定」に挑戦だ。スマホからポチッとやってみる。月刊自家用車には「送信すると、すぐさま電話が殺到する」と書いてあったので身構えていたが、まったく無反応……1本たりともかかってこなかった。作戦会議で松本さんが「たいへん丁寧に乗られているので値が付くといいですね。でも、期待しないほうがいいかも?」と言っていた意味がようやくわかった(笑)。
 いよいよ商談開始。大本命のスイスポを扱うスズキへ向かう。すでにこれまで3回ほど試乗しており、走りに関しては文句なし! 妻もサイズ感やデザインを気に入っている様子なので、金額さえ折り合いがつけば、すんなり決定となるかも。
 担当は入社1年目の新人氏。
「Xさん、ご予算はどのくらいをお考えですか?」
 おっ、探りを入れてきた。作戦会議で教わった通り、具体的な予算は口にしないで夫婦仲違い作戦を仕掛けてみる。
X「実は妻がスイフトスポーツを強く推しています。私はヤリスやカローラツーリング、カローラスポーツのトヨタ車も気になっているんだけど、値引きしだいでは妻の意見を尊重してもいいかなと思っています」
「スイフトスポーツはあまり値引けないんです。車両本体価格から10万円程度ですね」
X「トヨタは全ディーラーで全車種扱いになったんで思い切った値引きを出してくれそうです。10万円程度だと、正直、勝負になりませんよ」
「わかりました。店長に相談してきます」
 新人君、奥に引っ込んだままなかなか戻ってこない。かなり待たされた挙句、
「本日中に契約をいただければ20万円引きをさせていただくことも可能かもしれません」
X「えっ、どういうこと?」
「Xさんの場合、ディーラーオプションをほとんど付けていないので10万円が限界ですが、ナビとか、いろいろ付けていただければ20万円引きができるかもしれません」
X「値引きを増やすために必要もないオプションを買うなんて本末転倒だよ。10万円程度ではあきらめるしかないね」
「はあ……しかしオプションがないとこれ以上は無理です」
 どう水を向けても「無理」の一点張り。結局、終了。
 次はマツダへ。狙いのマツダ3に試乗。スカイアクティブエンジンはすごく評判がいいので期待したが、思ったほどではない。ATだからかもしれないが“もっさり”感が気になった。妻は「なんかガクガクしてクルマ酔いしそう」とのこと。
 ともあれ、お店に戻って見積もりをお願いする。
 車両本体値引きは記載されていないが、付属品3万円引きで支払い総額は約277万円。
X「車両本体の値引きはいくらくらいですか?」
「そうですね、277の一桁の単位を切るぐらいです」
X「というと、値引きは付属品分の3万円と合わせて10万円でお終いですか?」
「マツダはクルマの性能に見合った価格設定をしています。だから、お値引きはあまりしていません」
 かつては“値引きのマツダ”なんて異名をとっていたのに、この豹変ぶりはなんだ?
 気を取り直して、隣のトヨタA店へ。カローラツーリングを試乗したあと、見積もりを出してもらう。値引きなしの総額は約307万円。
X「トヨタは全ディーラーで、すべての車種を選べるようになって、値引きがかなり緩んだって聞いていますけど?」
「いやいや、いまはあんまり大きな値引きはできないんです。カローラツーリングは20万円くらいですね」
X「カローラスポーツも検討しているんですが、こちらはもっといけるでしょ?」
「いや、同じくらいです」
 売り込みの意欲がまったく感じられない。ここまで3店と商談したが、スズキしかり、マツダしかり……トヨタもこの体たらく。「この人から買いたい!」と思わせてくれるセールスさんには出会えなかった。
 16年間という月日はセールスマンの熱意を消し去ってしまったのだろうか……。

どこも売る気なし……なんて日だ! 無印カロスポが急浮上……身内に敵!?

 日を改めてトヨタB店へ。Webサイトからヤリスとカローラスポーツの試乗予約を入れてから出向いた。担当は若くてかわいい女性セールスさん。年甲斐もなくワクワクする(笑)。
 まずはヤリス。けっこうパワフルできびきびと走る。妻は「これに決めよ~」とはしゃぐが、私は「長距離の旅行にはちょっとな~。スイスポのほうがいい」と意見が食い違う。
 お店に戻って見積もりを出してもらうと、値引き約16万円で支払い総額230万円。ヤリスにこれだけの金額を出すなら「もっとプレミアム感のあるクルマにしたい」と思うのは私だけだろうか……。
 続いてカロスポに試乗。セールスさんは笑顔で「じっくり試乗していただいて大丈夫ですよ。お好きなところを走らせてください」と言ってくれた。「あなたと二人なら、どこか遠くへ行きたいな」と返したかったが、言えるわけない(笑)。
 お言葉にあまえて自宅に向かう。車庫入れを検証してみたが、難なく完了。
 無印だったカロスポだが、1.2Lとは思えないパワフルさとスムーズな走りっぷりに驚く。スイスポのようなパンチのきいた走りではないが「長距離ドライブが楽しめるクルマ」という印象を強く持った。正直、昨日乗ったカロツーよりこちらのほうを選びたい。
 ただし、妻は「顔付きも内装も男の人が好みそうなクルマだけど、私はヤリスかスイフトスポーツのほうがいい」と意見が分かれる。セールスマンより手ごわそうだ(笑)。
 店に戻って商談開始。カロスポの総額は約301万円。
「ご予算は?」
「インプレッサは当時、車両価格157万円だったけれど、交渉した結果、最終的に諸費用込みの支払い総額が160万円になりました。今回もそんな感じになったらと思っています」
「え~、というと、カローラスポーツは車両価格244万円ですから支払い総額は250万円くらいをご希望ですか? そんなに値引きしたら、私、毎日、白いご飯だけしか食べられなくなっちゃいます」(笑)
「それじゃかわいそうだな~せめて梅干しくらい付けてあげたいね」(笑)
 いい感じになったが、妻と私の間で狙いが絞り切れていないため、これ以上、突っ込んだ値引き交渉はできなかった。
 別の日、散歩がてらにトヨタC店へ。自動ドアを入ると、すかさずセールスさんが「どのようなおクルマをお探しですか?」と声をかけてきた。明るくて、とても感じがいい。
 この時点で私のなかではカロスポが本命に浮上してきたので、MT車の試乗を申し込んでみたが、残念ながら用意していないとのこと。ただし「かわりに86(ハチロク)のMTがあります。ぜひ試乗してください」との心憎い対応をしてくれた。
 以下、試乗中の会話。
「妻はスイフトスポーツを気に入っていますが、私はカロスポ推しです。でもね、トヨタB店で見積もりを取ったら300万円を超えていました。これでは完全に予算オーバーで、手が出ませんね」
「予算はどれくらいですか」
「250万円なら検討の余地ありかな」
「250ですか……できるだけ頑張ります! ぜひ、奥様とご一緒にいらしてください」
 これまで商談したセールスさんのなかでは「ぜひ買ってください!」との気持ちが一番伝わってきた。期待しよう。
 妻と家族会議。ここまでで「どうしてもカロスポ一本に絞りたい!」という気持ちが強くなってしまった私は思い切って大胆な提案をすることにした。
「お互い元気でクルマを運転できる時間も限られてきたので、好きなクルマに乗ろう!」
「えっ、私も好きなクルマ、買ってもいいの?」
「中古の軽自動車なら、なんとか維持できるかな」
「じゃ、スズキのラパン! ウサギのマークのあれがいい! 1年でも2年でもいいから乗りたいと思っていたの! ラパンに乗れるなら、今回はあなたの還暦祝いということで好きなクルマをどうぞ」
「では、狙いをカロスポに絞って進めることにするよ」
 大きな課題を残してしまったが、一本化に成功した。
 勤め帰りにトヨタC店へ。昼休みに電話でアポをとっておいたので、すぐに本題に入る。
「妻の推すスイフトスポーツと、私が気に入っているカロスポの価格を比べると40万円近く差があります。でも、この差を大きく縮められれば妻を説得することができると思います。だから頑張ってください!」
「私は駆け引きに時間をかけるタイプではないので、ズバリいきます。支払い総額272万円で、どうでしょう?」
「250万円なら即決できるんですが、272万円では厳しいですね。かといって、グレードは落としたくないしね」
「わかりました。では、グレードはそのままで262万円まで頑張ります。これがぎりぎりの限界です」
「わかりました。検討させてください」
 その足でトヨタB店へ。例の女性セールスさんと商談。トヨタ同士の競合を伝えると、
「私も頑張ります!」
「白いご飯に梅干しを覚悟してくれるんですね」(笑)
「はい、支払い総額を265万円にします」
「トヨタC店では262万円が出ていますよ」
「えっ、262万円ですか……店長と相談させてください。なんとか同じ数字にします」
「いやいや、同じなら先に出したお店を優先します」
「そうですよね、ともかく相談させてください」
 しばらくして、
「本日、ご契約の手続きをいただけるなら260万円までやります」
「わかりました。いったん戻って、スイフトスポーツ推しの妻に相談させてください」
「Xさん、すいません、店長からこの金額は本日限りと言われているんです」
「了解です。では、今日中に連絡します」

凄腕、参上! 土壇場の大逆転!! 潮干狩りより真央ちゃんだ(笑)

 帰宅して家族会議。
「260万円を出してくれたトヨタB店で決めようと思う」
「トヨタC店は断ったの?」
「これから断りの電話を入れるつもりだけど」
「最後まで頑張りなさいよ。5000円でも1万円でも安いに越したことはないでしょ。そうそう、松本さんにも相談してみないとね」
 おっしゃる通り。そこで、松本さんに電話を入れて、これまでの経過を伝えた。
松本「逆算すると40万円近い値引きが出ていますね。カロスポとしては限界値でしょう。このまま決めてもいいと思いますが、だめもとでトヨタC店に“電話断り作戦”を仕掛けてみたらどうでしょうか? 秘訣は『別の店で決めることにしたが、あちらと契約する前にお断りをしないと、頑張ってくれたあなたに失礼だと思って電話した』みたいなことを伝えることです。C店のセールスマンは熱血派のようなので『待ってください!』とくる可能性があります」
 なるほど。早速、トヨタC店に電話を入れた。
「トヨタB店が頑張ってくれました。さらに駆け引きをするのは気が引けるし、セールスさんにこれ以上ご迷惑をおかけしたくないので、今回はB店で決めようと思います」
「Xさん、そんなことおっしゃらないでください! B店と同じ金額にします」
「申しわけないけど、同じ金額ならB店で契約します」
「わかりました。B店はいくらですか?」
「260万円です」
「少しお時間をください。いったん電話を切ります」
 前回「限界」といっていたので上乗せは難しそうだ。1時間ほどで電話が鳴った。
「大変お待たせして申しわけありません。258万円にします!ぜひお願いします」
 なんと、松本氏直伝の電話断り作戦が見事に成功した。
 トヨタC店に出向いて契約。
 注文書には車両本体とメーカーオプション1万6500円から17万8472円引き、付属品(24万2242円)から20万2800円引き、下取り額2万6010円(リサイクル預託金戻し分1万2010円を含む)と記入されていた。
 一通りの契約が済んだ後、
「トヨタC店ではオーナー向けのイベント企画で、潮干狩りの申し込みをしていますよね。孫たちと行きたいので申し込めますか?」
「確認してきます」
 しばらくして、
「すいません。あのイベントは納車後に交付されるお客様番号が必要となるため、現時点で申し込みはできないんです。そのかわりと言ってはなんですが、浅田真央さんが出演するアイスショーのペアチケットをゲットしてきました」
X「凄い! 潮干狩りより真央ちゃんだ!」(笑)
 こちらの無茶ぶりをスマートな対応で返してくれた。この人、凄腕営業マンだ。長く付き合えること間違いなし。お店の方々も終始にこやかで、とても温かい雰囲気だった。



購入データ
From埼玉県
TOYOTA カローラスポーツ
Gスタイルパッケージ(6MT)
トータル値引き 38.1万円

値引き採点 5
車両本体からは17万8472円引きだが、付属品24万2242円から20万2800円引きで値引きの合計は38万1272円。さらに下取り額として2万6010円を計上。これで実質40万円超!


提供元:月刊自家用車

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ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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