新型車比較・ライバル車対決
更新日:2022.06.15 / 掲載日:2022.06.11

三菱&日産・新型軽EV見くらべガイド

ついに軽自動車にもBEVの流れが一気押し寄せてきた!
日産と三菱から2台の新型モデルが同時に登場したのだ。
ベースは同じながら驚くほど異なる個性。
高い性能を秘めているにもかかわらず、
補助金を考慮すれば実質190万円弱で手に入るというから、
これは見逃せないぞ。

●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之

個性は相当異なるけれど
共に次世代を牽引する存在

 ニッサン版の「サクラ」、ミツビシ版の「eKクロスEV」はプラットフォームやパワートレーンを共用する姉妹車の関係にあるが、立ち位置は結構異なっている。
 サクラは車名が示すとおりデイズ/ルークス系と別系統モデルとして開発。プラットフォームなど共用部もあるが専用開発の内外装を採用。外装はフロントウインドウ以外が専用に起こされ、光沢仕上げのフロントマスクはアリアと似たデザインだ。
 内装ではインパネ周辺が見所。センターディスプレイを一体化したメーターなどもアリアと同系統デザイン。また、助手席前面を連続する棚状造形にするなど、デイズ系とは見た目の印象も雰囲気も大きく異なる。木目調加飾や色調など、煌びやかさや古典的コックピット感を抑えて上質な味わいとしているのもアリア的である。
 一方、eKクロスEVはeKクロス系の最上位に位置するBEVとして開発されている。もっとも、eKクロスのコンセプトがハイト系ミニでもプレミアム志向が強く、サクラと車格的キャラ付けにおいては少し似たところもある。
 内外装は内燃機車のeKクロスとほぼ共通。とくに外観は一目でEVと識別するのは難しいほど。内装もシフトと空調関連の操作パネルの形状や加飾が異なるが、インパネの基本デザインやレイアウトも共通している。
 なお、キャビンユーティリティはサクラとeKクロスEVともに同じ。後席は左右独立スライド&リクライニング機構を備え、4名乗車でも荷室容量は十分だ。
 装備面では両車ともに全車に緊急停止支援システム等を備えた最新のプロ(マイ)パイロットを設定するが装備設定が異なり、サクラの最上級グレードのみ標準装備。その他はOP設定となっている。また、新規採用となった半自動駐車システムのプロ(マイ)パイロットパーキングは両車とも最上級グレード限定のOP設定だ。
 車載IT及びオーディオ関連は両車の相違点の一つ。共に自社展開のコネクティッドサービスを採用するが、サービス内容が多少異なっているのも注意点だ。
 別項で解説するが、走行関連のハードは共通。居住性や使い勝手もほぼ同じ。内外装の印象が随分と違った両車だが、BEVらしい先進性とハイト系ミニとしての実用面のまとまりのよさなど、基本の部分の完成度の高さは同等。内外装の好みで選べば、どちらを選択しても軽乗用では最良の走りとプレミアム感を得られる。タウンカーに先進とプレミアムを求めるなら、筆頭候補になるはずだ。

NISSAN SAKURA(サクラ)

●発表日:’22年5月20日
●価格:233万3100~294万300円
●問い合わせ先:0120-315-232(日産自動車お客様相談室)

日産EVシリーズのエントリーモデルとしての立ち位置

コンセプトは……
“これからの未来”を予感させる
洗練された佇まいがとてもモダンだ

アリアとともにニッサンBEVシリーズのエントリーラインとして開発されたモデル。先進感やプレミアム感も十分な内外装が品良くまとまっている。洗練感と安心感の走行性能等々が長い付き合いを予感させるタイプ。航続距離から短中距離用途向けになるが、室内の雰囲気はモダンリビングそのもの。ついつい長居したくなる居心地の良さだ。

標準装備の14インチアルミ。上級のGグレードには15インチもオプションで設定。
フラッシュサーフェスされたフロント回り。Vモーションを新しいアプローチで表現。
充電口キャップにも“和”を感じさせるデザインが施されている。下側が急速充電用。
バックドアにはSAKURAのエンブレム。ちなみに書体はアリアと同じなのだとか。

●ボディカラー

※1:7万7000円高 ※2:6万6000円高 ※3:3万3000円高

MITSUBISHI eK X EV(イーケー・クロス・イーブイ)

●発表日:‘22年5月20日
●価格:239万8000〜293万2600円
●問い合わせ先:0120-324860(三菱自動車お客様相談センター)

eKシリーズのひとつのグレードとしてEVが選べる!

コンセプトは……
ベースとなる「eKクロス」の
個性を保ちつつBEVモデル化

見た目の通り、eKクロスをBEV化したモデルだ。試乗前なので走りの評価はできないがサクラと同レベルとすれば、内燃機車に比べて走りの質感も余裕も向上。軽乗用にプレミアム性や個性を求めてeKクロスを考えているユーザーにとってBEV化は魅力大幅アップ。精悍なeKクロスのイメージを尊重するユーザーにとくにお勧めだ。

ミニマムサイズにもかかわらず、強い存在感のフロントフェイス。内燃機車と共通だ。
数少ない外装上の特徴がフロントフェンダー脇にある「EV」エンブレムだ。
上級のPは15インチアルミを標準装備。ベーシックグレードのGは14インチになる。
リヤゲートにEVのエンブレムを装着。ベースモデルとの差異は驚くほど控えめだ。
アクティブイメージを印象付けるルーフレールはOP設定。アウトドアフィールドが似合いだ。
車体右後方に充電口を備えるのはサクラと同じ。上が通常のAC200V充電口だ。

●ボディカラー

※A:8万2500円高 ※B:6万500円高 ※C:3万3000円高

インテリアを比較

外観以上に印象が異なる!
見た目の違いに注目しがちだが、実はサクラとeKクロスEVは内装の方向性も面白いほど異なるのだ。選び分けのポイントともなるだけにじっくり観察していただきたい。

NISSAN SAKURA

モダンリビングのような開放感
ノートオーラにも近い価値観だ

アリアにも似たツインパネル。モニターがつながっているように見えるのが面白い。
上級グレードのGなら本革巻ステアリングもOP選択可能。上質感をさらに高める。
カジュアルシックなモダンファニチャーデザインと優しいファブリックが心地いい。
センターコンソールのドリンクホルダーには遊びゴコロを感じさせる桜のモチーフ。
メーターパネルには高機能な大型7インチのTFTディスプレイを備える。
X、Gグレードともに標準シート地はトリコットだ。GグレードのみOPで合皮コンビも選択可。

MITSUBISH eK X EV

“気負い”させないのが好印象!
BEVが普通になったらこうなる?

Pグレードは9インチセンターディスプレイを標準装備する。スマホナビ連携機能付き。
eKクロスと異なるのが空調の操作パネルだ。ヒドゥンタイプの表示になっている。
夜間でも視認性に優れたデジタルミラーをG、PグレードともにOP設定している。
7インチ大型カラー液晶メーターがBEVモデルの特徴。視認性に優れ、高機能だ。
BEVモデルならではの電制シフト。クリック感もわかりやすく、操作性に優れている。
後席乗員に配慮したシートバックポケット。スマホ用の小さいポケットがあるのが嬉しい。

注目メカニズム&先進機能

BEVモデルへの変更点が意外と多い
急速充電に対応している点にも注目

基本車体骨格やフロアパネルはデイズ系/eK系と共通。バッテリーパックは強固な鉄製格納ケースに収納され床下に置かれる。バッテリー冷却には最近のBEVで採用車が増えている冷媒併用式を用い、充放電効率向上を図った。なお、フロントサスは内燃機車と同じストラットを採用するが、リヤサスはバッテリーパックのスペース確保のために3リンク式に変更。フットブレーキは回生協調型電子制御式を用いる。駆動モーターはBEVやハイブリッド車では標準的な永久磁石を用いた同期型を採用している。充電方式はAC200V普通充電とチャデモ式DC急速充電を標準装備。200V14.5Aの普通充電による満充電までの充電時間は約8時間だ。

軽とは思えない、モーターならではの大トルク

EV用に最適化されたパワートレーン配置

軽自動車初! 半自動駐車機能

高速道路での運転支援機能も充実

街乗りラクラク! 1ペダルドライブ

SAKURAとeK X EV「選び分けのポイント」

想像以上に個性が異なる姉弟モデル!
サクラとeKクロスEVとの選び分けは内外装の好みでいい。両車ともにコスパ面で悩ましいのがプロ(マイ)パイロットをどうするかだ。ACCとLKA以外の安全装備の大半は全車標準装着。一般道を主とする短中距離用途ならACC/LKAの必要度は低め。予算に余裕があれば装備した方がいいが、コミューター用途限定ならベーシック仕様でもいい。

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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