新型車比較・ライバル車対決
更新日:2020.09.25 / 掲載日:2020.09.25
新旧レヴォーグ全方位比較
新型レヴォーグは、他のスバル車と同様に、歴代を乗り続けるファンが多いことは間違いない。そうなると気になるのは先代との比較。ここではどこが違うのかを確認してみたい。
エクステリア
レガシィの時代から受け継がれたスポーツワゴンのエッセンスを、最も色濃く受け継いでいるのはエクステリアだ。そんな理由もあって、基本シルエットは新旧で大きく変わっていない。
新旧の違いは主にフロント周り。新型は、ボリュームのあるフロントオーバーハングから導かれる立体感溢れるフロントマスクや前後フェンダーの張り出し感で力強さを増した印象。一方、キャビン後半からリヤエンドにかけては、リヤコンビライトやバンパー部の意匠が異なることが差別点。ルーフの絞り込みなどは現行型と大きく変わっていない。
新型
全幅:1795mm 全高:1500mm
全長:4755mm ホイールベース:2670mm
現行型と比べると、全長と全幅、ホイールベースがやや拡大したが、国内マーケットを意識したサイズ感は堅守。ヘッドライトやグリル、バンパー類の意匠は力強くなったが、基本的なテイストは変わっていない。
現行型
全幅:1780mm 全高:1490~1500mm
全長:4690mm ホイールベース:2650mm
海外向けに大きくなったレガシィの代わりに国内導入された経緯を持つだけに、全幅を1780mmに抑えるなど、適度なサイズ感も特徴の一つ。スタイリッシュかつスポーティなテイストも大きな見所だ。
キャビン&ラゲッジ
新型のシートはバネ支持型ながらバネ特性とウレタン硬度の変更によりサポート性を向上。荷室の最大寸法は大きな変化はないが、トリム形状の変更や床下収納の拡大、リヤゲート開口部の拡大など総合的な使い勝手の向上が図られた。しかし、最も変化を感じさせるのはインパネ周り。現行型はスポーティモデルらしいコックピット感が特徴。新型は中央に配した11.6インチの大画面モニターが何よりも目に付く。グラスコックピットは先進的ではあるが古典的なスポーツカーの雰囲気とは対照的であり、世代が一気に進んだような印象も受ける。
新型

広々としたキャビンやスイッチ類の適正配置など、実用機能面の向上も見逃せないが、最も印象的に映るのは中央の大画面モニター。未来を見据えた新しいレヴォーグを象徴する装備といえよう。
純正ナビシステムではなく社外ナビを装着したいユーザー向けに、2DINスペースを設けた通常仕様も用意される。
フラットかつ広々とした荷室スペースの魅力は新型でも抜かりなく踏襲される。さらにリヤゲート開口部の天地左右や床下収納量が拡大されるなど、使い勝手の面も強化されている。
前席も後席もゆとり十分のスペースは健在。フロントスポーツシートは現行型と同様のバネ支持型だが、バネ特性とウレタン素材の変更によりホールド性と座り心地が向上している。
現行型

純正ナビシステムではなく社外ナビを装着したいユーザー向けに、2DINスペースを設けた通常仕様も用意される。
キャビンスペースのゆとりは新型にも引けを取らない。内装/シートの質感もマイナーチェンジ時の改良時に高められており、新型に負けない上質感を楽しめる。
フラットかつ広々とした荷室スペースの魅力は新型でも抜かりなく踏襲される。さらにリヤゲート開口部の天地左右や床下収納量が拡大されるなど、使い勝手の面も強化されている。
メカニズム
新型は剛性向上の骨格構造など走行性能に関わる全てに改良が加えられたが、その中でも注目したいのはパワートレーンとサス周りだ。現行型は1.6&2Lターボの構成だが、新型は新開発の1.8Lターボのみとなった。さらにCVTは約8割の部品を変更し、変速比幅を約30%拡大している。これらのパワートレーンの一新により、実用性能と燃費の改善が図られている。サス周りはスバル初となる電子制御ダンパーの採用が見所。走行状況に応じて減衰力を制御するだけでなく、走行モードに応じて3タイプの制御特性の選択が可能だ。
新型
■フルインナーフレーム構造
ボディ全体の骨格部材を組み立てた後に外板パネルを溶接する、フルインナーフレーム構造を採用。現行型に対してボディねじれ剛性が44%向上している。
■電子制御ダンパー
STI Sportに標準装着される電子制御ダンパーは、加速度センサーで検知した路面状況情報に応じて、減衰力特性をリアルタイムにコントロールすることも可能。
■2ピニオン電動パワーステアリング
現行型の1ピニオン式から、ステアリング入力とモーターアシスト入力を別々にした2ピニオン式に変更。より自然な操舵感とステアフィールを実現している。
■構造用接着剤の 範囲拡大
ボディとボディを強力に結合させる構造用接着剤の適用範囲を拡大。インプレッサとの比較で約4倍となる27m使用することで、大幅な剛性向上を達成している。
■新開発1.8L直噴ターボエンジン
177PS/300N・mを発揮する新開発の1.8L直噴ターボは、リーン燃焼技術を採用した環境性能向上を意識したユニット。エンジン長を40mm縮小するなどコンパクトな設計も特徴の一つ。
現行型
■シンメトリカルAWD
現行型のシンメトリカルAWDは、フロント60%、リヤ40%の駆動力配分をベースにしたアクティブトルクスプリット型を搭載している。
現行型にはSGPプラットフォームは採用されていないが、2017年のマイナーチェンジ時にSGPの開発で得た様々な知見が盛り込まれることで、シャシー性能は大きく向上している。
■FA型エンジン
現行型は、低回転域から豊かなトルクが盛り上がる、DITと呼ばれるガソリン直噴ターボユニットを採用。経済性も重視した1.6Lとハイパワーの2Lを選ぶことが可能。
【タッチインプレ】新旧レヴォーグ 走りの違いは?
新型

浅い踏み込み域での反応やトルクが見所。ダウンサイジングターボらしい特性で高回転の加速の伸びはほどほどだが、軽いエンジンフィールはスバル車らしい味付けだ。フットワークは乗り心地重視だが、ハンドリング特性も印象的。特にスポーツ+モード時は、操舵のタイムラグも少なく挙動も安定。ライン制御も大幅に向上していた。
現行型

主力の1.6Lターボは、ダウンサイジングと高性能の中間的なパワーフィール。加速時に高い回転域を使うため、スペックほどの余力感はない。フットワークは軽快感はあるものの車体挙動が大きめな印象。動力性能も操安性も操る手応えを楽しめるが、少々古典的な味付けだ。ドライバーの考え方で評価が割れるタイプである。
アイサイト
アイサイトと言えばステレオカメラだが、検知精度や作動状況の拡大のためにレヴォーグが採用する最新型は、ステレオカメラとレーダー併用型へと進化している。新型の広角ステレオカメラにz加えて前後左右側方監視用レーダー、リヤソナーにより車体全周をカバーする。右左折時や車線変更時などの衝突回避対応範囲を大幅に増加させている。また、このシステムをベースに3D高精度地図ユニットも採用したアイサイトXでは、渋滞時のハンズオフや自動車線変更、カーブや料金所での自動速度制御機能などの高度運転支援機能を実現している。
新型
■新型ステレオカメラ
新型のステレオカメラは従来型よりも広角化されたほか、前方左右側方にもレーダーセンサーを配置することで、検知能力を大きく向上させている。
■前側方 プリクラッシュ ブレーキ
レーダーセンサーも活用することで、前側方方向から接近する車両の検知も可能。従来アイサイトに対して、出会い頭での事故などの衝突リスクが低減している。
■渋滞時ハンズオフ アシスト
EX車に採用されるアイサイトXは、高速道路などの渋滞時にハンズオフ運転が可能になる渋滞時ハンズオフアシストが備わるほか、カーブ前速度制御などのより高度な運転支援を実現している。
現行型

■アイサイトツーリングアシスト
現行型は2017年のマイナーチェンジ時に、高速道路で操舵支援を行うアイサイトツーリングアシストが追加。従来システムも高い運転支援機能を備えている。

■アイサイト セイフティプラス
後側方に配置したレーダーセンサーにより、走行時の車両接近を知らせてくれるアイサイトセーフティプラスは、現行型にも標準もしくはOPとして用意されている。
車載IT
大型モニターの採用とスマホ連携による、エンタメ機能の充実と操作性の向上は新型の見所。さらにコネクティッドサービスによる安全性の強化も見逃せない。「スターリンク」サービスに車両登録をすれば、エアバッグ連動で自動発信、あるいはオペレーターを介したSOSコールに対応している。事故時の速度や速度変化から乗員の負傷状況を推測し、消防/警察に通報をしてくれる機能や、セキュリティアラート、故障診断アラートなどの機能を備えている。それなりにコスト増になるが、この最新の車載ITはそれだけの価値はあるだろう。
新型
■11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ
ディスプレイに表示される項目は、タブレット端末と同様の感覚でタッチ操作が可能。ナビの表示/操作に加えて、ドライブモードセレクトやエアコンなども、ここから操作する。
現行型

現行型は、センターコンソールに2DINサイズのナビをインストールする。高機能ナビがディーラーOPでも用意されているが、新型の充実ぶりと比べると見劣りを感じてしまう。
装備の違いは? ベストグレードは?
新型レヴォーグ 最新購入情報
GT系でも最新装備を 選択可能 全体的に買い得感は良好だ
SUVの台頭と多様化を背景にしたワゴンの位置付けを考えると、スポーティにこだわったレヴォーグの考え方は悪くない。さらに新型は電子制御サスや新世代アイサイトなどの新機能と、ワゴンとしての使い勝手や快適性を高めることで上手くバランスを取っている。
用意されるパワートレーンは1タイプでグレードは6つの仕様を選ぶことができる。目玉の1つである11.6インチディスプレイはOPも含めれば全グレードで装着することができるが、アイサイトXはEX系に限定される。
ちなみに電子制御サスはSTIスポーツ系のみの設定。揺らぎを抑えてくれる電子制御サスの走りは新型の大きな魅力だが、最上級モデルゆえにコストも高くなってしまう。エントリーのGTのEX車でも新世代装備が揃う設定だけに、買い得感ならGT EXがかなり魅力的だ。

事前予約はすでにスタート まずはディーラーに走るべし!
【車両目標値引き】12万円
正式デビューは10月15日。値引きはかなり渋めだ
正式デビューは10月15日とアナウンスされているが、すでにディーラーでは事前予約の受付が始まっている。内外装や装備、メカニズム内容が記載されているプレカタログも用意されているため、本格的な商談が可能だ。
多くの問い合わせがあることもあって、車両本体値引きは渋め。一律5万円と言われるケースが多いが、同士競合を組みわせれば上積みは狙えるだろう。納期に関しては、初期受注を逃してしまうと長期になる可能性が高い。
グレードバリエーション
※価格は税抜
GT/GT EX
価格:280万円台(GT)310万円台(GT EX)
エントリーのGTにも新アイサイトは標準装着されるほか、アイサイトX+11.6インチセンターディスプレイが標準となるEX仕様も用意されている。内装仕様はトリコット、アルミホイールは17インチと派手な演出は控えめだが、実用系装備&機能は十分なレベルだ。
GT-H/GT-H EX
価格:300万円台(GT-H)330万円台(GT-H EX)
メカニズムなどの機能系装備はGTと同水準だが、運転席パワーシートが10ウェイ&メモリー付きにアップデートされるほか、シート&パネル意匠の質感も1ランクアップしている。OPでブラックレザーシートを選択することも可能だ。
STIスポーツ/STIスポーツ EX
価格:330万円台(STI スポーツ)370万円台(STI スポーツ EX)
新型の目玉である電子制御ダンパーが装着される最上級グレード。内装はボルドー/ブラックのレザーシートなどで明確に差別化されるが、外装はFアンダーバンパーの塗り分けが異なる程度。ちなみにSTIエアロはディーラーOPとして展開しており、全グレードに装着可能だ。
ボディカラーは全8色
WRブルー・パープル※STIスポーツ系専用色
アイスシルバーメタリック
クールグレーカーキ
クリスタルブラック・シリカ
クリスタルホワイト・パール
ピュアレッド
マグタイトグレー・メタリック
ラビスブルー・パール
●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久/SUBARU/月刊自家用車編集部