新型車比較・ライバル車対決
更新日:2019.12.23 / 掲載日:2019.12.23
TOYOTA RAV4 ガソリン車vsハイブリッド車どちらがベストバイ?
ガソリン車代表 アドベンチャー

アドベンチャーに採用しているトルクベクタリングAWDは、前後輪の駆動力制御を行う一般的な4WDシステムとは異なり、後輪側の左右両輪のトルク制御まで行う最新仕様。今回のダート路でもその効果は歴然だが、オンロードでも恩恵が感じられる機能でもある。
主要諸元 ●全長×全幅×全高(mm):4610×1865×1690 ●ホイールベース(mm):2690 車両重量(kg):1630 ●パワーユニット:1986cc直4DOHC(171PS/21.1kg・m) ●ミッション:ダイレクトシフトCVT ●WLTCモード総合燃費:15.2km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) タイヤ:235/55R19 ●価格:319万5500円
左右輪独立制御のトルクベクタリングは不安定なダート路でも真価を発揮
発進ギヤとの切り換えと踏み込みが重なった時のわずかな失速感が気になったが、トラクションもハンドリングも御機嫌。転舵と連携したアクセルワークでの回頭反応が実に的確。舵角一定でアクセルをちょいちょいと操作してライン修正も容易い。後輪の駆動トルクベクタリングが加減速、回頭収束の両面で効果的なのだろう。
ハイブリット車代表 HYBRID G

ハイブリッド車に搭載する4WDシステム(E-Four)は、後輪側に搭載するモーターを介して駆動力制御を行う仕組み。左右輪の制御はブレーキが担当するが、ガソリン車のトルクベクタリングと同様に巧みな制御を行えることが強み。ハイブリッドでもダート路をまったく苦にしないのだ。
主要諸元 ●全長×全幅×全高(mm):4600×1855×1685 ●ホイールベース(mm):2690 ●車両重量(kg):1690 ●パワーユニット:2487cc直4DOHC(171PS/21.1kg・m)+モーター(フロント:88kW/202N・m、リヤ:40kW/121N・m) ●ミッション:電気式CVT ●WLTCモード総合燃費:20.6km/L●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●タイヤ:225/60R18 ●価格:388万8500円
左右輪制御は電動で行うが走行感覚はあまり変わらない
左右のトルクベクタリングはブレーキを用いて行うため、アドベンチャーよりも反応が悪そうだが、そうならないのがE-Fourの強み。電動の加減速のキレや駆動力補正精度、しかも前後のトルク配分はFFからFRまで行ってくれる。ペダル踏み込みのライン修正にもきっちりついてくるなど、まさに意のまま感たっぷりの楽しいドライビングである。
ガソリンもハイブリッドもダートの実力は申し分なし
停止位置指定の停車までの計測と錯覚してた! ドラミに間に合わなかったのが痛恨! と、まあ計測タイムは散々だったが、RAV4は遊べるクルマ。同時にダートでのハンドリングの作り方が当を得ていて実に楽しい。
今回のダートトライアルで用いられた車両は、2LNA+ダイナミックトルクベクタリングAWDのアドベンチャーと、E-Fourのハイブリッド車。全制動からブレーキを抜きつつターンインで時として前輪を押し出したり、後輪を逃がしたり、4輪を滑らしの横っ飛びと、状況に応じて4輪のグリップ(滑り)バランスを調整してラインに乗せる。ダートジムカーナの醍醐味だが、そんな走りがTRC(トラコン)やVSC(スタビリティ制御)をオンにした状態で出来てしまうのだ。もちろん、限界やセオリーを無視した無茶な運転を綺麗な走りに補正してくれるわけでもないのだが、限界域をトレースするためのドライビングの邪魔は決してしないし、ちょっと限界を超えたくらいなら程よく補正をしてくれる。
トヨタの基準では対向車線に飛び出す可能性のあるアンダーステアやカウンターステアを要求するオーバーステアは禁忌であり、この基準を逸脱しないで限界をトレースする操縦性とファントゥドライブにこだわったのが、TRC/VSCオン状態でのRAV4の走り。安全装備というよりもシステムと二人三脚で安心かつ楽しいドライビングを築く頼もしい相棒だ。
ちなみに駆動システムはまったく異なる2車だが、パワー面を除けばダートのスポーツドライビングにおけるコントロール感覚は極めて近い。それぞれの駆動システムの得意技とTRC/VSCのチューニングの為せる業だろうが、これは走りに対する考え方や論理が明確な事の証明でもある。最近よく言うのだが「トヨタは走りの勘所を掴んだ」のである。
トライアルタイムはガソリン車は37.62秒、ハイブリッド車は38.12秒。他の参加者のタイム差も似たり寄ったりと、両車の4WDシステムはほぼ同等の性能を持つことを再確認できたのだ。