新型車比較・ライバル車対決
更新日:2019.10.02 / 掲載日:2019.09.26
HONDA 新型N-WGN vs ライバル車 ずばりベストバイはこれだ!
スーパーハイト系の影に隠れがちだが、ハイト系を求めるユーザーはまだまだ多い。特に今年は実力十分のN-WGNとデイズ/eKが投入されただけにこれまで以上に盛り上がる可能性も……。超激戦区のベストバイをチェックしよう。
最新のN-WGNとデイズは 「軽」をリードする存在
一昔前ならセダン型が軽自動車の標準モデルだったが、今では経済性に特化したモデルという位置づけだ。実用性やトレンドを考慮した現在の標準モデルは、ハイト系と見るのが妥当だろう。セダン型と比べると価格は高めの設定だが、装備や内外装の充実ぶりを考慮すれば十分納得できる。そんなハイト系で注目集めているのが、フルモデルチェンジでハードウェアを一新したN-WGNとデイズ/eKだ。ともに現代の軽自動車に求められるニーズをキャッチアップし練り上げたキャラと性能が与えられており、直接のライバルであり先輩格でもあるワゴンRやムーヴと真っ向勝負できる実力を持つ。さらにN-WGNはホンダセンシング、デイズ/eKはプロパイロット(マイパイロット)と、上位モデル譲りの先進安全装備が備わるなど、基本性能の底上げのみならず、軽自動車としては贅沢な仕様を選べることも特徴だ。ただこのクラスはセダン型ほどではないが経済性を重視するユーザーも多く、必ずしも性能追求が正解ともいえない。最新の2車がリードするのは間違いが、価格面も考慮して自分のベストモデルを見極めていくことも重要だ。
エントリー1 HONDA N-WGN 価格帯:127万4400~179万3880円

標準車

カスタム
実力者揃いのハイト系の中で 最先端を走るトップランナー
現行N-BOXから採用されているパワートレーンとプラットフォームをベースに開発され、走行メカが一新された。また上位モデル譲りとなるホンダセンシングが全グレードに標準装着されることも大きな目玉。実用車らしい機能感溢れる内外装デザインも印象的。Nシリーズのみならず、これからのハイト系選びの基準になるモデルともいえよう。
エントリー2 NISSAN / MITSUBISHI デイズ/eK 価格帯:127万3320~177万8760円(デイズ)129万6000~176万5800円(eKシリーズ)

デイズ ハイウェイスター

eK クロス
現行型は日産主導で開発 プロパイロットにも注目
日産と三菱の共同企画車だが、現行型は日産主導で開発されている。エンジンはルノーBR型をベースに軽クラスへの適合を図った新型を導入するなど大きくパワーアップ。標準車はデイズ/eKで共通したデザインだが、カスタム系は個性的な外観は与え差別化が図られている。目玉のプロパイロットもeK向けは名称変更して採用されている。
エントリー3 SUZUKI ワゴンR 価格帯:107万8920~177万9840円

標準車

スティングレー
ハイト系を世に広めた功労車 現行型はハイブリッドも選べる
初代からキャビンスペースや積載性を重視した設計を採用。それらはハイト系の基礎であり現行型にもしっかりと受け継がれている。ハードウェア面で特徴的なのはマイルドハイブリッドの採用だ。専用の12VリチウムイオンバッテリーとISGにより電動クリープ走行やパワーアシストを行う。安全装備も最新仕様と完成度の高い設計を持つことも強みだ。
エントリー4 DAIHATSU ムーヴ 価格帯:111万2400~174万9600円

標準車

カスタム
設計年次はやや古めだが その実力は見劣りしない
初代はベルトラインから上を持ち上げたハイルーフ的プロポーションと横開きバックドアの個性的なモデルだったが、代を経る毎にプロポーションがオーソドックスになり、現行型からバックドアも標準的な跳ね上げ式となった。今回の比較4車の中ではデビュー年が最も古いが、スマアシ3(3はローマ数字)の採用などツボを抑えた改良により商品力も健在だ。
チェックポイント1 キャビン&ラゲッジユーティリティ
HONDA N-WGN
アレンジの効いた荷室を筆頭に 実用に徹した生真面目な設計が光る

先代は小物収納は隠す方向で設計されていたが、現行型は操作系や収納がそれぞれ存在感を示すデザイン。レッグスペースも広々しており、フットスペースも十分。センタータンクレイアウトの欠点も克服済みだ。
通常時は相応のスペースだが、本領発揮はシート格納時。ラゲッジボードのおかげもあって、完全フラット空間が現れる。後席スライドは左右分割ではなく一体型になる。
ラゲッジボードの使い分けも特徴の一つ。スペースを上下で使い分ける2段ラックモードでは上下段での使い分けが可能。ラゲッジボードを外せば背の高い荷物もらくらくと収めることができる。
NISSAN デイズ
先代の弱点を解消しつつも シートアレンジに不満あり

先代は収納が少ないことが弱みの一つだったが、現行型は各所にポケット類を設けることで改善された。インパネまわりの質感も素材の見直しなどにより、明らかに高まっている。
荷室口の最低地上高が655mm。通常時の奥行きも比較4車の中では広めだ。ただリヤシートバックは単純なバックレスト前倒式のため、格納時に少し段差ができてしまうのは残念。
通常グレードに加えて、華やかなピンク×ホワイトで内装&シートがコーディネートされたオーテックの「ボレロ」が選べることも特徴の一つ。
SUZUKI ワゴンR
元祖ハイト系らしい優等生 充実の小物収納も健在

水平基調のインパネは横に広く開放感も十分。シートも適度にクッションの利いた和み系で、身体を優しく包み込んでくれる。後席は頭上空間も足元も十分な広さを持つ。
50:50の左右独立スライド機構に加えダイブ格納式も採用する。積載性を高める後席機能はお見事だが、荷室開口部の左右が高くなるなど、アクセス性はやや劣る印象もある。
多彩な小物収納は、歴代モデルがこだわり続けている部分。現行型にも助手席下のバケツを筆頭に充実。リヤ左右ドアにはアンブレラホルダーも設けられている。
DAIHATSU ムーヴ
元祖ハイト系らしい優等生 充実の小物収納も健在

モニターがセンターコンソール上に配置されるオーソドックスなレイアウト。最新改良でパネルや素材の質感を変更し、キャビンまわりの上質感強化も図られている。
改良時に荷室側からでも1アクションでダイブ格納が可能になり利便性が向上。使い易さをしっかり考慮した設計はここでも強く感じる。
最大240mmのロングスライドが可能なリヤシートや、荷室下に大型サブトランクを設けるなど、ダイハツの軽モデルらしく、ツボはしっかりと押さえている。

N-WGN
全高1675~1725mm
最小回転半径4.5~4.7m
ホイールベース2520mm

デイズ
全高1640~1660mm
小回転半径4.5~4.8m
ホイールベース2495mm2495mm

ワゴンR
全高1650mm
小回転半径4.4~4.7m
ホイールベース2460mm

ムーヴ
全高1630mm
小回転半径4.4m
ホイールベース2455mm
比較4車はいずれも全長は3395mm、全幅は1475mmと軽規格いっぱいの数値で設計されており、違いがあるのは全高のみ。ホイールベースはモデルによって微妙に異なることもあって最小回転半径も少々異なってくるが、その差は僅か。外観は自分の好みで選んでしまっても使い勝手や性能への影響は無いといっていいだろう。
チェックポイント2 走り/ドライバビリティ
NISSAN / MITSUBISHIデイズ/eK
アクセル踏み込みに俊敏に応えるリニアな走りは、最新トレンドとは少々異なる
デイズ ハイウェイスター
アクセル操作にリニアな反応する加速特性を持つ。ただ、加速や走行負荷の変化が回転数に現れやすく、ターボ特有のトルクの余裕はそれほどでもない。フットワークも含めて、瞬発力や切れ味を求めるユーザー向けだ。
eK(NA車)
ターボ車でもトルクが細く感じられるくらいなので、NA車はなおさら。同状況でターボと比べると使用回転域が500~1000回転も高くなってしまう。ただ、軽快な操縦感覚はちょっと懐かしい味わい。好きな人には好まれる特性だろう。
SUZUKI ワゴンR
Mハイブリッドは実用域の力感がかなり優秀
FZ HYBRID
標準車でもエンジン回転数を抑える制御を採用しているが、マイルドハイブリッド車は加速時の回転上昇を明らかに抑えてくれる。部分的な電動パワーアシストは実用域での力感を高めるが、全開加速時の恩恵は少なめだ。
FZ HYBRID
DAIHATSU ムーヴ
秀逸なパワトレ制御はライバルも採用済。 もはや武器にあらず
ムーヴ(NA車)
秀逸なパワトレ制御はライバルも採用済。 もはや武器にあらず
トルク特性やトルクオンデマンド制御により常用回転域を下げるのはダイハツの伝統芸の一つ。ただ最近はライバル車も同様の制御を行うため、ムーヴの十八番ではなくなってきた。穏やかなフットワークも今では普通の選択だ。
HONDA N-WGN
N-WGNは最新設計モデルだけに走りも相当期待できる
パワートレーンは、NAもターボもN-BOXの流れを受けた「余力感重視」の制御になるだろう。フットワーク面は穏やか乗り心地を狙ったN-BOXに対して、N-WGNはしっかりとした操安志向になる可能性が高い。
チェックポイント3 安全&運転支援機能
NISSAN デイズ
NISSAN デイズ
衝突回避ブレーキや踏み間違い抑制機能などは標準装備と安全機能は申し分ないが、目玉のプロパイロットが上位グレード車のOP設定というのは少々残念。
HONDA N-WGN
ホンダセンシングのみならず、リヤバンパーの超音波センサーで後方障害物を検知・警告するパーキングセンサーシステムも標準装備。安全&運転支援もトップを走る存在だ。
SUZUKI ワゴンR
SUZUKI ワゴンR
歩行者まで検知可能なデュアルセンサーブレーキサポートを筆頭に、スズキの最新仕様が用意されているが、新世代モデルに比べると物足りなくなってきた。
DAIHATSU ムーヴ
中-上位グレードに装着設定されるスマートアシスト3(3はローマ数字)は、タントに装着される次世代スマートアシストに比べると見劣りするが、クラス平均レベルの実力は持っている。
●主要安全&運転支援機能比較

衝突回避機能は、比較4車とも最新の歩行者対応型を採用しているが、N-WGNはさらに横断自転車にも対応している。ペダル踏み間違いの急発進抑制も4車とも採用。ワゴンRは前進時のみ対応するが、他3車は前後進に対応している。オートハイビームは4車とも設定されている。標識認識はN-WGNのみ、俯瞰式車両周辺モニターはデイズとワゴンRが採用。いずれのモデルもサポカーSワイドに適合している。4車比較で大きく差が付くのは、軽自動車の世界にも普及が進むことが予想できる運転支援機能である。車線維持支援はN-WGNとデイズが走行ライン制御型LKAを採用するが、ワゴンRとムーヴは逸脱警報止まり。ACCもワゴンRとムーヴには設定がなく、N-WGNとデイズは渋滞追従機能付きの全車速型を採用する。LKAの制御精度は、これまでの装着車で比較するとプロパイロットのほうがやや優れていたが、軽自動車クラスでは設定の有無の方が大きい。N-WGNは全車標準装着になるが、デイズはハイウェイスター系限定で標準系はOP設定もない。eKは標準系でもOP設定グレードがあるが、普及の取り組みはN-WGNが上だ。
ハイト系軽自動車選びベストバイは?
NISSAN デイズ
回して加速性能を稼ぐタイプなので、タウンユース主体でもターボを選択したい。ただ、デイズもeKも標準ボディ系はNA車が中心で、外観の好みもあるだろうが、必然的にカスタム系からの選択になってしまうのが残念。
HONDA N-WGN
4車の中では一番適応用途が広い。高速長距離前提でなければNA車でもいいが、そうでなければターボは必須。飾り気が少ない機能的な標準車のターボモデルが、最もN-WGNの魅力を体感できる選択だろう。
DAIHATSU ムーヴ
新型タントにACCとLKAが採用されただけにフルモデルチェンジを待ちたいところだが、現行型から選ぶならコスパを優先すべし。今なら専用内装などを採用しながらベースグレードよりも安価な特別仕様車が買い得だ。
SUZUKI ワゴンR
高速長距離適性を考慮してターボを選ぶのもアリだがACCとLKAが無いのは今となっては少々気になる。日常用途ならNAのハイブリッドのメリットも大きい。買い得な特別仕様車を狙うのもいい選択だ。
長距離適性にも秀出るN-WGNが 比較4車の中で一歩リード
軽自動車を何回も購入しているユーザーならば、使い勝手の違いやデザインの好き嫌い、装備&価格で選んでも問題はないだろう。ハイト系モデルは確立されたジャンルであり、比較4車はどのモデルも相応の実力を持っておりハズレではない。
だが、コンパクトカークラスから乗り換えを考えているユーザーは、要求も高くなるだけに注意が必要。キャビンや内外装の質感に加え、長距離走行対応も気を配るべきだろう。4車とも高速時の操縦安定性も意識しているが、全開時の動力性能はかなり異なる。
まず優先すべきは高速域での運転しやすさ。ひとつは回転を抑えた巡航が可能なターボであり、もうひとつが先進運転支援。この2つの要素を比較4車の中で最も高い水準で両立しているのはN-WGNである。