新型アル／ヴェル直４vs上級Mサイズミニバン~その1~

　ミニバンの特徴を網羅的に備えるのがMサイズ=2L級1BOX型である。5ナンバー相当の手頃な車体サイズ、広いキャビンと多様な用途での使い勝手を充実させたユーティリティなどが特徴で、ヴォク/ノアやセレナ、ステップワゴンは販売面でもミニバンカテゴリーをリードし続けている。嫌味な言い方をすれば八方美人的な妥協で万人受けしやすいとも言えるが、ウェルバランスと適応用途の広さを考えれば、現実的な多目的車してのまとまりは抜群だ。
　しかし、視点を変えるなら、必須要件を絞り込んでいる場合には、必ずしも正答とはならない。特にくつろぎや性能、つまり実感できるプレミアム感を求めるユーザーにとって、2L級は費用対効果の点でいささか中途半端。
　新型アル/ヴェルの最廉価仕様は約335万円であり、ヴォクシーハイブリッドのドレスアップ特別仕様と同等である。最廉価グレードと言っても、クラウンがそうであるようにアル/ヴェルも車格相応の装備を備えている。また、この新型から全車に標準装着される安全&運転支援装備が次世代型となった。これは低価格グレードにこそ恩恵が大きく、Mサイズからの移行の見所となっている。

Mサイズ最上級グレードの価格は直4アル/ヴェルに迫る

　アルファード/ヴェルファイアは、最も安価な「X」グレードの8人乗りが車両本体価格335万4480円。一方、Mサイズミニバンはコストのかかるハイブリッド化や先進装備でライバルとの差別化を図っていて、そうした購買意欲をそそる目玉装備を揃えれば、やはり330万円前後になる。例えばセレナは車両本体価格こそ抑えられているが、上級グレードに目玉装備のプロパイロットを追加すると、やはりアル/ヴェルに手が届く価格になる。車格こそ違えど、こと価格においては、Mサイズのハイブリッド車かアル/ヴェルか、そんな選択も現実的なものとなる。

直4なら330万円台から!!
従来型ではアル／ヴェルの販売台数の5割超を占めていた2.5L車。今回のマイチェンではパワートレーン等の基幹部分に変更なし。

Mサイズミニバンの保守本流。パワートレーンはプリウス系
　エスクァイアを含めた3兄弟でベストセラーミニバンの座に君臨。実質5ナンバーサイズだが低床プラットフォームで居住性が向上。2列目キャプテンシートの7人乗りのほか、ベンチシートの8人乗りがある。ガソリン車もバルブマチックやCVTなど燃費向上に有効な機構を採用するが、プリウス譲りのハイブリッドエンジン搭載車が最上位グレードとなる。

安価なマイルドハイブリッドを採用。「プロパイロット」はオプションのみ
　ママ目線を含めたファミリー層への徹底した配慮に定評がある。現行型の目玉装備は前車追従クルコンと車線維持支援を組み合わせた「プロパイロット」だが、標準装着グレードはなく、オプション設定（約24万円）のみ。ハイブリッドシステムは回生充電と駆動補助機能を備える簡便なタイプだ。また、「ランディ」としてスズキにOEM提供されている。

高出力ハイブリッドシステムと先進安全機能を全車に装備
　特徴的な縦&横開きテールゲートを備える現行ステップワゴンは、’17年9月にカスタム系の「スパーダ」にのみ2モーターハイブリッドシステム「i-MMD」仕様を設定。現行ステップワゴンは操舵支援機能付きの先進安全運転支援システム「ホンダセンシング」が全車標準となり、ハイブリッド車には0km/hから作動する追従クルコンも標準装備される。

ヴォクシー／ノアよりちょっぴり高級志向

装備や価格が微妙に異なる
　ヴォク/ノアと同じハードウェアの兄弟車。フロントグリルを強調した堂々とした外観が特徴だ。他の2車がグレード体系まで同一なのに対し、エスクァイアにはエアロ系の設定がなく、装備や価格にも若干の違いがある。

提供元：月刊自家用車