新型車比較・ライバル車対決
更新日:2025.06.30 / 掲載日:2025.06.30
ミニバン選び虎の巻《Mサイズ》ノア&ヴォクシー/セレナほか
家族がイチバン! ミニバン選び虎の巻
ファミリーカーの定番といえばミニバン。1BOX型を中心に、日本国内の道路状況や使用形態など、ユーザーファーストで考え抜かれたモデルが多く、SUV流行りの現在も子育てファミリーの愛車候補筆頭だ。弊誌連載「家族のクルマ選び!」でおなじみの、まるも亜希子が国産ミニバン各車の魅力に迫る。
※本記事の内容は2025年5月中旬時点のものです
●文:まるも亜希子
Mサイズ 1BOX型ミニバン選び
定番から個性派まで揃う国産ミニバンの主戦場
日本ではミニバンの中で最も人気が高く、子どものいる家族だけでなく親世代と同居する家族など、どんな家族構成でもライフスタイルでも使いやすいのがMサイズミニバン。1990年代からのミニバンブームを牽引してきた御三家、トヨタ・ノア/ヴォクシー、日産・セレナ、ホンダ・ステップワゴンが健在で、SUVとミニバンの融合という異色のキャラクターとなるミツビシ・デリカD:5もラインナップする。
先進安全&運転支援の充実が著しい
ここ10年ほどのMクラスミニバンの傾向としては、まず先進安全運転支援装備の飛躍的な進化が挙げられる。セレナが日産で初めてプロパイロットを搭載し、ホンダはグレードに関係なしに全車でホンダセンシングを標準装備。ノア/ヴォクシーは一般道を含めた減速&カーブでの運転支援が行われるPDA(プロアクティブドライビングアシスト)や、一定条件のもとでハンズオフドライブが可能となるアドバンスドドライブも設定している。
上級志向で居住性の向上も抜かりなし
また、2列目・3列目シートの快適性アップも注目ポイント。各車で2列目にオットマンやシートヒーターが装備されるグレードが登場したり、「どの席に乗っても同じように快適に」とうたい、3列目のスペース拡大や圧迫感の改善、USBなど装備の拡充も近年のトレンドで、3列目の居住性と格納時の操作性を両立。とくにノア/ヴォクシーは片手で跳ね上げから回復までワンアクションで可能となる新機構を採用している。ステップワゴンは家族の車酔いを軽減する技術を採用し、特許を取得。セレナも日産独自の研究で酔いにくさを実現しており、車酔いに悩む家族に朗報だ。
さらに、ラゲッジの使い勝手も進化している。セレナはバックドアのガラス部分を開閉でき、小さな荷物ならガラスを開けて出し入れ可能。ノア/ヴォクシー、ステップワゴンは好きな角度でバックドアが停止できる機能を採用し、背後が壁などでバックドアが全開にできない場所でも使いやすく。ノア/ヴォクシーは Dピラー付近にスイッチを設置し、バックドアの真正面に立たずに開閉操作ができるようにしている。
このようにノア/ヴォクシー、ステップワゴン、セレナに関しては日常の買い物からレジャーまで満遍なく使う家族や、ママ+子どもで使うことも多い家族におすすめするが、選ぶ際には2列目のシートアレンジと居住性、ラゲッジの使い勝手に着目したい。まずノア/ヴォクシーは、チャイルドシートに占領されるにはもったいないくらいの豪華な2列目シートを設定しているため、高校生以上の子どもがいる家族や二世帯同居の家族に向いている。停車中に休憩をとったり、勉強や仕事のスペースとして使う場合にも便利。また3列目の跳ね上げ格納操作が最も簡単で、頻繁に3列目を使う家族にもぴったりだ。
ステップワゴンは2列目にオットマンが付くEXグレードがエアーにも追加され、サイドサポートとアームレストでゆったり、乗り心地も抜群。横スライドでベンチシートになったり、互い違いの位置に設置してパーソナル空間を確保することもできる。3列目がくるりと回転する床下格納式で、すっきりとしたラゲッジスペースが確保できるのも魅力。アウトドアレジャーなどで大きな荷物を運ぶことが多い家族にもおすすめだ。
セレナは8人乗りがメインとなり、7人乗りはトップグレードのみの設定だが、スマートマルチセンターシートを移動することでベンチシートとしてもキャプテンシートとしてもフレキシブルに使えるのがポイント。キャプテンシートの状態で横スライドをすると、足下スペースが広げられる超ロングスライドが使え、3列目へのアクセスも広くなって乗り降りがラク。乗車人数が多めの家族も使いやすくなっている。
デリカD:5は7人乗りと8人乗りがあり、3列目まで厚みのあるドッシリとしたシートを装備。そのため格納操作は重く、ラゲッジも出っ張りの大きなスペースになってしまうが、雪道や悪路走破性の高さに定評があり、乗員の安全と快適性を優先しているため。キャンプやウィンタースポーツなど、アクティブな趣味を持つ家族に頼もしい存在だ。
ガソリン、ハイブリッド、ディーゼルまで選択可能
そしてパワートレーンは、ノア/ヴォクシーとステップワゴンにはハイブリッドとガソリンがラインナップ。セレナは小型エンジンを発電専用に搭載し、100%電気モーターで走るe-POWERとガソリンを設定。デリカD:5は国内ミニバンで唯一のディーゼル搭載となっている。早朝や深夜に住宅街を走行する際に、電気で走れるセレナは静かに走れるのがありがたい。ディーゼルのデリカD:5はエンジン音が大きい半面、低速からトルクがあり坂道などで力強い。ガソリンは車両価格が抑えられ、ハイブリッドは低燃費で日々の燃料代を軽減。目的や好みに合わせて選びたい。
TOYOTA ノア/ヴォクシー
■2ℓガソリン車〈FF/4WD〉 ■1.8ℓHEV〈FF/4WD〉

人気も実力もこのクラスの主役を張るベストセラーだ
国産ミニバンを代表する人気車種で、ミニバン販売ランキング最上位の常連だ。ノアには標準ボディがあり、ヴォクシーはエアロパーツなどを装着した上級シリーズのみになる。かつては販売店系列によって取扱いが異なっていたが、現在はその縛りはない。







ノア/ヴォクシーの推しポイント
子育て層に優しい配慮が行き届く
低価格でユニバーサルステップが装備でき、乗り降りがスマートになったり、バックドアの横に立ってスイッチで開閉操作ができたり、子どもを抱っこしたまま3列目格納操作が完了したり、実はママに優しい機能が充実。

【OEM】SUZUKI ランディ
ノアがベースのハイブリッド7人乗りとガソリン8人乗りがラインナップ。4WDも選べる。

NISSAN セレナ
■2ℓガソリン車〈FF/4WD〉 ■1.4ℓHEV〈FF/4WD〉

ドライバーにも同乗者にも優しいファミリーミニバン
ファミリーカーとしての資質が高い定番モデル。パワーユニットは2ℓのガソリンエンジンと1.4ℓハイブリッドのe-POWER。ボディタイプは標準系とエアロ系(ハイウェイスター)が用意され、前者の全幅は1695㎜で、クラス唯一の5ナンバーサイズだ。






セレナの推しポイント
e-POWERの走りが魅力的
豊富なシートアレンジに加え、全体的に凹凸の少ないシートを採用しており、フルフラットにした時に隙間や段差が小さく、車中泊するのにもぴったり。e-POWERによるなめらかでパワフルな走行性能や電動四駆の安心感も魅力。

HONDA ステップワゴン
■1.5ℓターボ車〈FF/4WD〉 ■2ℓHEV〈FF〉

押しの強さより親しみやすさを優先。実用性にも定評あり
全長は4800㎜に達し、全幅も1750㎜とワイド。標準系のエアーとエアロ系のスパーダがラインナップ。パワーユニットは1.5ℓターボと、2ℓハイブリッドのe:HEVだ。直近の一部改良では装備向上とグレード体系の見直し等を行い、商品力がアップしている。







ステップワゴンの推しポイント
装備の利便性が着々と向上
2列目の乗り心地と快適性が抜群なのに加え、3列目まで空調がしっかり調整できる3ゾーンエアコン搭載で、夏場でも全員が快適。バックドアの使い勝手もアップし、広大なラゲッジスペースを活用しやすくなっている。

MITSUBISHI デリカD:5
■2.3ℓディーゼル車〈4WD〉

他車に置き換えできない独自のコンセプトでファンをつかむ
ミニバンとSUVを融合させた個性派。最低地上高は185㎜を確保し、全グレードに4WDシステムを搭載する。前後輪に駆動力を配分する多板クラッチにはロックモードも備え、悪路走破力も侮れない。トルクの太いクリーンディーゼルターボの搭載はクラス唯一だ。







デリカD:5の推しポイント
アウトドアでの頼もしさが◎
悪路走破性を高めるアプローチアングルなどを備え、一般道のカーブや高速道路での安定性にも貢献する四駆、AWCでSUV並みに頼もしいミニバン。2列目と3列目をフルフラットにするなどシートアレンジも豊富。


ライタープロフィール
オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。
オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。