新型車比較・ライバル車対決
更新日:2023.08.23 / 掲載日:2023.08.15

新型アルファード/ヴェルファイアはどう変わった? 新旧モデルを徹底比較!

3代目となる従来型がデビューしたのは、今から8年前の2015年。新型への乗り換えを検討しているオーナーも多いだけに、新型との違いは気になるはずだ。ここではその違いをチェックしてみたい。

●文:川島 茂夫 ●写真:奥隅 圭之

【新型アルファード/ヴェルファイア】新旧比較

どれほどの進化を遂げたのか?

キャビンの快適性能は従来型も相当高いレベル
 実用性に配慮されたボディサイズで、最大限のキャビンスペースを実現することが、1BOX型ミニバンの特徴。もちろんアルファード&ヴェルファイアもその大原則をきっちり守っており、手堅くまとめられていることが分かる。ただ、そういった部分が革新的に進化することは滅多になく、新旧ともに余裕十分の広々としたキャビンが確保されている。

 そうなると次に気になるのが、上級ミニバンの魅力である数々の快適機能とショーファードリブンとして完成度だ。

 エンタメ系装備や寛ぎを演出する設えは、従来型も新型も高いレベルでまとまっている。率直にいって、シートに収まった時の寛ぎ感に著しい差があるわけではない。ただ、見栄えにしても素材設定にしても新型のほうが勝る。例えるなら、”半世代分“だけ新型がアップグレードしたというのが率直な感想だ。

新型のハイブリッドは燃費も良好。FFも選べる
 走行性能に関しては、現時点では新型の試乗をしていないため予測の範疇になるが、シャシーまわりの進化を見れば、走行安定性や乗り心地などは、従来型以上になるのは間違いない。

 一方、パワートレーンは新旧の違いが大きくなりそう。まず2.5ℓのガソリンNA車は新世代のA25A型ではなく従来型と同じ2AR型を用いているため、パワースペックは同じ。改良が加えられても動力性能やドライバビリティに大きな変化はない可能性が高い。

 ただハイブリッド車については、エンジンをA25A型に変更すると共に電動系も一新されており、パワースペックはかなり強化されている。さらに燃費の進化ぶりも著しい。WLTC総合モード燃費を新旧の4WD車同士で比較すると、11%以上も改善。新型で追加されたFF仕様だと18㎞/ℓに迫る燃費を達成している。動力性能と燃費の両面で従来型を上回ると考えるのが妥当だろう。

新開発のターボは魅力だがV6の代替になるかは「?」
 そしてもうひとつ、パワートレーンの比較で悩ましいのが、数値に表れない動的質感の問題だ。格好のサンプルとなるのが、従来型は3.5ℓV6車、新型はヴェルファイアの2.4ℓターボ車になる。最高出力は従来型のV6が301PS、対して新型のターボは279PSだが、一方で最大トルクは7㎏mほど上回っている。加速性能やドライバビリティは新型のターボが勝る可能性が高いが、走りの質に影響が大きいエンジンフィールがどうなのかは別だ。新型のターボは4気筒であり、排気音や回転感覚の重質さや滑らかさでV6には及ばない。つまり6気筒に惚れてアル&ヴェルを選んだユーザーに関しては、新型で代替できない可能性もあるのだ。

 また安全&運転支援機能の違いも見逃せない。従来型も登場当時からレーダー/カメラ併用型システムを採用し、2018年のマイナーチェンジで全車速型ACCや走行ライン制御型LKA、対歩行者昼夜対応衝突回避支援等の機能が備わっている。このシステムは完成度が高く、今でも十分に通用するものだが、新型は歩行者/自転車/自動二輪車など衝突回避対応を拡大したほか、回避時の操舵支援機能や安心降車アシスト、ドライバー異常対応などの機能も加えている。また、車外からのリモコンによる駐車や渋滞時高速道路のハンズオフ機能などのチームメイトも、新型から加わっている。

 正直、従来型のオーナーは新型への買い替えを焦る必要はないとは思うのだが、新型に施された着実なアップデートの数々はかなり魅力的であるのも事実。最上級を積極的に取り入れたいユーザーにとって、新型は一刻も早く欲しくなる存在であるのは間違いないだろう。

●アルファード 新旧モデル比較

【スタイリング】新旧比較

新型

従来型

【インテリア】新旧比較

新型

従来型

【走り&メカニズム】新旧比較

新型

設計面の進化からすると、静粛性や乗り心地など快適性全般が向上している可能性が高い。上級パワートレーンの2.4ℓターボと2.5ℓハイブリッドは、トヨタの最新モデルに採用が続く高性能ユニット。走りの質の面でも期待できそうだ。
プラットフォームは最新GA-Kに刷新。環状骨格構造、床下V字ブレースの採用などでシャシー性能が大きく向上。ボディ剛性は従来型比で約50%向上している。周波数感応型ショックアブソーバーなどにより、車内への振動抑制も煮詰められている。

従来型

2.5ℓ車は高速や登坂路で少々余力不足の感もあるが、ハイブリッド車とV6車は車格に応じた余裕がある。さらにV6車はエンジンフィールも高級車的。荒れた路面に多少神経質な部分もあるが、乗り味も重質でプレミアム感が楽しめる。
ミニバン特有の重量増に対応すべく、ストレートラダーフレーム形状の採用や、スポット溶接の200点増し打ち、構造用接着剤による接合などで強化。、リヤサスもダブルウィッシュボーンを採用。プラットフォームとしては1世代前となるが、随所にこだわりの設計が確認できる。

【装備/機能】新旧比較

新型

全グレードに14インチ液晶ディスプレイが標準装備。車載ナビ機能にも対応するディスプレイオーディオプラスが組み合わされる。
エグゼクティブラウンジシートには、スマホ感覚で操作が可能なリヤマルチオペレーションパネルが付属。左右の席ごとに1つ(合計2つ)備わる。

従来型

登場直後は2DINスペースに専用ナビをインストールしていたが、2020年の一部改良からディスプレイオーディオが採用されている。
2018年のマイナーチェンジでトヨタのミニバンとして初めてLTAに対応するなど、安全&運転支援機能が大幅に強化。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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