車の最新技術
更新日:2021.12.10 / 掲載日:2021.12.10
トヨタ初本格BEV/ついに登場したトヨタのBEV bZ4Xを解説【ニュースキャッチアップ】

文と写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグー本誌 2021年12月発売号掲載の内容です)
ついにトヨタがシティコミューターではない、本格的なBEVの投入を発表した。今回は「bZ4X」がどのようなコンセプトで作られたのか、その特徴を解説する。
トヨタが車名に込めたEVに対する意気込み
いま世界は気候変動を食い止めようと、温暖化物質であるCO2の排出削減に取り組んでいる。いわゆるカーボンニュートラルだ。
環境問題に敏感な欧州を中心に内燃機関を締め出す動きが活発となっており、世界中で自動車ビジネスを展開している日本メーカーも対応を求められてきた。これまで優れたハイブリッド技術で戦ってきた日本勢だったが、欧州でHVが実質禁止となることが決まり、BEVを用意しないわけにはいかなくなった。
今回発表されたトヨタのbZ4Xは、ガソリン乗用車の代わりとして使える初の本格的なBEVとなっている。トヨタは、パワートレインについては全方位的な開発を行っており、市場によって投入する技術を使い分ける戦略をとっている。つまりbZ4Xが投入されたからといって、日本においては既存のガソリン車の販売をやめることは当分ないだろう。
気になるのが、クルマとしてどれほどの魅力があるのか。トヨタはbZ4Xを作るにあたりBEV専用プラットフォームを開発。そしてそれは、従来の内燃機関にはない数多くの特徴を備えていることが判明している。車名のbZには、「ゼロを超える」という意味が込められている。現状ではBEVは割高にならざるを得ないだけに、ガソリン車を超える魅力を盛り込んできたわけだ。
[CLOSE UP]ゼロエミッション以上の価値を提案する意欲作
SUVらしさとEVの先進性を両立させたスタイリング

デザインテーマは「ハイテック&エモーション」。SUVの力強さとBEVならではの先進性を両立させた。単なる移動手段としてではなく、乗る人すべてをワクワクさせるようなクルマを目指し、デザイン、インテリア、運転感覚、走行性能といった各分野での革新にチャレンジ。航続距離を確保するために空力も追求した。

スバルと共同開発したBEV専用車体を採用

TNGA思想を盛り込んだBEV専用プラットフォームをスバルと共同で新開発。低重心、高剛性というクルマとして本質的な性能を追求した。またEVの心臓部であるバッテリーについては総電力を71.4kWhに設定。これにより走行可能距離は500㎞前後を確保したという。150kWの急速充電にも対応し、充電時間を短縮している。
トヨタ初の技術を多数投入する室内空間

コックピットデザインも意欲的で、メーターは視線移動を少なくするべくステアリングの上に配置。一部車種にはステアリング・バイ・ワイヤや非円形のステアリングも採用される。ナビはクラウドの地図情報を活用するクラウドナビで、交通情報や駐車場空き情報をリアルタイムで提供する。
電気自動車となってもクルマの魅力は追求
「beyond Zero(ゼロを超える)」という意味が込められたbZ4X。さらに「4」はボディサイズを、「X」は4WDを示すという。今後より小さな、または大きなモデルが、bZシリーズとして展開されることが予想される。気になる走りについてだが、「BEVならではの運転の楽しさや可能性を期待させるワクワク感の提供」をコンセプトに掲げていることから、単なる移動手段ではなく、所有する喜びについても期待ができそうだ。