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更新日:2021.09.10 / 掲載日:2021.09.10
新型ワゴンRがスライドドアを採用した理由【ニュースキャッチアップ】

文●ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス、スズキ
(掲載されている内容はグー本誌 2021年9月発売号掲載の内容です)
軽自動車のビッグネームであるワゴンRの新型がスライドドアで登場! これまでのシリーズの常識を覆すデザインで登場した新型「ワゴンRスマイル」はどのようなクルマなのか。まずはそのコンセプトを紹介する。
ワゴンRを名乗りつつもワゴンRらしくない新型
いまや日本の国民車となった軽自動車。その代表選手がワゴンRであることに異論はないだろう。軽自動車規格を最大限に活用した背の高い角型の外観デザインと、それによる大人4人がしっかりと乗れる室内空間は、いまやワゴンRだけでなく、多くの軽自動車が受け継ぐスタンダードになった。
それゆえに近年では、ワゴンRに特別感が薄れてしまったのも事実。スズキはワゴンRを「1台でなんでもできるスタンダードカー」として育ててきたが、ハスラーなどの個性派に人気を奪われた形となっている。
そんなワゴンRにニューフェイスが登場した。まるで笑顔のようなフェイスデザインが印象的な新型の名前は、「ワゴンRスマイル」。角型ライトがアイデンティティだった従来のワゴンRから考えると、デザインだけでも驚きだが、スライドドア採用と聞いてさらに驚き。なお、従来のワゴンRも引き続き販売される。
スズキによれば「スマイル」がターゲットとするのは、若者と子離れ層。スライドドアとしたのは、軽ワゴン購入希望者の4割以上にニーズがあるから。いまやスライドドアがあって普通と考えるユーザーが多いのだ。ワゴンRの名前を付けた理由は、使いやすさと手頃な価格がワゴンRを踏襲しているからだという。つまり、DNAがワゴンRなのだ。
[CLOSE UP]前席での使いやすさを大切にした「自分のためのワゴンR」

「乗る人みんな」のためのスタンダードカーだった従来モデルに対して、ワゴンRシリーズの使いやすさを受け継ぎながら、前席での使い勝手を重視しているのがスマイルの特徴。運転する人が心地よく、なおかつ使いやすいと思えることを重視したという。スライドドアを採用しているが、それも荷物をさっと出し入れしたいというニーズに応えてのこと。

やわらかい曲面で構成されたダッシュボードなど、使いやすさだけでなく、デザイン性にもこだわっている。標準装備も充実していて、ガラスはすべてプレミアムUV&IRカット仕様だ。

ワゴンRとして初めて丸形ライトを採用。ボディカラーは12通りを用意する。
[歴代ワゴンR]ハイトワゴンというジャンルを開拓した
初代(1993年~1998年)
着座位置を高くしたミニバンに近い空間設計で、軽のサイズでも広々とした優れた居住性を実現。縦長のヘッドライトはワゴンRのアイコンとなった。2代目(1998年~2003年)
初代の大ヒットを受けて正常進化した2代目。改良で後席スライドを採用するなど進化している。エアロパーツを装着した「ワゴンR RR」も人気を博した。
3代目(2003年~2008年)
土台となるプラットフォームを刷新。ルーフをさらに高く、長くすることで室内空間を広げている。軽自動車として初となる直噴ターボも採用した。4代目(2008年~2012年)
クラストップの燃費性能とさらにゆとりの後席空間にこだわった4代目。スポーティテイストモデルの名称を「RR」から「スティングレー」に変更した。
5代目(2012年~2017年)
ユーザーがワゴンRに求める要素を徹底的に磨き上げたという5代目。徹底した低燃費、さらに広くなった室内空間、充実の標準装備を誇っている。6代目(2017年~)
従来のコンセプトを受け継ぎながらデザインを大幅に刷新、3つのデザインで登場(写真はハイブリッドモデル)。マイルドハイブリッドを搭載する。
ワゴンRの積み重ねが活きている
まだ試乗はできなかったが「ワゴンRスマイル」に触れて感じたのが、基本的な作りがしっかりしていること。運転席からの視界のよさ、無駄なく広々とした室内空間、充実した装備類は、まさにワゴンRそのもの。そこに個性的なデザインと上質な雰囲気という「スマイル」らしさが加わっている。