車の最新技術
更新日:2021.02.10 / 掲載日:2021.02.10
進化を続けるレクサスの影に技術革新アリ!【ニュースキャッチアップ】
文●ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス、レクサス
(掲載されている内容はグー本誌 2021年2月発売号掲載の内容です)
かつてレクサスが日本に上陸したときに、ブランドの確立には20年は必要だろうという声があった。しかし、レクサスはその予想を上まわるペースで高級車として認知されてきている。
販売台数も上昇傾向、レクサスが売れている
1989年にブランドを設立、2005年に日本に凱旋上陸を果たしたレクサス。トヨタにおける高級車専門ブランドという立ち位置は、当初簡単には受け入れられなかった。その背景にあるのが、「中身がトヨタなのにどうして何割も高価なのか」というユーザーマインドだった。しかしトヨタは組織作りによって社内意識を改変し、レクサスを粘り強く育て、「日本発のグローバルに通用するプレミアムブランド」にこだわり続けた。その結果、2019年には過去最高の販売台数を記録。日本でも13%の成長を成し遂げた。
その裏にあるのが、販売店の強化やマーケティング戦略、デザインへの取り組み。そして肝心のクルマ作りの強化だ。
ここ数年、レクサスのエンジニアたちは「レクサスらしい走りとは何か」という課題に集中して取り組んでいた。走りのフィーリングというのは、デザインや広告宣伝のように、誰もが見て、理解できるわかりやすいものではない。だが、レクサスがライバルとするドイツのプレミアムブランドには、間違いなくそれがある。クルマの基本性能を高めるには、生産拠点を含め多くの投資が必要だが、いまレクサスはそれを勇気をもって積極的に行っている。
真のプレミアムブランドを目指して、レクサスの挑戦は続いている。
[CLOSE UP]理想を具現化するために世界初の技術に挑戦する
LCにはコンバーチブルを販売する計画はなかった。しかし、市場のラブコールを受け数年の歳月をかけて開発された。その過程で問題となったのが、走行性能を屋根のないコンバーチブルでどう実現させるかだった。ルーフがないことで走行性能の根幹をなすボディ剛性は大きく低下する。レクサスはその課題に真正面から取り組んだ。
世界初の溶接技術を開発し、骨格部分の鉄板を従来の3枚から4枚に増やし、高い剛性を実現させた。
LCクーペをコンバーチブル化するにあたっては、ボディ骨格にも大きく手を加えることで、走行性能を維持した。
こちらはリアサスペンションの正確性を高めるべく設定されたタワーブレース。解析技術を駆使し、最適な形状とした。
走りを鍛えるため基礎技術を磨き上げる
トヨタ テクニカルセンター下山
レクサスのなかでも、とりわけ高い走行性能と洗練されたフィーリングを実現しているのが新型ISだ。その背景にあるのが、地道な基礎技術の磨き上げ。また、新たに開設した「トヨタ テクニカルセンター下山」でのテストもその成果に大きく寄与している。
新型ISではホイールの締結方式を従来のスタッドボルト式からハブボルト式に変更。締結トルクを高めている。
走行性能の基礎体力を決めるのはボディ骨格の強靭さ。新型ISでは従来のプラットフォームを引き続き使用する一方で、走りに強く影響する部分の剛性を引き上げることで、性能向上を図った。
新型ISは、マイナーチェンジといいながらも、エクステリアについてはフロントガラス以外をほぼ刷新。レクサス独自の「カム成形」と呼ばれる製法により、エッジの立ったデザインを実現。
日本の伝統工芸をクルマに取り入れる
昨年11月にマイナーチェンジを受けた新型LS。初代モデルからDNAとして受け継いできた静粛性と乗り心地をさらに追及している。
従来、日本の高級車は欧米のそれを追いかける形で進化してきたが、レクサスでは日本独自の世界観に挑戦。たとえば新型LSでは、ドアトリムに西陣織の銀糸やプラチナ箔を使い、「月明かりに照らされた波のゆらぎによる『月の道』を表現」した。
トヨタでありながら独自の路線を行く強さ
トヨタグループでありながら、レクサスは独自路線を行くことで個性を磨き上げてきた。そして、技術の面でも最先端のものを積極的に取り入れ、トヨタグループをリードする存在となった。