車の最新技術
更新日:2020.05.11 / 掲載日:2020.05.11
新型ヤリス開発トップインタビュー【ニュースキャッチアップ】

文●ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス、トヨタ
(掲載されている内容はグー本誌 2020年5月掲載の内容です)
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。
自動車業界にまつわる旬の話題について掘り下げて紹介するのがこのコーナー。今月は、ヴィッツから名称を変更して登場した新型ヤリスのエンジニアに、開発の舞台裏を聞いた。
新型ヤリスに込められた技術とメッセージ
あらゆる要素が先代にあたるヴィッツから刷新された新型ヤリス。小型車向けTNGAプラットフォーム最初の市販車であり、パワートレーンや先進安全装備、コネクティッドに至るまで、最新・最先端の技術をふんだんに盛り込んだ。
その膨大な仕事量を可能としたのが、2016年に導入したカンパニー制導入によるスピーディかつ連携力のある体制であり、豊田章男社長による強いリーダーシップだ。
ヤリスを説明するときには、ポジティブな意味で「コンパクトカーなのに」というフレーズを使いたくなる。それだけ従来の小型車の常識を超えた充実した内容だからだ。
チーフエンジニアの末沢泰謙氏は、「ヤリスでは、小さいことを武器にしたいと考えました。取りまわしがよく、扱いやすくて、走りも気持ちがいいのにガソリンが減らない。そんなクルマにしたかったのです」とそのコンセプトを説明した。
開発にあたっては、従来のヒエラルキーを打ち破り、トヨタ初の技術も多数投入。乗り心地、しっかり感、そして燃費といった相反する要素を高いレベルで両立させたという。
新型ヤリスからは、明確な強いメッセージを感じた。それは、「クルマをこれからも、安全で楽しいものにする」というものだ。
高次元の安心と安全を提供する新型プラットフォーム

コンパクトカー向けTNGAプラットフォーム(GA-B)は、「軽量」、「高剛性」、「低重心」を目的として開発。写真で青く色付けされているところが、特に剛性アップに貢献している。ねじり剛性は30%以上強化された。
小さいことを魅力に変える「Bダッシュ」デザイン

「大胆(BOLD)」、「活発(BRISK)」、「加速(BOOST)」などBをキーワードに、無駄を削ぎ落とし、キャビンとタイヤに力が凝縮された造形。国民的TVゲームで使われる「Bダッシュ」のように、活発に走ることをイメージ。
世界最高レベルの燃費を達成した新エンジンを開発

「ダイナミックフォース」世代に進化したパワートレーンは、ガソリン(1Lを除く)、ハイブリッドともに新開発。圧倒的な低燃費性能を目指したことに加え、日常での使いやすさや運転の楽しさも同時に追求した。
視線移動もコンパクトに最新のインターフェース

ヤリスに乗って驚くのが視界のよさ。ドライバーにとって見たいところがきちんと見えるため、安全と楽しさにつながる。また、計器や表示系の設置位置も見直されていて、視線移動が最小限に抑えられている。
世界で闘うWRCマシンの知見をフィードバック

ヤリスは、世界ラリー選手権にも出場。極限の場でクルマを鍛えたことが、骨太な走りにつながっている。ヤリスGR4(写真)といったスポーツモデルの存在は、モータースポーツとのつながりを強く感じさせる。
ヤリスに採用された充実した装備と革新的なアイデア

全車標準のディスプレイオーディオ。スマホを接続すれば無料アプリによるカーナビも利用可能に。コネクティッドサービスも提供される。

オプションのアドバンストパークは、シフト以外の操作をクルマがサポート。車線のない場所にも駐車できるという優れものだ。

クルマの乗り降りの際に便利な運転席イージーリターン機能。シート横のレバーで記憶させた位置にシートが戻る。

シートが回転しながら傾くことでスムーズな乗り降りを可能にするターンチルトシート。運転席と助手席に設定される。
若者からお年寄りまで多くの人に安全・安心を
「多くの方が毎日乗るデイリーカーだからこそ、安心と安全、そしてクルマを運転する楽しさを届けたい」と語った末沢氏。数ある移動手段のなかでも、クルマだからこそ体験できる価値を、小さなボディに詰め込んだのが新型ヤリスというクルマなのだ。