車の最新技術
更新日:2020.04.12 / 掲載日:2020.04.12
新型フィット開発トップインタビュー【ニュースキャッチアップ】

文●ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス、ホンダ
(掲載されている内容はグー本誌 2020年4月掲載の内容です)
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。
自動車業界の話題を掘り下げることで、ニュースだけではわからない裏側をわかりやすく紹介するのがこのコーナー。今回は、新型フィットを取りまとめた開発責任者に、新型に込められたクルマづくりへの新しい挑戦を聞いた。
数字にできない感性をクルマづくりの指針とした
「新型フィットでは、数値を追いかけるクルマづくりをやめたんです。そして、初代フィットが持っていた、それまでの小型車と違う何か。現代でそれが何にあたるのかを考えました。そうして導き出された『心地いい』を追求することにしました」。 そう話すのは、開発責任者である本田技術研究所四輪R&DセンターLPL主任研究員の田中健樹氏。会社の命運を左右する重要モデルのコンセプトを、数値化できない感性価値に求めたというから驚く。 もちろんそこには裏付けがある。ホンダが行ってきた「人研究」を活用し、ユーザーが無意識に求めている声にならない声を拾い上げたのだ。技術が先にあるのではなく、その声に応えるために技術を使った。 新型フィットがどこか優しく、ほっとするのには理由があるのだ。
新型フィットに込められたたくさんの「心地よさ」

手に触れるところは触り心地よく

写真で水色になっているところは運転中、身体がふれやすいところ。そこへ手触りのいいソフトパッドを採用することで心地よさを高めている。
薄いピラーで前方視界が広々!

衝突などの衝撃を受け止める役目を手前側のA’(エーダッシュ)ピラーに変えることで、前方の視界が広々とし、見晴らしのよさと安全性をアップ。
足首の負担まで考えたペダル角度

新型ではペダル位置を改良。従来モデルよりも足首にかかる負担を減らし、運転しやすくなった。
リヤシートの座り心地は上級モデル並


こだわったのは、数値上の広さではなく、本当の快適さ。クッションの厚さも見直すことでアコードに迫る座り心地だという。
クラスの常識を超えこだわったシート

座り心地を追求して構造を刷新。ゆったりとしていながらもサポート性能も高め、長時間運転でも疲れにくいものに。
路面からの騒音を減らして心地よく

疲れやすさにつながるロードノイズや高周波ノイズ、路面変化によるノイズの変化を減らすことで、ひとクラス上の静粛性を実現している。
全開加速の騒音を大きく改善した

疲れやすさにつながるロードノイズや高周波ノイズ、路面変化によるノイズの変化を減らすことで、ひとクラス上の静粛性を実現している。
必要な情報をすっきりと見やすく

メーターはフル液晶タイプを採用。さらに、表示される要素を絞り込み、すっきりと見やすいメーターパネルになった。
小型化した2モーター式HVを採用

HVはホンダ独自の2モーター式で、街中ではモーターのみで走行。高速走行時にはエンジンが直接駆動することで、走りの実力は大きくレベルアップ。
もしものときにも安心できる通報機能

対応ナビを装着し「Honda Total Care」および「Honda Total Care プレミアム」に加入すれば緊急通報機能が使用可能。もしものときにも安心だ。
使い勝手を高める電動Pブレーキ

コンパクトカークラスではめずらしい電動パーキングブレーキを全車標準装備。これでACCは停止からの再発進にも対応する高性能なものになった。
受け継いだのは、ユーザー視点という志
デザインから乗り味まで大きく変わった新型フィット。その変化ぶりに戸惑っているひともいるかもしれない。しかし、単なる改良ではなく、「いま時代が求める小型車とは何か」というテーマに正面から向き合った新型フィットは、とてもホンダらしいクルマに感じられた。