車の最新技術
更新日:2025.11.10 / 掲載日:2025.11.10
ホンダ「プレリュード」復活に見る 電動化時代の新しいスポーツカーのカタチ

【HONDA PRELUDE】プレリュードに込められた電動化時代を生き抜く技術と意識
文●ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス、ホンダ
(掲載されている内容はグー本誌2025年11月発売号「噂のクルマNEWS ニュースキャッチアップ/スズキが初の電気自動車を公開[プレリュードに込められた電動化時代を生き抜く技術と意識]」記事の内容です)
クルマに関する気になる話題を掘り下げたり、ニューモデルの試乗記事を紹介するコーナー。最新トレンドをわかりやすく、詳しく解説します。
ホンダらしさをどうすれば電動化時代に残せるか
高コスト体質である電動化をどう商品として成り立たせるかが、自動車ビジネスにおける喫緊の課題だ。価格競争力を高めるために部品の共有共用が進む一方で、ユーザーの価値観は多様性を増している。

スポーツカーをゼロから立ち上げたら、販売価格は数千万円になる。実際、第2世代NSXがそうだったように。しかし、量販車種ばかりではホンダとしての独自性は守れない。
プレリュードは、まさにそうした時代に向けた、序曲という名前にふさわしい内容となっている。今後モーター駆動が主流になると、必然的にメーカーごとの差別化が難しくなることを見越しての、「ホンダらしさ」を追求する挑戦でもある。
搭載するパワートレインは中型モデル向けのハイブリッド(e:HEV)で、それこそSUVからミニバンまで搭載されるユニットだ。プラットフォームもシビック用。そうした材料を制御技術とアイデア、知見といったホンダが積み重ねてきたノウハウで、別モノのように感じさせるチャレンジを行っている。

かくして出来上がったプレリュードは、性能を突き詰めたタイプRとはまた違った、ストリートでの楽しさを追求したクルマとなっていた。
これまでこうした性格のクルマはホンダになかった。それもまた今回の挑戦で成し得た成果である。
[CLOSE-UP]電動化時代でも走る楽しさを

ホンダはふたつのモーターをエンジンと組み合わせて駆動力にする独自のハイブリッドシステム「e:HEV」を開発した。性能と燃費のバランスが高く評価されているユニットだ。プレリュードではさらに「S+シフト」を搭載することで、操る喜びや音といった感性面でもホンダらしいパワートレインにできないかと考えた。モードを切り替えると、まるで有段ギアのように加速に段が生まれ、ブレーキング時にはエンジン回転が上がるような演出が行われる。パドルによってパワートレインをマニュアル操作できるため、まさにスポーツカーのような感覚で運転できる。エンジン音はスピーカーから出力されているのだが、ドライバーはそうと感じない作り込みがなされていた。ギミックはギミックなのだが、本当にスポーツカーを運転しているようでワクワクできる。その知見と作り込みこそがホンダの技術だ。

プレリュードという名前の復活に込めた意図

ホンダの2ドアクーペということで、つい本格スポーツカーと思われがち。だが、ホンダが今回目指したのは、性能ではなく感性を追求したクルマ。だからこそ、モデル名にも、「デートカー」イメージのあるプレリュードという名前を復活させたのだ。