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更新日:2026.03.05 / 掲載日:2026.03.05
【ニューモデル解説】ホンダのインサイトがEVで復活! 2026年春発売

文と写真●ユニット・コンパス
インサイトが帰ってくる! かつてハイブリッド専用車として時代を切り拓いたホンダが、2026年春に「電気自動車(EV)」として復活することが判明しました。新型インサイトは、2027年以降に導入予定の「Honda 0シリーズ」への架け橋となるモデルで、乗用車として使える本格的な電気自動車として開発されました。ここでは、新型インサイトについて現時点で判明した情報を開発者インタビューとともにお届けします。
電気自動車の時代を見据えた「INSIGHT」の復活

1999年に登場した初代インサイトは、量産ハイブリッドカーとして世界最高水準の燃費を実現して登場。続く2代目、3代目とスタイルを変えながらも、ホンダの環境技術を象徴するモデルでした。
2026年春登場予定の4代目となる新型インサイトは、ハイブリッドから電気自動車(EV)へとパワートレインを刷新。ハイブリッドのその先へ。その名前が意味するとおり、新たな時代を見通すクルマとしての想いが込められています。
新型インサイトは、日本で販売するホンダ車として初めて航続距離500kmを超える本格的な乗用EV。生産は中国で、ベースとなっているのはホンダが2024年4月に中国市場向けに投入した「e:NP2」です。すでに中国市場で実績のあるモデルをベースとすることで、ハイレベルな商品をコスパよく提供できるという考え方です。ホンダは2027年度に次世代EV「Honda 0シリーズ」の投入を控えていますが、新型インサイトの投入によって、「EVはホンダ」とのイメージを高めたいという狙いがあります。
価格は現時点では未発表。モノグレードで、3000台の限定販売になるとのこと。あくまで予想ですが、似たようなサイズ感のライバルを考えると車両価格は500万円台。2026年のCEV補助金130万円を考慮した実質的な負担額は、400万円台になるのではないかと期待します。
目指したのはプレミアムな移動体験

新型インサイトのグランドコンセプトは、「存在感が際立つ個性派EV」。EVだからこそ実現できる圧倒的な心地よさと個性的な内外装デザインが特徴となります。
「Knives out(ナイブズ・アウト)」とネーミングされたエクステリアデザインは、セダンともSUV的とも受け止められるクロスオーバースタイル。伸びやかでクリーンなフォルムとEVらしい先進的なディテールでなかなかの存在感。車両を横からみると、全長に対して居住空間とラゲッジを大きく確保していることがわかります。
インサイトが電気自動車(EV)となったことで、従来モデルのユーザーやホンダらしさに期待するファンにとっては不安な部分もあるでしょう。そこで開発責任者の小池さんに、EV化によってクルマづくりにどのような変化があったのかを質問したところ、「作り方の手法は変わったが、ゴールは変わらない」と断言されました。
「根底にあるのは、お客さんにいかに喜んでもらえるかです。ガソリンエンジンからバッテリーとモーターに変わっただけで、目指すクルマの理想は変わりません。ただ、EVはバッテリーで重心が下がるメリットがある反面、どうしても車体重量が重くなります。それをどう打ち消すか。モーター出力の出し方を制御して重さを感じさせない工夫をしたり、コーナリングでの踏ん張りを設定したりと、手法を変えることで、ホンダらしい走りを実現しています」
とくに開発においてこだわったのが、スペックには表れない感性領域の価値だったと小池さん。
「500km以上という航続距離で電気自動車への不安を取り除いた上で、EVならではの静かさを活かしたおもてなしを意識しました。装備面では五感に訴えかけるアイテムを採用することで、これまでにないプレミアムな移動体験を提供します」
電気自動車ならではの居心地のいい空間

車内のデザインも、いままでのホンダ車とは違った印象を与えます。水平基調ですっきりとした空間に大型ディスプレイを置くスタイルは未来感たっぷり。ドライバーのためのメーターも横長で、エアコン吹き出し口とも含めてインテリアに溶け込む造形となっています。ウォークスルー可能なセンターコンソールには収納機能も搭載。オープンモードにすればカップホルダーが使いやすい位置に現れます。
運転席に座ってみましたが、ほどよい包まれ感とすっきりした足元空間のおかげで、かなり居心地は良さそう。見晴らしの良さは最近のホンダ車に共通する美点ですが、インサイトではさらに楕円形ステアリングを採用して視界を確保。あわせて大型ヘッドアップディスプレイを採用することで、ドライバーの視点移動も最小限に抑えています。



さらにユニークな機能として、ドアパネルやダッシュボード下側の足元付近にも身体を温めるためのヒーティングシステムを搭載しています。これらはハンドルヒーターやシートヒーターなどと統合制御され、従来の温風ヒーターよりも高効率に冬場の快適性を高めるとの説明がありました。
そのほかにも、12色のアンビエントライトやBOSE製オーディオ、本革やプレイススムースレザーを採用した上質なシート、そしてアロマディフューザー(!)まで、とにかく居心地のいい空間を作り出すためのアイテムが多数投入されています。
電気自動車の魅力のひとつに、走行しているときの静粛性の高さがありますが、インサイトはまるで部屋がそのままクルマになったような印象です。エンジン車と違ってアイドリングによる音や騒音も発生しないので、もうひとつのマイスペースとして活用するユーザーも出てくるのではないでしょうか。


上質さを求める大人のための電気自動車

新型インサイトはどんなユーザーにマッチするクルマなのか、商品企画を担当した小田建さんに話を聞きました。
「主なターゲットは50代以上のお客様です。子育てがひと段落し、『これからは夫婦二人でゆったりとした時間を過ごしたい』、『自分だけの上質な空間が欲しい』と考える方々を想定しています。ダウンサイジングを検討されている方にも満足いただける質感を確保しました」
3000台という限定台数については、市場規模や競合車を見極めた上での戦略的な設定。新型インサイトを選ぶのは、新しい価値観にいち早く興味を示すユーザー層だと考えているとのこと。
また、内装色がホワイトシート/ホワイトルーフのモデルは、オンラインストア「Honda ON」でのみ申し込みを受け付けとしたことについては、「サイトを本屋に見立てたときに、そこに並ぶ限定本のような特別感を演出したかったのです。こだわりのホワイト内装を選ばれるお客様には、オンラインでじっくりと検討いただき、納車やアフターサービスはお近くの販売店で受けていただく。そんな新しい購入体験を提案しています」と理由を説明してくれました。


本格EV時代を先取りするホンダ車

新型インサイトは、単なる移動手段としてのEVではありません。それは、ホンダが長年培ってきた「走りの喜び」と、最新のテクノロジーがもたらす「心地よい空間」を融合させた、大人のためのプライベートラウンジです。
今回は全体のコンセプトやデザインを中心とした発表ということで、詳細なスペックやどのような走りをするのかついてにはチェックすることができませんでした。しかし開発責任者の小池さんの言葉からは、強い自信を感じることができました。
「ただエンジンがモーターに変わっただけでは、これからの時代に勝ち残っていけません。クルマとしての根源的な魅力、付加価値を持っていないといけない。新型インサイトは、理屈抜きに乗って気持ちいいと感じていただけるクルマです」
インサイトは3000台の限定販売と控えめですが、実車を見て触れた感想からすると、もっとポテンシャルがあるように感じました。