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更新日:2025.08.26 / 掲載日:2025.08.26

80年代テイストがたまらないムーヴの広告展開【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ダイハツ

 テレビから山下達郎の気持ちのいい歌声が流れてきました。その声につられて画面を見ると、そこには風に揺られるパームツリーと海岸線のイラストが映し出されています。そして眩しそうな波飛沫からの海岸線を走る白いムーヴ。作風から永井博のイラストであることは一目瞭然ですね。一瞬にして80年代の空気があたりに広がりました。

ダイハツ ムーヴ公式サイトより

 これはダイハツムーヴのテレビCMです。今年6月ムーヴは7代目へとフルモデルチェンジしました。

 「MOVE ON」というタイトルの山下達郎氏の楽曲は、今回このために書き下ろされたそうです。ダイハツのムーヴに対する意気込みが感じられます。しかも、サウンドはまさに山下達郎ワールド。80年代に作られた楽曲と言われても疑わないかもしれません。当時多感な時期を過ごした身としては興味津々。テレビから「MOVE ON」が発せられるたびに敏感に反応してしまいます。

 それにしてもダイハツはテレビCMに凝っています。ムーヴキャンバスでは伊藤沙莉さんがいい雰囲気を醸し出していて、若い女性の日常を切り取ったシーンを彼女が見事に演じ切っています。バックに流れるピアノ演奏と合わせ、なんかほのぼのした気分になるから不思議。心地よいCMです。

 タントのテレビCMも好きです。自転車を積み込む吉高由里子さんがキャラクターの「タントと」篇です。吉高さんの可愛らしさがうまい具合に出ています。

ダイハツ ムーヴ RS

 それはともかく、新しいムーヴをテストドライブしてきました。ターボエンジンのRS(2WD)と自然吸気のX(2WD)です。

 総じて言えるのは、走行性能においてダイハツらしさが出ていてとても良い印象でした。ステアリングは操舵に対して正確だし、パワステのセッティングに違和感はありません。適度な遊びがあっていい感じです。

 そしてそれに追従するボディの剛性を高めたことで、走りに一体感を得ました。キャビンのヨレはほとんど感じないので安心してアクセルを踏めます。その時のサスペンションの動きもグッド。ロールの抑え方に不自然さはなく、キャビンをフラットにキープしたままコーナーを駆け抜けます。ドライバーによっては運転が上手くなったような気になれるかもしれません。

ダイハツ ムーヴ

 パワーソースはターボが付いているとやはりそれなりに速くなります。アクセルに対しリニアに加速するので、首都高速での合流に不安はありません。2000回転後半から効き出すターボにタイムラグはなく、欲しい加速が得られます。ギアボックスは当然CVTですが、ネガティブ要素はかなり払拭されていました。制御が精緻に行われているので、エンジンだけうなって加速しないなんて場面はなくなっています。

 走りもそうですが、今回はフロントマスクも好印象です。気を衒(てら)ってなく、シンプルな造形をしています。好き嫌いの幅が狭そうなデザインですね。それと新型ではスライドドアを採用したのがニュース。グレードによって手動と電動がありますが、利便性が上がったのは確か。ロードサイドの開閉にそれほど気を使うことなく開閉できます。

 価格はエントリーグレードのL(2WD)の135万8500円からRS(4WD)の202万4000円までといった幅で展開されます。もちろんオプションを付ければそれ以上になりますが、「クルマが高い!」と叫ばれる昨今ではがんばって抑えている気がします。それにしても軽自動車のコスト管理はすごいですね。エンジニアたちの努力を感じます。

 ところで、冒頭で記したムーヴのテレビCMですが、それは「青空」篇というもので、もう一つ「夕空」篇というのもありました。ムーヴのホームページにしっかり出ています。こちらもいい感じ。場面は気持ちのいい夏の夕暮れといったところでしょう。リピートして観ていると、だんだん80年代が恋しくなってきました。ムーヴキャンバス同様、このシリーズも続けていってもらいたいものです。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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