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更新日:2024.09.26 / 掲載日:2024.09.26

【三賢人ガチ評価】ZR-V vs エクストレイル・実力派SUV対決

クルマ購入のときに気になるのがライバルの存在だ。そこで今回は人気車や気になる車種のライバル関係にフォーカス。一対一のガチンコ対決形式で「買うならどちらか」を解明する。もちろん、用途や着眼点によってどちらを選ぶかは変わってくる。クルマのプロの意見を参考に、自分にとっての“買い”の一台をみつけていただきたい。

ユーザー視点でプロが判定!!

今回の“買い”判定は本誌が誇るレギュラー執筆陣3人に依頼。クルマに求めるものや着眼点に共感できる執筆者をメインに、クルマのプロの様々な意見にじっくり耳を傾けていただきたい。

HONDA ZR-V × NISSAN エクストレイル《実力派クロスオーバーSUV対決》

川島:買うならエクストレイル

決め手は『レジャーでのゆとりと使い勝手

4WD車のエントリーモデルの価格はエクストレイルの約385万円に対してZR-Vは約343万円。ZR-Vが安いのはガソリンモデルをラインナップしているためだが、SUVとしての機能と実用性をコスパで選ぶなら狙い目だ。この比較で本筋となるHEVの4WD車の場合はZR-Vも約378万円からの設定。装備も含めるとZR-Vのほうが買い得感は高めだが、同価格帯に収まる範囲である。
結論から言ってしまえば、アウトドア趣味に向けたSUVとして勧めるのはエクストレイル。両車とも電動力をフルに活かせるハイブリッドシステムを採用するが、4WDにツインモーター式を採用したエクストレイルが精密な駆動力配分制御も合わせて加速性能や挙動制御で一歩リード。また、ZR-Vは2列シート仕様のみだがエクストレイルには3列シート仕様も用意されている。スポーティ&カジュアルな走りと見た目のZR-Vも魅力的だが、レジャー用途でのゆとりと使い勝手はエクストレイルの勝ち。

エクストレイルは4WD車が“良く曲がる”。ガソリン車の常識とは逆だが、即時にトルク配分が可能な電動ならではの緻密な制御のおかげ。電動化の知見が豊富な日産の面目躍如だ。

まるも:買うならZR-V

決め手はクルマとの一体感を味わえる走り

SUVだということを忘れそうなほど、自分とクルマとの一体感を味わえる走りが魅力のZR-V。Hondaスポーツカーへのオマージュが感じられるバーティカルグリルなど、スタリングも流麗でスポーティです。2モーターハイブリッドのe:HEVもガソリンモデルも、いい意味で「エンジン」の良さが引き出されるモデルというのも、ZR-Vに共通するところ。ファミリーカーとして使う時は多いけれど、ひとりで走りを楽しみたい時もあるという人にぴったりです。
一方でエクストレイルは、e-POWERによるパワフルでなめらかなモーター走行によって、ちょっと未来的な走りが手に入るSUV。とくに、オフロードや雪道だけでなく、一般道のカーブや高速道路での安定性を高めてくれる新世代4WDの「e-4ORCE」は、フラットな乗り心地が体感できます。2列シート5人乗りだけでなく3列シート7人乗りも設定されているので、たまに多人数で移動することがある人も選びやすいと思います。

ZR-Vの“売り”のひとつが走りの良さ。レジャーのための長距離移動の快適さというだけではなく、ワインディングも楽しめるような運転自体の楽しさが大きな魅力だ。

渡辺:買うならエクストレイル

決め手は『VCターボ+e-4ORCEの走り』

ZR-Vはシビックと共通のメカニズムを使うSUVで全長は4570㎜だ。エクストレイルの全長は4660㎜と少し長いが、両車ともミドルサイズで、車内の広さも同程度になる。内装の質感も互角だ。気になるのはZR-Vの後席で、コンビシートは座り心地が過度に柔らかい印象を受けた。本革シートがちょうど良い。
両車を比べた時に、明確に異なるのは走りの機能と走行性能だ。エクストレイルはハイブリッドのe-POWERのみを搭載して、発電用エンジンは、圧縮比を8〜14まで自動的に変化させる直列3気筒1.5ℓターボになる。負荷が少ない時は圧縮比を高めて燃料消費量を減らし、発電を積極的に行う時は、圧縮比を下げてターボをフルに作動させる。しかも4WDは後輪を前輪とは別のモーターで駆動するから、適度に良く曲がって運転感覚が楽しい。ZR-Vのe:HEVも動力性能に余裕があり、安定性も優れるが、推奨度はエクストレイルX・e-4ORCE(414万400円)が上まわる。

日産自慢の電動4WD制御技術を結実させたのがe-4ORCEだ。雪道などの滑りやすい路面はもちろん、オンロードでの旋回性や安定性も格段に向上する。

HONDA ZR-V

●価格:320万8700〜450万6700円

●発表年月(最新改良):’22年11月(’24年6月)

パワートレーン 1.5ℓターボ〈FF/4WD〉 2ℓハイブリッド 〈FF/4WD〉

ホンダの国内SUVラインナップのフラッグシップ。シビックと同系のシャーシを採用し、パワートレーンは1.5ℓのターボまたは2ℓのe:HEV(2モーター式ハイブリッド)を搭載。4WDシステムは後輪をモーターで駆動する電気式ではなく、プロペラシャフトを介して機械的に動力を伝達する方式。使い勝手の良いワゴンライクなフォルムとドライバーの意志に忠実なハンドリングが特長だ。

■主要諸元(e:HEV Z・FF)●全長×全幅×全高(㎜):4570×1840×1620●ホイールベース(㎜):2655 ●最低地上高(㎜):190 ●車両重量(㎏):1580 ●駆動方式:FF ●パワーユニット:1993㏄直列4気筒(141PS/18.6㎏・m)+フロントモーター(184PS/32.1㎏・m) ●トランスミッション:電気式無段変速機 ●WLTCモード総合燃費:22.0㎞/ℓ ●タイヤ:225/55R18

NISSAN エクストレイル

●価格:360万1400〜475万2000円

●発表年月(最新改良):’22年7月(’24年5月)

パワートレーン 1.5ℓハイブリッド 〈FF/4WD〉

登場時に話題になったのは何といっても新技術満載のパワートレーンを採用したこと。可変圧縮比のVCターボエンジンで発電する第2世代e-POWERのみを搭載。駆動は完全に電気モーターであり、4WD車はアリアに続いて「e-4ORCE」を名乗る。技術的な面が耳目を集めたが、「タフギア」をうたった時代から培ってきたアウトドア&レジャー適性は健在。技術にあまり関心のない層にも遊びの相棒として見逃せない一台だ。

■主要諸元(X e-4ORCE)●全長×全幅×全高(㎜):4660×1840×1720●ホイールベース(㎜):2705 ●最低地上高(㎜):185 ●車両重量(㎏):1850 ●駆動方式:4WD ●パワートレーン:フロントモーター(204PS/33.7㎏・m)+リヤモーター(136PS/19.9㎏・m)[発電用エンジン:1497㏄直列3気筒(144PS/25.5㎏・m] ●WLTCモード総合燃費(㎞/ℓ):18.4 ●タイヤサイズ:235/60R18

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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