クルマ徹底解説
更新日:2020.02.07 / 掲載日:2019.11.30
BMW 新型3シリーズセダンの概要・特徴を紹介

BMW新型3シリーズ「330i」
文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス、BMW
BMW新型3シリーズ セダン(G20)の概要について解説する。BMW「3シリーズ」は世界中のスポーツセダンの“基準”と言われるクルマだ。1975年に第1世代が登場して以来40年以上にわたって支持され、世界累計で1500万台以上を顧客のもとへ届けている。その新型が出るたびに、クルマ好きはもちろん、競合の自動車メーカーにまで大きな話題と驚きを提供する。
ポジションはいわゆる「Dセグメントで」で、ライバルはメルセデス・ベンツCクラスやアウディA4など。日本車ではレクサスISが相当する。
ボディサイズは日本で取りまわしのいいサイズに収まっている

BMWによるデザインスケッチ。歴代モデルのDNAが受け継がれている
BMWのセダンのラインナップにおいては、1シリーズセダンや2シリーズグランクーペ(いずれも2019年11月時点では日本未発売)に次いでコンパクト。いっぽう、サイズは世代が新しくなるたびに拡大しているとはいえ、より大きな5シリーズや7シリーズに比べると、日本の狭い道や駐車場でも取りまわしのいいサイズに収まっている。
「セダン」に続き「ツーリング」と呼ぶステーションワゴンも追加された

「ツーリング」と呼ばれるステーションワゴン版もラインアップする
2018年秋に公開された最新モデル(G20)の日本での販売がスタートしたのは2019年春。まず導入されたのはセダンで、2Lの4気筒ガソリンターボエンジンを搭載する「320i」と「330i」が発売され、続いて2019年秋には3Lの6気筒ガソリンターボエンジンを積む高性能モデルの「M340i xDrive」やディーゼルエンジンを積む「320 xDrive」、そして「ツーリング」と呼ぶステーションワゴン(G21)も追加されている。
ボディサイズを拡大しながら同時に軽量化を達成した

前後のトレッドを拡大し重心高を下げるなどし走行性能を進化。一方で軽量化も実現させた
ボディサイズは、先代(F30)よりもひとまわり大型化。全長はプラス70mmの4715mm、全幅は25mm増した1825mmとなっている。しかし、最適化した設計と素材の採用によって重量は約55kg(欧州仕様の設計値)も軽減。さらに40mm拡大したホイールベース、フロント43mm/リヤ21mm拡大したトレッド、そして10mm低くなった重心高によってダイナミック性能を従来よりも高めているのも進化ポイントだ。
インテリジェント・パーソナル・アシスタンスをBMWとして初採用

インテリアのデザインスケッチ。ドライバーを中心とする哲学を受け継ぎながらもデジタル化が進んだ
BMWといえば“駆け抜ける歓び”というキャッチフレーズを掲げて走る楽しさを自称するメーカーだけに、走行性能も一段と磨き上げられているのは言うまでもない。
しかし、新型において注目すべきトピックといえるのは、先進技術やデジタルデバイスの近代化だろう。たとえばコックピットのインターフェイスに関して、BMWはこの世代がデビューする少し前までメーターをシンプルなアナログ式にこだわっていた。しかし新型3シリーズのメーターは、12.3インチの全面液晶ディスプレイを採用して一気に先進的なものとしてきた。グラフィックも凝っている。
さらに、音声会話だけで車両の情報へアクセスしたり操作が可能なインテリジェント・パーソナル・アシスタンスをBMWとして初採用。AIを活用し、これまでの音声入力よりも自然な会話に近い言葉でドライバーの質問を理解し、適切なコントロールがおこなえるのがポイントで、使えば使うほどドライバーの好みも学習する。
渋滞時のハンズオフ機能を採用したのも大きなトピック

運動性能に加えて、快適性や居住性、先進装備でもライバルをリードする
また、先進安全運転支援システムも大幅にアップデートされた。高性能3眼カメラとレーダーを組み合わせることで周囲の状況を的確に判断し、衝突回避・被害軽減ブレーキを高性能化。さらにはその高度なシステムを活用し、ハンズオフ機能を採用したのも大きなトピックだ。渋滞を対象とし、時速60km/hを作動上限にハンドルから手を放しての運転が可能(前を走るクルマにあわせて速度を調整するとともに車線を維持して走り続ける)は、日本では国産車もふくめてはじめての搭載となった。
卓越した運動性能で心地よりドライビングプレジャーをもたらしつつも、快適性、居住性、そして先進装備でライバルをリードする存在のセダンがBMW3シリーズなのである。