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更新日:2022.04.08 / 掲載日:2022.04.08
【フィアット 500e】「500」は電気自動車に生まれ変わってもオンリーワン!【九島辰也】

文●九島辰也 写真●フィアット
今週とても興味深いEVが発表されました。フィアットブランド初の電気自動車フィアット500eです。このところ毎月1から2台くらいのペースで新型EVが発表されていますが、個人的には久しぶりのヒットですね。
理由はシンプル。フィアット500を所有しているからです。2015年型のツインエア。試乗会で最初にあのエンジンを体感した時から「絶対に買いたい!」と思った一台です。今年の車検ではクラッチの不具合でけっこうお金がかかりましたが、手放せません。あのフォルムとデザイン、それと2気筒しかないツインエアのフィーリングは他にはありませんから。
そのフィアット500がそのイメージのままEVになったのですから、500eに目が止まらないわけはないです。プラットフォームから新設計ですが、うまい具合にガソリンエンジン車のイメージを継承しました。当然もっと大胆に変える案もあったでしょうが、そうしなかったのはさすがです。もしまったく異なるデザインになっていたら、こうして着目することはなかったでしょう。

では、その詳細ですが、ボディタイプは2種類あります。3ドアハッチバックとソフトトップを備えたカブリオレです。考えてみたらEVのオープンエアは珍しいかと。思い当たるのは、テスラ最初のモデルのロードスター。まんまロータスですけどね。今後屋根開きも増えてくるでしょうが、今現在で言えば500eカブリオレは希少です。
グレードは3つで、エントリーモデルの“ポップ”、その上級グレードの“アイコン”、それと屋根開きの“オープン”となります。パワートレーンは全車共通のリチウムイオン電池を床下に敷いたモーター駆動。最高出力は118ps、最大トルクは220Nmです。気になる最大航続距離は335km(WLTCモード)。まぁ、そもそも遠出するクルマではないので、十分と言えます。基本的に家の周辺で用を足すときに使うクルマですから。そう考えると、逆にこの数字はすごく便利かもしれません。専用アダプターを介して急速充電にも対応していますが、日々の使い方であれば200Vで十分。というか、毎日コードを指す必要もなさそうですね。

走りはe-モードセレクターで切り替えられるそうです。“NORMAL”ではアクセルレスポンスが鋭く、ガソリン車のような走りができ、“RANGE”では回生ブレーキの効きをよくし、アクセルオフで強い減速をさせます。ローギアードな感じですかね。そして“SHERPA”はエネルギー消費を抑え、航続距離を最大限にするエコモードとなります。気になるのは、「ガソリンエンジン車のような」と表現されるところ。ツインエアはとにかく遅いですから、そこは間違えですね。きっと相当速く感じらることでしょう。
価格は下から、450万円、485万円、カブリオレの495万円となります。う~ん、ガソリン車の感覚で考えると、かなりお高め。減税と補助金をチェックしたくなります。ちなみに、同じクラスにホンダeがあります。こちらは451万円と495万円。ん?かなり近い。価格設定を合わせてきたんですかね。なんか匂う。
ところで、フィアット500というクルマですが、このクルマはデザインだけでなく、存在がオンリーワンなのに気づいていますか? ワタクシは気づいてしまいました。イタリア人にとってフィアット500が特別であることを。その証拠は、コラボモデルにあります。例えば、メゾン系ハイブランドのグッチとコラボした“By Gucci”。“By Diesel”もあります。こちらはデニムのハイブランド、ディーゼルとのコラボです。ディーゼエルエンジン車ではないのでお間違いなく。フィアット500rivaもそう。イタリアの最高級ボートビルダーのリーヴァとコラボしたモデルです。



何を言いたいかというと、こうしたハイブランドが次々とコラボしているという事実です。フツーに考えれば、グループにはアルファロメオもあればマセラティもあります。もっと言えばフェラーリも。でもグッチもディーゼルもリーヴァもそことはコラボせずに大衆車であるフィアット500を選びました。要するに、このクルマは特別なんです。彼らにとってはクラスレス。大きさやブランドバリューでは語れないナニかがあるんです。
もちろん、アバルトにはフェラーリやマセラティとコラボしたモデルがあります。ただそれは相手先がクルマメーカーという性格上パワーが必要だったからに違いありません。考え方はフィアット500と同じです。
なんとことを鑑みると、今度の500eもこれからの展開が期待されます。先進性のあるイタリアンブランドとのコラボですかね。ツインエアは手放しませんが、500eからはしばらく目が離せません。