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更新日:2022.03.18 / 掲載日:2022.03.18
アストンマーティン 新型「V12 ヴァンテージ」公開

アストンマーティンは現地時間の3月16日、新型スポーツカーの「V12 ヴァンテージ」を発表した。同モデルは世界限定333台の生産となっていたが、既に完売している。
驚異のパワーを誇る5.2L V12ツインターボエンジン搭載

同モデルは、V12内燃機関を搭載する最後のモデルとして昨年12月に発売を発表、その後すぐに予約の問い合わせが殺到、完売に至ったというほどに注目を集めている。
今回の発表に際し、アストンマーティンのトビアス・ムアースCEOは「偉大なスポーツカー・ブランドには、必ずヒーロー・カーが存在します。近年、アストンマーティンには、V12ヴァンテージがありました。2007年に最初のV12ヴァンテージRSコンセプトが公開されたときから、世界中のお客様やファンの皆様は、私たちの最も小さく最もスポーティなモデルに、最も大きなエンジンを搭載するというアイデアに惚れ込んでくださいました。そのレシピは長年にわたって改良され、大きな成功を収めてきましたが、その本質は変わっていません。そして今、この血統に終止符を打つときが来ました。それは、これまでで最も速く、最もパワフルで、最もダイナミックなV12 ヴァンテ―ジという、最も壮大な例となるにふさわしいものです。V12ヴァンテージは、その先達を称えるとともに、アストンマーティンのドライビング・ダイナミクスへのこだわりを体現したものであり、V12ヴァンテージを最高の形で世に送り出すことを約束するものです」とコメントを寄せ、同モデルに懸ける思いの強さを示した。
同モデルの最大の特長は、搭載される5.2L V12ツインターボエンジン。最高出力700ps/6,500rpm、最大トルク753Nm/1,800rpmを発揮し、低中速域の力強さと最高速のパワーが融合された魅惑的な走りを実現する。最高速度は約320km/hで、0-96km/h加速は3.4秒という圧巻のスピードを見せる。パワーウェイトレシオは390ps/t で、V8エンジン搭載のヴァンテージと比較すると20%以上向上している。
随所にこだわりダイナミックな走行性能を追求




理想のスピードを追求すべく、各パーツの素材にもこだわりを見せる。カーボンファイバー製のフロントバンパーを筆頭に、クラムシェルボンネット、フロントフェンダー、サイドシル、コンポジット製リアバンパーとデッキリッド、軽量バッテリー、センターマウントのツインエキゾーストシステムなど、各所に軽量化素材を採用。一例として、エキゾーストシステムはモデルの性能に見合った音量を確保するためのチューニングが施されるとともに、厚さ1mmのステンレススチール製でヴァンテージよりも約7.2kgの軽量化を実現している。
V12エンジンのパワーとトルクは、ZF製8速オートマチックトランスミッションと機械式LSD(リミテッド・スリップ・ディファレンシャル)を介し、後輪へ伝達される。8速ATは専用のチューニングが施され、より洗練されたシフトスピード、使いやすさを実現した。また、アダプティブソフトウェアは走行状況やドライバーの操作を学習し、適切なタイミングで適切なギアに入るように設計されている。
新たなアンチロールバー、ブッシュ、スプリングとダンパーアセンブリを導入した、新開発のアダプティブダンピングサスペンションシステムを採用。サスペンションのスプリングレートはフロントで50%、リアで40%増加し、トップマウントの剛性は13%向上、新しいアンチロールバーはフロントで5%、リアで41%ソフトに。ドライバーの快適性を維持するため、リアにはテンダースプリングを導入、メインスプリングよりも低いスプリングレートとなっており、ダイナミックなパフォーマンスに影響することなく、乗り心地を高めた。
フロントとリアのシアーパネル、リアサスペンションタワーストラットブレース、燃料タンクブレースは補強が施され、ボディ剛性を8%、横剛性を6.7%向上。さらにステアリングのキャリブレーションを新たにし、ステアリングフィールも向上させている。
標準装備のカーボンセラミックブレーキシステム(CCBシステム)は、フロントに410mm×38mm径ディスクと6ピストンキャリパー、リアには360mm×32mm径ディスクと4ピストンキャリパーを採用。ブレーキ性能の向上とバネ下質量の大幅な低減を実現し、800度の高温下でもブレーキフェードしにくいという安定した制動力を発揮する。なお、このCCBシステムも、スチール製ブレーキと比較して23kgの軽量化を実現している。
歴代V12 ヴァンテージを彷彿とさせるデザイン


同モデルはコーナリング性能と安定性を最適化するため、ボディ幅を約40mm拡大され、ワイドボディを強調しつつも空力性能を追求。
新デザインのフロントバンパーと組み合わされたフルワイドフロントスプリッターは、ダウンフォースの発生と空力バランスの最適化に寄与。25%大きくなったというフロントグリルは、ラジエーターに流れる空気量を増やすため考慮されたものだ。さらに、ホースシューデザインのエンジンベントをボンネットに組み込み、冷却効果を高めた。これらのデザインやサイドデザインなどは、ヴァンテージGT12や歴代のV12 ヴァンテージからインスピレーションを受けたものとなっており、歴代モデルとの連続性を感じさせる。
リアでは、ディフューザーが一体化した新デザインのバンパーを装着。リアウィングは最高速度到達時に最大204kgのダウンフォースを発生させる効果を持つとともに、ビジュアル面でのインパクトももたらすが、あえてリアウィングを取り外し、流麗なシルエットを強調するのも良しとしている。
快適性と軽量化を両立したインテリア




インテリアはヴァンテージのレイアウトを踏襲しつつ、ウィングキルトとパーフォレーションパターンを施したフルセミアニリンレザーのスポーツプラスシートを標準装備。オプションでカーボンファイバーパフォーマンスシートも用意され、こちらを選択すると快適性をそのままに、7.3kgの軽量化を実現するという。
内外装はオーダーメイド・パーソナライゼーション・サービスによって、よりドライバー好みの配色や装備を揃えることも可能としている。
V12 ヴァンテージの生産は、2022年第1四半期に開始され、最初のデリバリーは2022年第2四半期に開始予定としている。